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1章、王国在住編
13、犯罪追跡劇!(犯罪なのは追跡する方)
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園田と蓮は城下町で有名な喫茶店に来ていた。
「こ、ここのホットケーキもどきは美味しいね、園田くん」
「・・・そうだな」
「「・・・」」
蓮が少し慌てながら言葉を紡ごうとするが、園田がすぐさま短い答えで会話を切ってしまう。
一見、少し険悪な雰囲気に見えるが、実際は
(ど、どうして会話を続ければいいんだろうか?やっぱり園田くんだし数学の話をすればいいのかな?でもそれだと「うん、うん」みたいな適当な返事になってしまう可能性が高いから、そんなんじゃ感じの悪い女って思われるかも。どうすればぁあああ!!!)
と、蓮は感じており。一方の園田は
(蓮と2人っきりって、あいつ俺と蓮じゃ会話が続かねぇって知ってんだろうが。・・・クッソ、どういう奴が蓮のタイプなんだよ。勇馬は一向に知らせてくれねぇし。・・・会話の糸口も見つけられねぇ。だれか助けてくれぇえええ!!!)
と、こんな感じだった。
実は2人ともお互いのことを好き合ってたりする。それなのにいつもお互いすれ違っていっているわけだ。
そして、そんな光景を
「ふざけんな、園田!!そこはまず会話始めやがれ!テメェのその無口感がすごく話辛い状況を作り出してんだろうが!!」
「蓮ちゃん、ちゃんと園田くんの目を見て!!あと、襟口を少し開けて色気をだすの!!」
「お二人とも!!声がでかいです!!」
勇馬は一喝、アゲハは応援、そしてアルベルトは園田たちに見つからないように注意していた。
ちなみにこの3人は園田たちがいる喫茶店の向かい側にあるいかにも怪しげな喫茶店へ入っていた。
店の人は「こいつらからなんぼ取れるかのぉお」とか「顔いいんで奴隷として打っちゃいませんか、兄貴」とさすごくやばそうな話をしているが3人にとってはどうでもいいことだ。
「お!あいつらまた動くみてーだぞ!全く喋れてないくせに」
「行こう!勇馬くん!アルベルトさん!」
「はい、了解です!」
もはやアルベルトさんもノリノリであった。この人多分地球の恋愛ドラマ見たらおそらくスタンディングオベーションをおこなうだろう。
そして店を出て行こうとしたら・・・
「待ちな、嬢ちゃんら。有金ぜーんぶ俺たちが頂く」
「ついでにボロクソになるまで扱ってやるよ!」
怪しい方々に入り口を防がれた。ちなみにもう代金は払ってあるので出ていっても特に問題はない。
「・・・遺言なら聞いてやる」
「ハッハッハッ、面白いこと言うねぇー、お嬢ちゃ『ぶっ飛べ!』グベッ!」
いつも通りキレまーす。その理由は単純、勇馬の逆鱗に触れたからだ。
「全員、覚悟してんだろうなぁ」
ゆらり、ゆらりと勇馬が歩み寄る。まさしく亡霊のように!
本来、ここは逃げるべきと怪しい方々は理解できたはずなのに「仲間がやられた、しかも女に。このまま黙って逃げるわけにはいくかぁあああ!!」みたいな感じのプライドのせいで逃げずに腰から護身用のナイフを取り出した勇馬と戦ってしまった。
その店には「俺は女じゃねぇええ!!」と言う怒号と破砕音、さらには野太い悲鳴が上がっていた。
この後、店の怪しい方々全員が所々を刻まれており、勇馬に対して「「「すんませんでした、兄貴ぃいいいい!!」」」と言うことになる。
ついでに言えば勇馬は「あんだけで降参するなんざ根性がねぇ豚どもだなぁ」とドSな笑みを浮かべながら全員の頭を踏んで行っていた。
連れ2人からは「もうヤクザじゃん」だとか「どちらが被害者でしたっけ?」といった感想を浮かべていた。
もちろん、その後園田と蓮を見つけることは出来なかった。
......................................................................
「あーもう、結局あの後2人がどうなったか分からなかったじゃん」
「・・・面目ねぇ」
「それとあそこまでやってしまうと正当防衛と言えなくなるので注意して下さい」
「・・・それはあいつら喜んでたから良かったんじゃね?」
「「いやいやいやいや」」
城へ帰る夕日に照らされる帰り道、勇馬は2人に叱られていた。ただし、勇馬はドSだった点はあまり反省していないようだ。・・・ドSの根は深い。
すると突然
「あ!そういえば!アゲハ!これやる!」
と言いアゲハに向けて何かを差し出す。
「・・・へ?」
流石のアゲハもあっけに取られたのか間抜けな声を上げる。
勇馬が手を開くとそこにはポップでカラフルなヘアピンが数本、存在した。
「いきなり、どうして?誕生日でもないのに?」
「いや、転生された日が誕生日だっただろうが。あの日買った誕生日プレゼントは多分クラスに置かれたままだったみたいだし、こっちで買ってきたんだよ」
少し照れながら勇馬は「いいから早く受け取れ。恥ずいだろうが」と言った。
アゲハは今が夕方であって良かったと感じた。きっと、そうでなければ自分の真っ赤な、みっともない顔が勇馬にバレてしまうだろうから。
「ありがとう」
小さな、本当に小さな声でアゲハは一生懸命その言葉を口に出す。
勇馬は「気にすんな」と軽やかに笑う。
アルベルトはそんな2人の姿をなんだか眩しいものを見るかのごとく目を細めてみていた。
城の門の前に顔馴染みの2人が立っていた。
勇馬とアゲハはお互いにニヤリと笑って歩み出す。
きっと彼らはこの後楽しげに笑い合いながら、問い詰めて行くことになるだろう。
神はこの微笑ましい光景を眺める。
この後彼らに襲い掛かる困難を想いながら。
「こ、ここのホットケーキもどきは美味しいね、園田くん」
「・・・そうだな」
「「・・・」」
蓮が少し慌てながら言葉を紡ごうとするが、園田がすぐさま短い答えで会話を切ってしまう。
一見、少し険悪な雰囲気に見えるが、実際は
(ど、どうして会話を続ければいいんだろうか?やっぱり園田くんだし数学の話をすればいいのかな?でもそれだと「うん、うん」みたいな適当な返事になってしまう可能性が高いから、そんなんじゃ感じの悪い女って思われるかも。どうすればぁあああ!!!)
と、蓮は感じており。一方の園田は
(蓮と2人っきりって、あいつ俺と蓮じゃ会話が続かねぇって知ってんだろうが。・・・クッソ、どういう奴が蓮のタイプなんだよ。勇馬は一向に知らせてくれねぇし。・・・会話の糸口も見つけられねぇ。だれか助けてくれぇえええ!!!)
と、こんな感じだった。
実は2人ともお互いのことを好き合ってたりする。それなのにいつもお互いすれ違っていっているわけだ。
そして、そんな光景を
「ふざけんな、園田!!そこはまず会話始めやがれ!テメェのその無口感がすごく話辛い状況を作り出してんだろうが!!」
「蓮ちゃん、ちゃんと園田くんの目を見て!!あと、襟口を少し開けて色気をだすの!!」
「お二人とも!!声がでかいです!!」
勇馬は一喝、アゲハは応援、そしてアルベルトは園田たちに見つからないように注意していた。
ちなみにこの3人は園田たちがいる喫茶店の向かい側にあるいかにも怪しげな喫茶店へ入っていた。
店の人は「こいつらからなんぼ取れるかのぉお」とか「顔いいんで奴隷として打っちゃいませんか、兄貴」とさすごくやばそうな話をしているが3人にとってはどうでもいいことだ。
「お!あいつらまた動くみてーだぞ!全く喋れてないくせに」
「行こう!勇馬くん!アルベルトさん!」
「はい、了解です!」
もはやアルベルトさんもノリノリであった。この人多分地球の恋愛ドラマ見たらおそらくスタンディングオベーションをおこなうだろう。
そして店を出て行こうとしたら・・・
「待ちな、嬢ちゃんら。有金ぜーんぶ俺たちが頂く」
「ついでにボロクソになるまで扱ってやるよ!」
怪しい方々に入り口を防がれた。ちなみにもう代金は払ってあるので出ていっても特に問題はない。
「・・・遺言なら聞いてやる」
「ハッハッハッ、面白いこと言うねぇー、お嬢ちゃ『ぶっ飛べ!』グベッ!」
いつも通りキレまーす。その理由は単純、勇馬の逆鱗に触れたからだ。
「全員、覚悟してんだろうなぁ」
ゆらり、ゆらりと勇馬が歩み寄る。まさしく亡霊のように!
本来、ここは逃げるべきと怪しい方々は理解できたはずなのに「仲間がやられた、しかも女に。このまま黙って逃げるわけにはいくかぁあああ!!」みたいな感じのプライドのせいで逃げずに腰から護身用のナイフを取り出した勇馬と戦ってしまった。
その店には「俺は女じゃねぇええ!!」と言う怒号と破砕音、さらには野太い悲鳴が上がっていた。
この後、店の怪しい方々全員が所々を刻まれており、勇馬に対して「「「すんませんでした、兄貴ぃいいいい!!」」」と言うことになる。
ついでに言えば勇馬は「あんだけで降参するなんざ根性がねぇ豚どもだなぁ」とドSな笑みを浮かべながら全員の頭を踏んで行っていた。
連れ2人からは「もうヤクザじゃん」だとか「どちらが被害者でしたっけ?」といった感想を浮かべていた。
もちろん、その後園田と蓮を見つけることは出来なかった。
......................................................................
「あーもう、結局あの後2人がどうなったか分からなかったじゃん」
「・・・面目ねぇ」
「それとあそこまでやってしまうと正当防衛と言えなくなるので注意して下さい」
「・・・それはあいつら喜んでたから良かったんじゃね?」
「「いやいやいやいや」」
城へ帰る夕日に照らされる帰り道、勇馬は2人に叱られていた。ただし、勇馬はドSだった点はあまり反省していないようだ。・・・ドSの根は深い。
すると突然
「あ!そういえば!アゲハ!これやる!」
と言いアゲハに向けて何かを差し出す。
「・・・へ?」
流石のアゲハもあっけに取られたのか間抜けな声を上げる。
勇馬が手を開くとそこにはポップでカラフルなヘアピンが数本、存在した。
「いきなり、どうして?誕生日でもないのに?」
「いや、転生された日が誕生日だっただろうが。あの日買った誕生日プレゼントは多分クラスに置かれたままだったみたいだし、こっちで買ってきたんだよ」
少し照れながら勇馬は「いいから早く受け取れ。恥ずいだろうが」と言った。
アゲハは今が夕方であって良かったと感じた。きっと、そうでなければ自分の真っ赤な、みっともない顔が勇馬にバレてしまうだろうから。
「ありがとう」
小さな、本当に小さな声でアゲハは一生懸命その言葉を口に出す。
勇馬は「気にすんな」と軽やかに笑う。
アルベルトはそんな2人の姿をなんだか眩しいものを見るかのごとく目を細めてみていた。
城の門の前に顔馴染みの2人が立っていた。
勇馬とアゲハはお互いにニヤリと笑って歩み出す。
きっと彼らはこの後楽しげに笑い合いながら、問い詰めて行くことになるだろう。
神はこの微笑ましい光景を眺める。
この後彼らに襲い掛かる困難を想いながら。
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