166 / 205
建国~対列強~編
165 ごたごた
しおりを挟む
「サイラス!早速だが我が南部に金を融通してくれ。戦で銀山の働き手が減って、民を養う金が不足しているのだ!イヴァンジェリンよ!そなたは俺を支持すると言ったな。つまりは臣下だ。俺の下で働いてもらうぞ!」
開口一番、金を寄こせ……しかも自領の内情までペラペラと…。さすがバカ王子と言うべきか。頭痛がしてきた。
「何を勘違いしているのかな?」
さり気なくエヴァを背に庇い、私は無表情にライオネルを見上げた。
「私はアンタを助けるとは、ひと言も言っていない。すべて王女殿下を不本意な未来から守るためにやったことだ。アンタは、そのお釣りで王太子に戻るチャンスを得られた。そこから先は自力で頑張ってもらいたいね」
エヴァを南部に?行かせるわけないでしょ。友達を毒殺の前科がある兄の元へやる?有り得ないね。
「しかし俺を支持すると…」
面食らうライオネル。はぁ…おめでたい脳ミソしてるね、コイツは。
「議席に座る資格を聞いていなかったのかな?『王族もしくはそれに相当する身分且つ将軍経験のある男子に限る』…アンタ限定じゃない。あくまでも王女殿下とアンタを比べたら、アンタの方が条件に当てはまると言っただけだ。私は王女殿下の考えは支持するとは言ったけど、アンタを支持すると言った覚えこれっぽっちもないんだがね」
むしろ危機感を持って欲しい。王族と限定していないことに。自分の身分が保障されるのは、古参派貴族が『代わり』を担ぎ出して来るまでだ。ライオネルには、ほんの少しの猶予しかないのだ。
エヴァの王太女立太は、兄の陣営についたと表明したことで、御輿には使えないと印象づけた。後は…頃合いを見計らって、エヴァには病気になってもらう。兄に近づいて毒殺されたことにしてもいいね。彼女にとってペレアス王女の身分は、もう不要なものだから。新しい名前と身分で、ウィリスで生きる――それが昨夜確認したエヴァ自身の意思だから。
「サイラス!貴様!俺を謀ったのか!」
そーやってすぐキレる。ダメだコイツ。
「アンタの認識が甘いだけだろ」
第一、ライオネルは『ロイ』を殺害してあの汚いクソ野郎を彼の亡骸に宿らせたのだ。これで助けてもらえるとか、どんだけ脳ミソお花畑なんだよ。
「なんで!なんでだ!なんでこんな何もない辺境が栄えて、銀山のある南部は困窮する!なんで!」
挙げ句、セヴランたち各国の目もある会議室の入口で大声で喚く。あまりにもお粗末な王子様だ。
「なんで?そんなの自分で考えろ」
南部が困窮する?そりゃアンタが何もしないからだ。言っとくけど、私たちはここまでウィリスを発展させるのに、苦労の連続だった。失敗しまくって、泣きを見て、足掻いて足掻いてようやく手に入れた発展なんだ。簡単に手に入ると思うなよ?
「考えても、わかんないんだよ!」
泣き喚くライオネル。
「じゃ、勉強しろ」
全うに帝王学なり経営学なり修めれば、歴史を紐解けば。あるいは知識ある誰かと対等に話し合える知識を身につければ、知恵を借りられる。努力もなしに、得られるものなんか何もないんだよ。まあ、努力しても失敗するし、報われないことも多々あるけどね。
「兄、残念だけど今の貴方に、助ける価値を見出せないの。兄を助けてウィリスにも何らかのメリットがあるなら私たちも…」
「メリットだ?!なら銀だ!銀を融通する!」
エヴァが皆まで言い終わらないうちに言葉を被せるライオネル…。エヴァが額に手を当てた。
「兄…、その銀山、採掘始まって何年経つか知ってる?」
「なに?」
虚を突かれたライオネルにエヴァは嘆息した。
「四十五年だよ。意味、わかる?」
なっがいな~。それ、既に枯渇してんじゃない?
「反乱が起こる前…もう十年くらいは前にね、私、鉱山の採掘報告書を見たんだけど。見事なまでにキリのいい数字だったよ。虚偽の数字だって一目でわかった」
「虚偽…?」
呆然とするライオネル。
「後は兄が自分で考えて」
エヴァがライオネルに背を向け、ポソッと「ゼロじゃないけどね」と私にだけ聞こえるように呟いた。ああ、枯渇はしてないんだ。この国、しょっちゅう戦争やってたし、慢性的な働き手不足だったんだろう。だから四十五年なんて長い間採掘ができていた。そういうことかな。
静かになったライオネルを置いて、私たちはさっさと会議室を後にした。バカ王子と遊んでいる暇はない。
ライオネルは私たちにフラれた腹いせか、私が女だと言いふらしてまわった。
「まったく相手にされていなかったな」
セヴランがニヤニヤして教えてくれた。逆に私が男という認識が強化されたらしい。さすがバカ王子…。信用されてないって恐いねー(棒読み)。
ライオネルはその後早々に、ノエルと『ロザリー』に引き摺られるようにして南部へ帰っていった。
同じ頃、エヴァに痴漢した脂ギッシュ司祭様もウィリスから出ていった。聖鳥フレスベルクが魔物に喰われた(実際は公爵令嬢に喰われたんだけど)責任を問われて、本部に送還されたらしい。ウィリスの教会には、別のちゃんとした司祭様が派遣されてきた。めでたしめでたし。
◆◆◆
王子会談の翌日。私宛に大量の荷物が贈られてきた。送り主は、メドラウド公ノーマンさん。
「なんじゃこりゃあっ?!」
私室を埋める長櫃に、私は悲鳴をあげた。長櫃の中身は…
ドレス、ドレス、ドレス、ドレス…
そして…
ベビードレス。
「……。」
添えられていたカードには、『すぐ必要になると思うよ』との直筆メッセージ。おいっ!
「アル!」
モルゲンの宿で寛いでいた元凶に、私は掴みかかって、
「ふおぅ?!」
秒で押さえこまれた。うぐぅ…やっぱ格闘技だとアルに全然敵わない。
「…ノーマンさんにチクったでしょ」
組み敷かれたまま半眼でアルを睨むと、「ん?」とアルは首を傾げた。その顔…確信犯だな!
「部屋がドレスで埋まったんだからぁ!あと、ベビードレスとかどういうつもり?!」
長櫃開けたらどういう仕組みか、ドレスが膨らんで溢れ出た。圧縮機能付きか?!部屋の惨状を見たオフィーリアにしこたま怒られ、山のようなベビードレスを見た父さんからは「返してきなさい!」って怒鳴られた。…理不尽だ。
「なっ?!ちょ…アル!」
首筋に顔を埋めてくるアルの頭を引っつかむ。そういう目的で来たんじゃないからっ!
「ああ…ベッドに行くか?」
「そーゆー問題じゃな…ふにゃあ?!」
セクハラだよ!アルフレッドさん!
「この後も仕事か?」
「いや…予定は入れてないけど…?」
「ん」
いや、「ん」って何だよ、「ん」って!ちょ…!どこ触ってんですかアルフレッドさん?!
……。
……。
濃厚に愛された後、解放された。アルに逢うのは危険だ。しばらく控えよう。
文明が中世並みのこの世界に、便利な避妊具などあるはずもない。中絶は死ぬ確率の方が高いし、出産だって医療水準の低さ故に命懸けなのだ。それに…前世の『私』の友人は、悪阻で水も飲めなくなって入院したんだよね…。妊娠なんかできないよ。今、動けなくなるわけにはいかないんだ。
ドレスはオフィーリアに、宝飾品はエヴァにあげよう。ベビードレスは…
「嫌だっ!こんっっなフリフリヒラヒラな人間の服なんか着れるかぁ!ブッヒー!!」
「やっぱ着ぐるみはテッパンだよねぇ」
ほ~ら、この牛柄のフード付きなんか牛魔王らしくて…
「いや~ん♡カワイイッ♡♡」
「ブヒヒッ…陰険だぞ邪竜の娘ブゥ…」
カルビ君にあげた。
◆◆◆
「フッ…ハハハハハ!」
新たな報告を読んで、つい笑ってしまった。やはりアレは面白いことをしでかす。
別荘への途上。パチパチと温かな音を響かせる暖炉の前で、皇帝は新たな報告書を読んでいた。
報告書曰く、また王子会談なるものを開いたという。あのメドラウド公子息をどう考えているのか知らないが、ギルドや教会の代表者も交えての会議だという。そこで決めたことがまた笑える。
議席に着く代表者を、王族もしくはそれに相当する身分且つ将軍経験のある男子に限る
「貴様は男ではなかろう!」
それどころか、人間でさえないと言うではないか。魔物が魔物封印のための会議を開き、尚かつ議席に座る資格を男限定にすると抜かす。実に滑稽だ。滑稽が過ぎていっそ清々しささえ覚える。
「しかし、」
笑いを堪え、皇帝は目を細めた。
「あのどうしようもないライオネルを支持する、か。これは、貴様自身の首を絞めることになるぞ?」
貴族…それも由緒正しき老害どもほど『血筋』至上主義。一度捨てた駒は拾わない。
ペレアス王女とやらは、随分甘い考えの持ち主のようだ。議決で却って包囲が狭まったのではないか?『王配』ほど、美味い汁が吸える役職などない。新参国と手を組んだところで、王族の軛から逃れられるとは思えぬ。
「貴様が王女の肩を持つ、となると…」
国はいよいよまとまりが危うくなる。
懐から出したのは、一冊の薄っぺらな本だ。『貴族の品格』などと銘打ってある。こんな毒物が蔓延し、内腑から壊死が始まった国だ。後継問題がトドメにならねばよいがな。
帝国側としては、海域の警備を強化した方がよいだろう。中央が衰えれば、台頭するのは有無を言わせぬ『力』だ。
開口一番、金を寄こせ……しかも自領の内情までペラペラと…。さすがバカ王子と言うべきか。頭痛がしてきた。
「何を勘違いしているのかな?」
さり気なくエヴァを背に庇い、私は無表情にライオネルを見上げた。
「私はアンタを助けるとは、ひと言も言っていない。すべて王女殿下を不本意な未来から守るためにやったことだ。アンタは、そのお釣りで王太子に戻るチャンスを得られた。そこから先は自力で頑張ってもらいたいね」
エヴァを南部に?行かせるわけないでしょ。友達を毒殺の前科がある兄の元へやる?有り得ないね。
「しかし俺を支持すると…」
面食らうライオネル。はぁ…おめでたい脳ミソしてるね、コイツは。
「議席に座る資格を聞いていなかったのかな?『王族もしくはそれに相当する身分且つ将軍経験のある男子に限る』…アンタ限定じゃない。あくまでも王女殿下とアンタを比べたら、アンタの方が条件に当てはまると言っただけだ。私は王女殿下の考えは支持するとは言ったけど、アンタを支持すると言った覚えこれっぽっちもないんだがね」
むしろ危機感を持って欲しい。王族と限定していないことに。自分の身分が保障されるのは、古参派貴族が『代わり』を担ぎ出して来るまでだ。ライオネルには、ほんの少しの猶予しかないのだ。
エヴァの王太女立太は、兄の陣営についたと表明したことで、御輿には使えないと印象づけた。後は…頃合いを見計らって、エヴァには病気になってもらう。兄に近づいて毒殺されたことにしてもいいね。彼女にとってペレアス王女の身分は、もう不要なものだから。新しい名前と身分で、ウィリスで生きる――それが昨夜確認したエヴァ自身の意思だから。
「サイラス!貴様!俺を謀ったのか!」
そーやってすぐキレる。ダメだコイツ。
「アンタの認識が甘いだけだろ」
第一、ライオネルは『ロイ』を殺害してあの汚いクソ野郎を彼の亡骸に宿らせたのだ。これで助けてもらえるとか、どんだけ脳ミソお花畑なんだよ。
「なんで!なんでだ!なんでこんな何もない辺境が栄えて、銀山のある南部は困窮する!なんで!」
挙げ句、セヴランたち各国の目もある会議室の入口で大声で喚く。あまりにもお粗末な王子様だ。
「なんで?そんなの自分で考えろ」
南部が困窮する?そりゃアンタが何もしないからだ。言っとくけど、私たちはここまでウィリスを発展させるのに、苦労の連続だった。失敗しまくって、泣きを見て、足掻いて足掻いてようやく手に入れた発展なんだ。簡単に手に入ると思うなよ?
「考えても、わかんないんだよ!」
泣き喚くライオネル。
「じゃ、勉強しろ」
全うに帝王学なり経営学なり修めれば、歴史を紐解けば。あるいは知識ある誰かと対等に話し合える知識を身につければ、知恵を借りられる。努力もなしに、得られるものなんか何もないんだよ。まあ、努力しても失敗するし、報われないことも多々あるけどね。
「兄、残念だけど今の貴方に、助ける価値を見出せないの。兄を助けてウィリスにも何らかのメリットがあるなら私たちも…」
「メリットだ?!なら銀だ!銀を融通する!」
エヴァが皆まで言い終わらないうちに言葉を被せるライオネル…。エヴァが額に手を当てた。
「兄…、その銀山、採掘始まって何年経つか知ってる?」
「なに?」
虚を突かれたライオネルにエヴァは嘆息した。
「四十五年だよ。意味、わかる?」
なっがいな~。それ、既に枯渇してんじゃない?
「反乱が起こる前…もう十年くらいは前にね、私、鉱山の採掘報告書を見たんだけど。見事なまでにキリのいい数字だったよ。虚偽の数字だって一目でわかった」
「虚偽…?」
呆然とするライオネル。
「後は兄が自分で考えて」
エヴァがライオネルに背を向け、ポソッと「ゼロじゃないけどね」と私にだけ聞こえるように呟いた。ああ、枯渇はしてないんだ。この国、しょっちゅう戦争やってたし、慢性的な働き手不足だったんだろう。だから四十五年なんて長い間採掘ができていた。そういうことかな。
静かになったライオネルを置いて、私たちはさっさと会議室を後にした。バカ王子と遊んでいる暇はない。
ライオネルは私たちにフラれた腹いせか、私が女だと言いふらしてまわった。
「まったく相手にされていなかったな」
セヴランがニヤニヤして教えてくれた。逆に私が男という認識が強化されたらしい。さすがバカ王子…。信用されてないって恐いねー(棒読み)。
ライオネルはその後早々に、ノエルと『ロザリー』に引き摺られるようにして南部へ帰っていった。
同じ頃、エヴァに痴漢した脂ギッシュ司祭様もウィリスから出ていった。聖鳥フレスベルクが魔物に喰われた(実際は公爵令嬢に喰われたんだけど)責任を問われて、本部に送還されたらしい。ウィリスの教会には、別のちゃんとした司祭様が派遣されてきた。めでたしめでたし。
◆◆◆
王子会談の翌日。私宛に大量の荷物が贈られてきた。送り主は、メドラウド公ノーマンさん。
「なんじゃこりゃあっ?!」
私室を埋める長櫃に、私は悲鳴をあげた。長櫃の中身は…
ドレス、ドレス、ドレス、ドレス…
そして…
ベビードレス。
「……。」
添えられていたカードには、『すぐ必要になると思うよ』との直筆メッセージ。おいっ!
「アル!」
モルゲンの宿で寛いでいた元凶に、私は掴みかかって、
「ふおぅ?!」
秒で押さえこまれた。うぐぅ…やっぱ格闘技だとアルに全然敵わない。
「…ノーマンさんにチクったでしょ」
組み敷かれたまま半眼でアルを睨むと、「ん?」とアルは首を傾げた。その顔…確信犯だな!
「部屋がドレスで埋まったんだからぁ!あと、ベビードレスとかどういうつもり?!」
長櫃開けたらどういう仕組みか、ドレスが膨らんで溢れ出た。圧縮機能付きか?!部屋の惨状を見たオフィーリアにしこたま怒られ、山のようなベビードレスを見た父さんからは「返してきなさい!」って怒鳴られた。…理不尽だ。
「なっ?!ちょ…アル!」
首筋に顔を埋めてくるアルの頭を引っつかむ。そういう目的で来たんじゃないからっ!
「ああ…ベッドに行くか?」
「そーゆー問題じゃな…ふにゃあ?!」
セクハラだよ!アルフレッドさん!
「この後も仕事か?」
「いや…予定は入れてないけど…?」
「ん」
いや、「ん」って何だよ、「ん」って!ちょ…!どこ触ってんですかアルフレッドさん?!
……。
……。
濃厚に愛された後、解放された。アルに逢うのは危険だ。しばらく控えよう。
文明が中世並みのこの世界に、便利な避妊具などあるはずもない。中絶は死ぬ確率の方が高いし、出産だって医療水準の低さ故に命懸けなのだ。それに…前世の『私』の友人は、悪阻で水も飲めなくなって入院したんだよね…。妊娠なんかできないよ。今、動けなくなるわけにはいかないんだ。
ドレスはオフィーリアに、宝飾品はエヴァにあげよう。ベビードレスは…
「嫌だっ!こんっっなフリフリヒラヒラな人間の服なんか着れるかぁ!ブッヒー!!」
「やっぱ着ぐるみはテッパンだよねぇ」
ほ~ら、この牛柄のフード付きなんか牛魔王らしくて…
「いや~ん♡カワイイッ♡♡」
「ブヒヒッ…陰険だぞ邪竜の娘ブゥ…」
カルビ君にあげた。
◆◆◆
「フッ…ハハハハハ!」
新たな報告を読んで、つい笑ってしまった。やはりアレは面白いことをしでかす。
別荘への途上。パチパチと温かな音を響かせる暖炉の前で、皇帝は新たな報告書を読んでいた。
報告書曰く、また王子会談なるものを開いたという。あのメドラウド公子息をどう考えているのか知らないが、ギルドや教会の代表者も交えての会議だという。そこで決めたことがまた笑える。
議席に着く代表者を、王族もしくはそれに相当する身分且つ将軍経験のある男子に限る
「貴様は男ではなかろう!」
それどころか、人間でさえないと言うではないか。魔物が魔物封印のための会議を開き、尚かつ議席に座る資格を男限定にすると抜かす。実に滑稽だ。滑稽が過ぎていっそ清々しささえ覚える。
「しかし、」
笑いを堪え、皇帝は目を細めた。
「あのどうしようもないライオネルを支持する、か。これは、貴様自身の首を絞めることになるぞ?」
貴族…それも由緒正しき老害どもほど『血筋』至上主義。一度捨てた駒は拾わない。
ペレアス王女とやらは、随分甘い考えの持ち主のようだ。議決で却って包囲が狭まったのではないか?『王配』ほど、美味い汁が吸える役職などない。新参国と手を組んだところで、王族の軛から逃れられるとは思えぬ。
「貴様が王女の肩を持つ、となると…」
国はいよいよまとまりが危うくなる。
懐から出したのは、一冊の薄っぺらな本だ。『貴族の品格』などと銘打ってある。こんな毒物が蔓延し、内腑から壊死が始まった国だ。後継問題がトドメにならねばよいがな。
帝国側としては、海域の警備を強化した方がよいだろう。中央が衰えれば、台頭するのは有無を言わせぬ『力』だ。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる