上 下
30 / 94
2章、ハードな森編

28、森といえば・・・

しおりを挟む
 俺は最近、強くなっていた。自覚している。そして調子に乗りました。それも自覚しております。

 ここ最近、肉や魔石目的で凄い勢いで魔獣をぶっ倒し、ぶった斬っておりました。反省しております。

 だけどさ、なんでお前が現れるかな?ゴリラ。

 俺の目の前で怒っているが如く仁王立ちするのはあの日、狼を瞬殺したゴリラだった。

 その下には肉片が広がっていた。今回の俺の目的だった熊である。

 俺はどうやって逃げるか神経を巡らせていた。

 そしてこんなことになった原因を思い出していた。

......................................................................

 黒輝 勇馬くろき ゆうま  以下略 Lv.25
【種族】
上級世界人
【ステータス】
HP 3450/3450
SP 3820
MP 0/0
AP 4790
GP 2569
MGP 98
FP 4560
【称号】
中級剣士、中級闘士、軍師、料理人、美女、被封印者、上級世界人、仕事人、逃走者、愛植家、魔獣を殲滅せし者、魔人
【スキル】
剣術Lv.8、闘術Lv.8、見切り、AP上昇、SP上昇、FP上昇、視覚拡張、運気上昇、念話、万能味覚、魅了、封印Lv.3、成長倍加、アイテムボックス×250、並列思考、高速思考、逃げ足、瞬脚、雷攻撃Lv.3、雷耐性Lv.5、空間機動、火耐性Lv.1、水耐性Lv.2、風耐性Lv.1、毒攻撃Lv.1、毒耐性Lv.2、気配感知、気配遮断、魔獣殺法モンスター・キラー、威圧、夜目、破壊耐性Lv.1

 ・・・なんかもう慣れてしまいましたなぁ。また成長したんだなぁとは思うけども。

 ただしMP、MGPは全く育たん。特にMP。何故なんだ!?・・・愛坂に頼んでやって調べてもらうべきだったか・・・。

 ちなみに鹿をぶっ倒してから今日で4日目だ。

 こんな間にも俺はだいぶ濃密な経験を積んでいた。

 例えば?そうだなぁ・・・いきなり滝ボチャンかと思えばその底に水玉撃ってくるトカゲみたいなのがいたり、身体中炎にまみれてる熊だとか、翼の部分が明らかに刃のように思える鷹だとか、くっらい夜道、敵も見えない中で襲いかかってきた大蛇とか。・・・改めてこの四日間はとても濃かったなぁ。

 本気で死ぬかと思ったわぁ。特に蜂どもが洞窟に入ってきた時は死ぬかと思った。あいつら鼻ないからチガの実使えないし大変だった。結果【雷攻撃】を使うことになったのだが・・・いや、もうこの話はよそう。俺が虚しくなるだけだ。

 にしても、えらい成長したんだなぁ。この森での思い出はどんだけでも思い出せるし・・・。

 さてと、感慨に陥るのはもうやめにして狩に行くとしますか。

 今日はとりま熊かなぁ?あいつ食いごたえがあるんだよねぇ。

 といった感じで熊を探しにいって、見つけた。

 実際に一刀両断にはできたし、もう少しで解体にかかろうとするところだったのだ。

 だが、しかーし!!

 ここで、空気読まんゴリラさんが登場でーす。

 えげつないくらいに腕を掲げ上げ、俺に向かってその腕を落とした。

 ドガァアアアアン!!!

 例の如く、破砕音が起きた。

 俺は慌てて避ける。そら、逃げますがな。逃げんと死にますがな。

 なんとかギリギリで避けることはできた。ただし、俺が倒した熊はパンチにプレスされ、木っ端微塵となったが・・・。

 こうして冒頭のシーンに戻るわけなのだが、過去の自分を責めても何も変わりはしないと改めて思う。

 というかな、ゴリラよ。あんたどんなステータスしてんだよ。

 俺はもうこの森においてFPはもうトップクラスだと自負していた。事実そうだと思うし、【瞬脚】を使えば敵はいない。

 だが、【瞬脚】を使っていない状態とはいえ、このゴリラは俺の速度を明らかに上回っていた。

 しかも、熊はなかなかのGPを誇っている。そうだというのにそれを文字通りミンチへと変える怪力。恐らく一発でもまともに受ければHPはその時点で0へと達するだろう。

 正直に言えば戦いたくはない。なんと言っても相手はそれほどに格上。勝てる相手ではない。

 だが、このゴリラは俺を逃がしはしないだろう。

 むしろ俺のことを叩き潰してくるだろう。

 コイツはそれほどのステータスを持っている。それこそ、背を向けて仕舞えば死んでしまうくらいには。

 正直、狼の時のような過大評価はないだろう。あからさまなほどにコイツの実力はありありとわかる。

 だから逃げはしない戦う。戦って・・・勝ってやる!

 俺は勇気を胸に眼を見開いた。
しおりを挟む

処理中です...