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1章、王国在住編
16、決戦前夜
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決戦前日の夜、勇馬は会議室の机でブツブツと呟いていた。それは今回立てた自身の作戦、これに一つのミスでもあれば死人が大量に出てしまうからだ。
勇馬は別にアゲハたち以外は死んでも良いと考えている。特に思い入れもない連中、クラスメイトが死んで行くのは彼にとっては問題ではない。
しかし、彼は好きで自身の手札を減らすわけではない。確かに天翔たちは友人ではない。それでも利用価値はある。
だからこそ、今回の戦いではできるだけ死人を出さないようにしたい。おそらく、いや確実に次の戦いもあるのだから。
そんな一人しかいないのに張り詰めた空間に、能天気な声が響いた。
「勇馬くーん、お菓子いるー?」
・・・なんていう。
「何だ、アゲハか。驚かせんなよ」
そういいながら俺は菓子をアゲハから一個もらって作業に戻る。
「ゴメンねー。でも、ここしばらく寝てないでしょ?流石にみんな心配してるよ」
「・・・そうか」
アゲハの声は勇馬の耳には届いていない。それほど勇馬は作戦の確認に集中していた。
すると、
ゴチン!
という音が鳴ると同時に
「っ!いっったぁぁあああ!!!!なにすんだぁぁああ!!??」
勇馬の絶叫が響いた。
どうやらアゲハが勇馬の頭にチョップをかましたようだ。戦闘組の中でもトップクラスのステータスを持つアゲハのチョップは勇馬のHPを大きく減少させた。
そしてアゲハが口を開く。
「・・・勇馬くんって失礼だよね?」
「・・・は?」
アゲハの発言に勇馬は少し腹が立った。
これだけ自分が頑張っているのは今の環境を、4人で笑いながらだらだら過ごす日々を守るためだ。それなのにそれのどこが不満なのか。
そんな風に勇馬は思った。
だが、次の瞬間勇馬の目に映ったのは目から涙をこぼすアゲハの姿だった。
勇馬は「えっ?これ俺のせい?」と考えた。でも何が原因なのかわからない為、下手に謝ったらさらに悪化するかもしれないと思い、勇馬はどうすればいいかアワアワしている。
「勇馬くんはいっつも、いつもどれだけ自分が傷つくとか関係なしに私たちを守ろうとしてくれる。だけど、私たちは勇馬くんが傷つくのは嫌なんだよ!」
「・・・」
確かに今回、勇馬の役目は下手すれば真っ先に殺される役目にある。そうしたのは単純にその方が効率的だったからなのだが、まさかアゲハがそう思っていたとは思っていなかった。
「だから、もう少し私たちにも勇馬君が背負ってるもの背負わせてよ!!・・・もうすこし、頼ってよ・・・」
最後の一言はとても小さかった。
それでも不思議なほどにはっきりと聞こえた。
勇馬は少し嬉しく思った。
昔は一人だけだったのに、今では自分のことをここまで心配してくれる友達ができたからだ。
「ありがとよ、そこまで心配してくれてよ」
「!!?、・・・うん」
勇馬はアゲハの頭に手を乗せて撫でた。アゲハは顔を少し赤らめながら答えた。
「まぁ、俺はまずここで死ぬつもりはねーから安心しとけっての。いざ、ピンチになりゃあどんな手を使っても逃げ延びてやるよ。だから・・・」
何だかますますアゲハの顔が赤くなっているような気がするが気にしないことにしよう。
そう考えながら後の言葉を述べる。
「いつもみてぇに笑顔で毒舌吐いといてくれよ、アゲハ。そんな顔じゃこっちが心配になるからよ」
「う、うん・・・。それじゃあね、勇馬くん」
アゲハがダッシュで部屋を出る。
・・・俺セクハラした?
なんだか、ハラハラした気分で作業に戻る。
そして、決戦当日
勇馬たちとゴブリンの対決が始まる!
勇馬は別にアゲハたち以外は死んでも良いと考えている。特に思い入れもない連中、クラスメイトが死んで行くのは彼にとっては問題ではない。
しかし、彼は好きで自身の手札を減らすわけではない。確かに天翔たちは友人ではない。それでも利用価値はある。
だからこそ、今回の戦いではできるだけ死人を出さないようにしたい。おそらく、いや確実に次の戦いもあるのだから。
そんな一人しかいないのに張り詰めた空間に、能天気な声が響いた。
「勇馬くーん、お菓子いるー?」
・・・なんていう。
「何だ、アゲハか。驚かせんなよ」
そういいながら俺は菓子をアゲハから一個もらって作業に戻る。
「ゴメンねー。でも、ここしばらく寝てないでしょ?流石にみんな心配してるよ」
「・・・そうか」
アゲハの声は勇馬の耳には届いていない。それほど勇馬は作戦の確認に集中していた。
すると、
ゴチン!
という音が鳴ると同時に
「っ!いっったぁぁあああ!!!!なにすんだぁぁああ!!??」
勇馬の絶叫が響いた。
どうやらアゲハが勇馬の頭にチョップをかましたようだ。戦闘組の中でもトップクラスのステータスを持つアゲハのチョップは勇馬のHPを大きく減少させた。
そしてアゲハが口を開く。
「・・・勇馬くんって失礼だよね?」
「・・・は?」
アゲハの発言に勇馬は少し腹が立った。
これだけ自分が頑張っているのは今の環境を、4人で笑いながらだらだら過ごす日々を守るためだ。それなのにそれのどこが不満なのか。
そんな風に勇馬は思った。
だが、次の瞬間勇馬の目に映ったのは目から涙をこぼすアゲハの姿だった。
勇馬は「えっ?これ俺のせい?」と考えた。でも何が原因なのかわからない為、下手に謝ったらさらに悪化するかもしれないと思い、勇馬はどうすればいいかアワアワしている。
「勇馬くんはいっつも、いつもどれだけ自分が傷つくとか関係なしに私たちを守ろうとしてくれる。だけど、私たちは勇馬くんが傷つくのは嫌なんだよ!」
「・・・」
確かに今回、勇馬の役目は下手すれば真っ先に殺される役目にある。そうしたのは単純にその方が効率的だったからなのだが、まさかアゲハがそう思っていたとは思っていなかった。
「だから、もう少し私たちにも勇馬君が背負ってるもの背負わせてよ!!・・・もうすこし、頼ってよ・・・」
最後の一言はとても小さかった。
それでも不思議なほどにはっきりと聞こえた。
勇馬は少し嬉しく思った。
昔は一人だけだったのに、今では自分のことをここまで心配してくれる友達ができたからだ。
「ありがとよ、そこまで心配してくれてよ」
「!!?、・・・うん」
勇馬はアゲハの頭に手を乗せて撫でた。アゲハは顔を少し赤らめながら答えた。
「まぁ、俺はまずここで死ぬつもりはねーから安心しとけっての。いざ、ピンチになりゃあどんな手を使っても逃げ延びてやるよ。だから・・・」
何だかますますアゲハの顔が赤くなっているような気がするが気にしないことにしよう。
そう考えながら後の言葉を述べる。
「いつもみてぇに笑顔で毒舌吐いといてくれよ、アゲハ。そんな顔じゃこっちが心配になるからよ」
「う、うん・・・。それじゃあね、勇馬くん」
アゲハがダッシュで部屋を出る。
・・・俺セクハラした?
なんだか、ハラハラした気分で作業に戻る。
そして、決戦当日
勇馬たちとゴブリンの対決が始まる!
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