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第二計画
カーテンドレスで会いましょう 3
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◆◆◆
ルヴィク教区の神父が結婚したいと問い合わせてきた。
アレクが書類にサインをしていると枢機卿がそう報告をしてきた。
「ルヴィク侯爵、ハリーの領地だな」
「はい」
秘密の扉を開けて入ってきた、赤い法衣を纏った若き枢機卿であるジェラルドは頷いた。
幼馴染の彼は執務室までやってくるのを見られると問題がある時だけその扉を使ってくる。
「法律では禁じていませんが、領主と教皇の許可はいるので」
「なぜそれを私に」
近隣の娘と結婚し教区の世話をするのはよくあること。領主と教皇の処理するべき事案であって、王家には関係がない。
アレクは書類から顔も上げず、王家の血を引く彼が休憩を取りに来たのだと無視しようとした。
「神父が内密に問い合わせてきたからですよ。侯爵令嬢との結婚も可能かと」
「ハリーを呼べ」
「あと、数十分で着きますよ」
羽ペンをペン立てに戻すと、アレクは苛立ちを治めるために紅茶を口に含んだ。
あの教区の侯爵令嬢と言えば一人、ジュリア・マルヴァーンだ。
ジュリアは社交界デビューしたあの日以来、どの舞踏会にも出席していない。たまに王都には出てきているようだが、用事を済ますと帰ってしまうようだった。
ハリーは何をやっている、とアレクはこれ以上ないほど顔を顰める。
「そのカップ、高いですからね。それひとつで小作人家族の援助ができますからね」
カップを握りつぶさんばかりに見えたのだろう。ジェラルドはカップの心配を本気でしていた。
王家の血筋を持ち枢機卿という立場にいながらも、ジェラルドはそういった視点を持っている。美徳ではあるがその分、地位や権力がある人物には辛辣だ。
「ルシル地方は穀物収穫が安定している上に、領主が教区にもしっかり目を届かせています。そのお陰か物乞いをする孤児の数も少ない。修道院が孤児院を兼ねて、自給自足をする傍ら、薬草や機織りで現金収入を得る手法や、縫製と字を教えることによって、若い娘が性の仕事に身を落とさないで済む仕組みをいち早く取り入れていますね。素晴らしいです。それをアレク様の想い人がしていたなんて、あなたも女性を見る目があったのですね」
「お前に言われるまでも無く、ジュリア嬢は素晴らしい女性だ」
ジュリアの手腕はハリーから逐次聞いて知っている。
体を壊し亡くなった母親に変わって女主人役を務め、慈善の活動も引き継ぎ工夫で拡げている。ハリーが出征すると領地管理までこなしていた。
その彼女がこともあろうに教区の神父ごときと結婚だと? とアレクは苛立ちを押さえられずにジェラルドに八つ当たりをする。
「そういうお前のブルネットの想い人はどうなった。追いかけまわした挙句、逃げられているそうじゃないか」
「逃げられているわけではない。考える時間をあげているんだ」
負けじと言い返されて、アレクは控えの使用人に紅茶を運ばせるように指示をする。
虫は排除するように今まで圧力をかけてきた。やっとジュリアに求婚できる状況が整ってきたとたんにこれだ。
ジュリアの魅力が完全に開花する前に彼女を手に入れないといけない。紅茶が運ばれてくると同時にハリーが執務室へとやってきた。
「王子殿下、お呼びでしょうか」
「ハリー、ジュリアは教区の神父と結婚しようとしているのか」
議会用の礼装に身を包んだハリーは、アレクの単刀直入の質問にも眉ひとつ動かさずに答える。
「ありえません。許可しませんので」
「駆け落ちの可能性は」
「ありえません」
「なぜそう言い切れる」
「あの暮らしが快適だからですよ。妹は男の庇護を必要としていません」
後ろのソファに座っていたジェラルドは素晴らしいと手を叩く。妃候補が王の後ろで縮こまり、流行と賭け事に夢中になるような令嬢では困るのだ。
だが、アレクはジュリアを庇護し、囲って、大事にしたいと願っている。
アレクは矛盾した気持ちそのまま荒々しくジェラルドを睨みつけて、ハリーに続けた。
「ハリー。私はジュリア・マルヴァーンに求婚する。許可を」
「喜んでお受けしたします」
あっさりと返事をしたハリーに、後ろで紅茶を飲んでいたジェラルドが彼を見る。
「悩まないのかい」
ハリーはジェラルドに大仰に肩をすくめた。二人もまた剣を交えた戦友であり親友だ。
「王太子は賭博に溺れ、借金の肩代わりを王家に断られ、怪しげなことに手を出す始末。王太子一派の力はもうありません。アレク様は貴族のみならず教会をも味方につけています。先般の戦争で軍部からの信頼も厚い。煩い近隣新興国は叩き潰しました」
「なるほどね。でもそれが妹君
いもうとぎみ
を幸せにするとは限らないのでは」
ジェラルドは一緒に出された果物にチョコレートがコーティングされたお菓子を口に入れ、その甘さに顔を顰める。
「それにつきましては、アレク様は5年ほど女を抱いていないはずです。次期国王の座を狙うと決めてから、計略に使われやすい女を遠ざけましたから。戦争中も病気を避けるために接触なしです」
ハリーは気の毒そうな顔をしたジェラルドの横に腰掛け、すでに用意されていた紅茶を飲む。
「……無垢な乙女にはいささかキツい状況だねぇ」
「そこまでだ」
アレクは二人の話を遮った。
「返事はいつもらえる」
「議会も終わりましたし、明日には領地へ帰りますので5日ほど頂ければ」
「ジェラルド、ルヴィク教区に視察に行く。早急に手配を。ハリー、構わないな」
「ここで一筆書けということですね」
「話が早い」
王が興味を持っているので視察団を迎えるように、枢機卿の手紙と共に今から馬を早駆けさせるのだ。早急に神父とジュリアがどういう関係かを知らなければならない。
「王子が慈善にも心を砕いている事を知らしめる良い機会ですね。いいのでは」
ハリーがあっさりと承諾したことに、ジェラルドは複雑そうな顔をする。彼は王宮での影響力を上げることに興味がない。王家の周りには媚びへつらいながら足を引っ張りあう貴族も多く存在する。そんな所に妹を送り込んで喜ぶ人物ではない。
ジェラルドはハリーが妹をどれだけ愛しているのかを知っているだけに、もっと堅実な縁組を選ばないのが不思議なのだ。
ハリーは彼の背中を軽く叩いた。
「アレク様になら、妹を任せられます」
二人のやりとりを聞きながら、アレクはポケットに入っている懐中時計の蓋にそっと手に触れた。裏面にはジュリアの肖像が描かれている。マルヴァーン家が誕生日に描かせる彼女の肖像画を使って描かせているのだ。お陰でここ5年は毎年懐中時計を変えている。
こうやって、いつでも彼女と一緒にいた。
「私はしつこいのでね」
ジュリアが玄関ホールで絵画を誇らしげに眺め、初々しくも堂々と大広間でダンスをしていた姿が忘れられない。
懐中時計を変える度に『今年もですか』とハリーに呆れられるのもこれで最後だ。
まだ見ぬ神父をどう潰そうかと思いながら、アレクは書類にサインをするべく再び羽ペンを持った。
ルヴィク教区の神父が結婚したいと問い合わせてきた。
アレクが書類にサインをしていると枢機卿がそう報告をしてきた。
「ルヴィク侯爵、ハリーの領地だな」
「はい」
秘密の扉を開けて入ってきた、赤い法衣を纏った若き枢機卿であるジェラルドは頷いた。
幼馴染の彼は執務室までやってくるのを見られると問題がある時だけその扉を使ってくる。
「法律では禁じていませんが、領主と教皇の許可はいるので」
「なぜそれを私に」
近隣の娘と結婚し教区の世話をするのはよくあること。領主と教皇の処理するべき事案であって、王家には関係がない。
アレクは書類から顔も上げず、王家の血を引く彼が休憩を取りに来たのだと無視しようとした。
「神父が内密に問い合わせてきたからですよ。侯爵令嬢との結婚も可能かと」
「ハリーを呼べ」
「あと、数十分で着きますよ」
羽ペンをペン立てに戻すと、アレクは苛立ちを治めるために紅茶を口に含んだ。
あの教区の侯爵令嬢と言えば一人、ジュリア・マルヴァーンだ。
ジュリアは社交界デビューしたあの日以来、どの舞踏会にも出席していない。たまに王都には出てきているようだが、用事を済ますと帰ってしまうようだった。
ハリーは何をやっている、とアレクはこれ以上ないほど顔を顰める。
「そのカップ、高いですからね。それひとつで小作人家族の援助ができますからね」
カップを握りつぶさんばかりに見えたのだろう。ジェラルドはカップの心配を本気でしていた。
王家の血筋を持ち枢機卿という立場にいながらも、ジェラルドはそういった視点を持っている。美徳ではあるがその分、地位や権力がある人物には辛辣だ。
「ルシル地方は穀物収穫が安定している上に、領主が教区にもしっかり目を届かせています。そのお陰か物乞いをする孤児の数も少ない。修道院が孤児院を兼ねて、自給自足をする傍ら、薬草や機織りで現金収入を得る手法や、縫製と字を教えることによって、若い娘が性の仕事に身を落とさないで済む仕組みをいち早く取り入れていますね。素晴らしいです。それをアレク様の想い人がしていたなんて、あなたも女性を見る目があったのですね」
「お前に言われるまでも無く、ジュリア嬢は素晴らしい女性だ」
ジュリアの手腕はハリーから逐次聞いて知っている。
体を壊し亡くなった母親に変わって女主人役を務め、慈善の活動も引き継ぎ工夫で拡げている。ハリーが出征すると領地管理までこなしていた。
その彼女がこともあろうに教区の神父ごときと結婚だと? とアレクは苛立ちを押さえられずにジェラルドに八つ当たりをする。
「そういうお前のブルネットの想い人はどうなった。追いかけまわした挙句、逃げられているそうじゃないか」
「逃げられているわけではない。考える時間をあげているんだ」
負けじと言い返されて、アレクは控えの使用人に紅茶を運ばせるように指示をする。
虫は排除するように今まで圧力をかけてきた。やっとジュリアに求婚できる状況が整ってきたとたんにこれだ。
ジュリアの魅力が完全に開花する前に彼女を手に入れないといけない。紅茶が運ばれてくると同時にハリーが執務室へとやってきた。
「王子殿下、お呼びでしょうか」
「ハリー、ジュリアは教区の神父と結婚しようとしているのか」
議会用の礼装に身を包んだハリーは、アレクの単刀直入の質問にも眉ひとつ動かさずに答える。
「ありえません。許可しませんので」
「駆け落ちの可能性は」
「ありえません」
「なぜそう言い切れる」
「あの暮らしが快適だからですよ。妹は男の庇護を必要としていません」
後ろのソファに座っていたジェラルドは素晴らしいと手を叩く。妃候補が王の後ろで縮こまり、流行と賭け事に夢中になるような令嬢では困るのだ。
だが、アレクはジュリアを庇護し、囲って、大事にしたいと願っている。
アレクは矛盾した気持ちそのまま荒々しくジェラルドを睨みつけて、ハリーに続けた。
「ハリー。私はジュリア・マルヴァーンに求婚する。許可を」
「喜んでお受けしたします」
あっさりと返事をしたハリーに、後ろで紅茶を飲んでいたジェラルドが彼を見る。
「悩まないのかい」
ハリーはジェラルドに大仰に肩をすくめた。二人もまた剣を交えた戦友であり親友だ。
「王太子は賭博に溺れ、借金の肩代わりを王家に断られ、怪しげなことに手を出す始末。王太子一派の力はもうありません。アレク様は貴族のみならず教会をも味方につけています。先般の戦争で軍部からの信頼も厚い。煩い近隣新興国は叩き潰しました」
「なるほどね。でもそれが妹君
いもうとぎみ
を幸せにするとは限らないのでは」
ジェラルドは一緒に出された果物にチョコレートがコーティングされたお菓子を口に入れ、その甘さに顔を顰める。
「それにつきましては、アレク様は5年ほど女を抱いていないはずです。次期国王の座を狙うと決めてから、計略に使われやすい女を遠ざけましたから。戦争中も病気を避けるために接触なしです」
ハリーは気の毒そうな顔をしたジェラルドの横に腰掛け、すでに用意されていた紅茶を飲む。
「……無垢な乙女にはいささかキツい状況だねぇ」
「そこまでだ」
アレクは二人の話を遮った。
「返事はいつもらえる」
「議会も終わりましたし、明日には領地へ帰りますので5日ほど頂ければ」
「ジェラルド、ルヴィク教区に視察に行く。早急に手配を。ハリー、構わないな」
「ここで一筆書けということですね」
「話が早い」
王が興味を持っているので視察団を迎えるように、枢機卿の手紙と共に今から馬を早駆けさせるのだ。早急に神父とジュリアがどういう関係かを知らなければならない。
「王子が慈善にも心を砕いている事を知らしめる良い機会ですね。いいのでは」
ハリーがあっさりと承諾したことに、ジェラルドは複雑そうな顔をする。彼は王宮での影響力を上げることに興味がない。王家の周りには媚びへつらいながら足を引っ張りあう貴族も多く存在する。そんな所に妹を送り込んで喜ぶ人物ではない。
ジェラルドはハリーが妹をどれだけ愛しているのかを知っているだけに、もっと堅実な縁組を選ばないのが不思議なのだ。
ハリーは彼の背中を軽く叩いた。
「アレク様になら、妹を任せられます」
二人のやりとりを聞きながら、アレクはポケットに入っている懐中時計の蓋にそっと手に触れた。裏面にはジュリアの肖像が描かれている。マルヴァーン家が誕生日に描かせる彼女の肖像画を使って描かせているのだ。お陰でここ5年は毎年懐中時計を変えている。
こうやって、いつでも彼女と一緒にいた。
「私はしつこいのでね」
ジュリアが玄関ホールで絵画を誇らしげに眺め、初々しくも堂々と大広間でダンスをしていた姿が忘れられない。
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