優しい手に守られたい

水守真子

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番外編

番外編 二年経っても恋してる (2) ※R18(保険)

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「そうなの、コンパを頼まれてたの」

 運転席の亮一は「そうか」と言って、いつものように丁寧にカーブを曲がった。
 精悍な横顔に見惚れる前に、可南子を膝の上の手に視線を落とす。
 仕事が忙しいという亮一は、それに比例して顔付きが変わっていく。独特の達観した落ち着きのようなものが表情や態度から滲み出て、それは誘因性のある色気となる。

 可南子は唇を突き出した後、緊張を解くように息を吐く。

「……怒ってる?」
「何を」

 おかしそうに顔を緩めた亮一は「ガム、取ってくれ」と、強力な眠気覚ましのガムを視線で指した。
 可南子は頷いてガムを出すと、亮一に差し出す。

「口に入れてくれ」
「……もう」

 一度、可南子が運転中にガムを食べさせてから、必ず頼まれるようになった。
 信号が赤で車が止まってから亮一の口に小さなガムを運ぶ。

 ……唇に触れないように。

 そう指が緊張すると必ず触れてしまう。柔らかい感触は細かな痺れになって体の深部に届き、新たな蜜を絞ろうとうねりを起こす。そんな時は一瞬息を止めるらしい。その様子を必ず亮一は見ていて、「ありがとう」と言いながらベッドの上のような目を向けてくる。
 可南子が恨みがましく睨むと、悪戯をした後の子供のような笑顔で亮一は視線を前に戻した。

「で、何を怒ってると思ったんだ」
「……昨日、寝ちゃったことと、コンパの話をしてなかったこと」
「陽一兄さんも梨花さんも、子守りさせすぎたと謝ってただろう。コンパの話は、俺が忙しそうだからと遠慮した、と思ってるが、違うか」

 ……違わないけど。

 可南子は膝の上に戻した亮一の唇の感覚がまだある手を握る。
 双子の桜子と桃子は、すこぶるかわいい。甥も大和も結衣の第一子の翔も男の子なので、女の子の感覚が面白い。つい、付き合って疲れてしまった。
 それにしても、結衣の実家で寝てしまうとはと恥ずかしくなる。

「コンパね、私は行きたくないの。それで、近藤さんと小夜(さよ)で連絡を取り合ってもらえないかと思って、昨日から小夜にメールをしてて」

 可南子が友人からメールの返事がきているか確認しようと、焦りながらバッグのスマートフォン探していると、「落ち着けよ」と亮一がちらりと視線を寄越してきた。
 亮一に言わなくて済むように、二人でどうにかして欲しいとは思っていた。責められている気がするのは、どこかやましいからだ。
 小夜は『可南子も来て』と言ってくるが、もともとそういう場所が好きでは無い可南子には苦痛でしかない。

「……近藤とは、知り合いか」

 コンパの話をされた時、広信が珍しく言いづらそうに『一度、前の家の玄関で、かなちゃんに』と弱った笑顔を浮かべた事で思い出した。
 玄関の灯りを背にし、大きな影が出来て、太く低い大きな声が降ってきた。顔は思い出せないが、あの人かと思った。
 明るくて元気な人なのだとは思う。広信と結衣は仲良くしているから、悪い人では無いはずだ。
 だけど、とふっと気持ちが暗く沈んだ。

「一度、会ったことはあるけど、顔は覚えてない」

 運転中の亮一がぱっとこちらを向いた。可南子は顔を逸らすように、助手席側の窓から外を見る。

「紅葉の時期ですね。そういえば、銀杏が売ってましたね。銀杏ご飯、近いうちにしようかな」
「大歓迎だ。一緒に秋刀魚もいいな」

 話題を変えた可南子に気づいて、それ以上聞かずに話を合わせてくれた亮一に可南子は微笑する。

 仕事だと思えば、誰にでも会える。それは昔から変わらないが、男性が苦手だという意識は完全には無くならない。
 以前は、この苦手意識を無くそうと思っていた。
 けれど、部署が変わり結婚をし、環境が変わる中で、苦手は苦手で良いのではないかと思うようになった。苦手を克服する事に力を注ぎすぎると、頑なになりバランスを崩すのかもしれないと思えた。

 ちらりとそう思えるきっかけになった亮一を可南子は見やる。こだわりにこだわった物を揃え、それを飾りにせずに使っている人。
 なんでも、突き詰める人だと思っていた。だが、ジムの休憩スペースのソファに座って、ジムのプールは使わないのかと何気に聞いた時だった。

『ああ、泳ぐのは合わないと思ったからすぐに止めた』
『……そうなの?』
『可南子が泳ぐのが好きなら使えばいいんじゃないか。……が、水着か……』

 そこで顔を渋らせて宙を睨んだ亮一は、可南子がプールを使用することを全く望んでいなかった。可南子は顔を手で覆って、笑いを堪えるのに苦労した。
 楽しいことを数えられる生活は、心の中に余裕を作っていく。 

「……可南子がコンパに行くなら、俺も行くぞ。広信には話してる。一緒に行こう」
「え?」
「嫌か。……羽を、伸ばしたいか」
「そんな羽、ないもん」
「そうか。ま、俺は可南子が行くなら行く。それだけだ」
「……それ、前にも聞いたことある」

 確か、会ってすぐの頃。結婚するなんて、思いもしなかった時。小宮の件が合って、行かなくて済んだコンパがあった。

「そうだな、言ってたな。俺、ブレない男だな」
「何それ」

 くすくすと笑うと、亮一も笑う。

「広信さんも来るから、既婚者率が高くなって、それコンパじゃなくなる気もする」
「飲み会って考えればいいんじゃないか。嫌なら、自分たちだけでしろってことだ」
「すごい正論。広信さんは亮一さんが来ても良いって?」
「むしろ、来いと言われたよ」
「広信さん、亮一さんと遊びたいのかも。二人、とても仲が良いもの」
「そうでもない。……そうでもないぞ」

 苦虫を噛み潰したような顔をした亮一に「照れてる」と可南子は笑った。
 実際、亮一と広信が揃うと彼ら特有の空気感を辺りに漂わせる。信頼し合いながらも強い意志を譲り合わない二人はどこか超然としていた。二人の間には入れないような繋がりを感じるのだ。
 そこに明るい結衣が入っていくと場が一気に華やかな精彩を放つ。
 大学が一緒だったという三人は、誰もが憧れる存在だったことは容易く想像ができた。
 
 あくびをかみ殺した亮一に「運転、いつもありがとう」と可南子は礼を口にした。会ってから亮一はただの一度も運転を全く厭(いと)う態度を見せたことが無かった。

「どういたしまして」

 ハンドルを握れば性格がわかるという。疲れているから、眠いから、そんな理由で亮一の丁寧な運転は変わらない。

 左手の薬指にある指輪はもう新品特有の輝きは無かった。それでも、亮一との生活はまだ煌めいている。
 助手席の窓から外を見るつもりで目をやった。その窓ガラスに映った自分の顔は幸せそうに緩んでいた。



 朝早めに家を出たお陰か、道が混雑する前に帰ってくることができた。車がマンションの地下にある暗い駐車場に入ると、可南子はほっとした。思っている以上に疲れていたらしい。
 だが、家に帰ったからといって休めない。
 今からする家事を頭の中で考えていると、亮一とルームミラー越しに目が合った。

「とりあえず、昼食は食材の買い物ついでに何か買う。クリーニングは帰りに受け取ればいい」

 相変わらずの察しの良さに、可南子は何か顔に書いてあったのかと指で顔を触った。
 可南子が瀬名家で寝てしまったせいで一泊することになり、亮一は仕事ができていない。亮一は休みの日も仕事をしているので、一日潰してしまった後ろめたさもあって手伝ってもらうのはと気が引けた。
 亮一は駐車場に車を止めてサイドブレーキを掛けると、黙った可南子を見て「どうした」と声を掛けた。

「お仕事は? お昼、お弁当で良ければ、買い物は一人で行けるよ」
「二人でした方が早いし、可南子だけがすることじゃない」

 平然と言う亮一は、そういった行為が当然だと物語っている。
 だが、会社の既婚女性社員を話している中で、ここまで家事をしてくれる男性は珍しい方だと可南子は知った。休日は特に可南子との用事を最優先してくれて恐縮してしまう時がある。
 
 亮一の独身時代のこだわりの品々は、結婚してから増えていない。もっと行きたい所や、やりたいことがあるのに、自分のせいで後回しにしているのではないかと心配になる。
 もっと自由にしてもらっていいのに、と頼もしい夫を見た。

「亮一さんこそ、羽を伸ばしたらいいのに。私、コンパに行かない方が良い?」

 可南子は冗談ぽく言いながらシートベルトを外す。
 地下の駐車場はいつも手元が暗いが、蛍光灯の光が入ってくるので車内灯を付けるまでもない。

「……どういう意味だ」
「私がいない方が、楽しいんじゃないかと思っただけ。いつも気を使ってもらってるから。一緒にいることも多いし」
「俺と一緒にいるのが嫌なのか」

 可南子はドアノブに手を掛けながら「まさか」と首を振る。
 シートベルトを外した亮一は、ハンドルに肘下を置いて前を見ていた。亮一が車から降りる気配は無い。
 可南子は余計な事を言ってしまったと、肩を落として「ごめん」と唇を噛んだ。

「俺が女と一緒にいるのが嫌じゃないのか」
「連絡なしに二人で会われていたら嫌だけど……。亮一さんは浮気をしないでしょう。その時は本気だよね」

 言った瞬間、矢が刺さるような痛みが胸を貫いた。亮一が他の人を好きになったとして、その時、自分はどうなるのだろう。ありえないとわかっていても、想像だけで痛んだ胸は、まだ動揺していた。
 可南子は自分が失言を重ねている、と大きく息を吐いた。

「なんだか、疲れてるみたい。ごめんね」

 可南子が口角を無理やり上げて笑顔を作りドアを開けようとすると「俺が開ける。ちょっとそっちにつけ過ぎた」と亮一から制止が入る。

 借りているのは助手席側が壁になる一番端の駐車場だ。
 可南子は外を覗いて確認したが、降りるためのスペースに問題があるように思えない。

「いつも通りだよ。大丈夫」
「奥さん、そこにいてくれ」

 噛んでいたガムを包(くる)んで捨て、有無を言わせぬように素早く車から降りた亮一は、あっという間に助手席側に回ってきた。
 壁に付かないようにドアを開けてもらい、可南子は外に足を出す。

「……ありがとうございます」

 壁まで腕を伸ばす程度しか無い狭さに体の大きな亮一がいると距離の近さが増す。車のドアを閉める時は、身体が密着するような形になっていた。
 亮一の息遣いを感じて、可南子は落ち着かない気持ちを悟られまいとバッグの取っ手を強く握る。亮一がリモコンキーで車を閉めると、この息苦しさから解放されるとほっとした。

「奥さん」

 呼ばれて上を向くと、亮一の顔が間近にあった。
 押されるように背中を車に預け、肩の両横が亮一の太い腕で囲まれる。

「ここ、外」

 言葉が唇に塞がれて、可南子は亮一の肩に手をやると押し返すように力を込めた。
 唇が引っ張るように食まれて、また押し付けられる。亮一の厚い肩が押し返されるわけがない。手の平に感じる張った筋肉に身を委ねそうになるのを、可南子は唇を頑なに閉じて堪えた。

「……羽を伸ばしていいんだろう」

 熱(ねつ)が渦巻く亮一の静かな声は、目的を果たそうと可南子の身体の中に滑り込む。
 そんな意味で言っていないと可南子が目を大きく開くと、亮一の手が可南子の髪を漉くように後頭部を支えた。もう片方の手の親指が顎に触れると、可南子の閉じている唇を開くように皮膚を軽く下に引っ張る。
 可南子は顔を背けて唇を離すと亮一に訴えた。

「ねぇ、人が」

 日曜日のマンションの駐車場だ。人がいつ通るかわからない。可南子はごくりと唾を飲み込んで、亮一を縋るように見た。
 亮一は可南子の不安げに揺れる黒い瞳から目を逸らさず、強い光を湛えて見据える。

「可南子は、俺と壁しか見えないだろう。昨日は相手にされず、今日は羽を伸ばせと言われて、俺は寂しいよ」

 亮一の小さな声には飾り気が無く心に染みた、亮一の目に浮かんだ小さな弱い光を汲み取ってしまう。
 昨日、相手にしていないなんてことはない。だが、この少し弱い光を見せられると、何でも従ってしまいそうになる。
 可南子が「ごめんなさい」と呟くと、亮一は可南子のこめかみに口づけをした。

「なら、キスしてくれ。そうしたら帰る」

 可南子は亮一の目を見ながら、小さく首を振った。
 ここは、確実に人が来る場所だ。さっきも人に見られていたかもしれない。焦りで心臓が煩くなってじわりと汗が浮かぶ。

「家で」
「奥さん」

 奥さんという時、亮一は譲らない。亮一は高い鼻筋の頭で、可南子の鼻を撫でた。
 可南子が意地になっても、亮一はそれ以上に待つ忍耐力がある。いつも、根負けするのだ。

 亮一の腕を掴んで顎の角度を上げると、可南子は意を決して目を瞑り亮一の唇に唇を重ねた。
 後頭部に回されたままの亮一の手が、それを逃さないように力を込めたのがわかった。
 顎に置かれていた亮一の手は、可南子の顔の線を辿って耳をくすぐっている。

 いつでも初めてのような感覚は、甘くしなやかに心の中に広がる。
 触れるような口づけをして、可南子は唇を離すと目を伏せた。

「……帰ろう」

 喋るために開いた口に、亮一の舌が入り込んだ。強いミントのガムの味は、ただの口づけよりも直接的だ。亮一は可南子の舌を探り当て音を立てて吸い、唾液が混じる音に可南子の体の奥はぎゅるりと悶えた。背中の車の硬質さが、ここが外だと常に可南子の頭に訴え続けている。耳は外に向いていて、口づけの音の合間に人の気配を探す。反するように、身体の中では剥き出しの官能が徐々に高まり血の中に編み込まれていった。小さな悦びの灯が大きくなると周りが気にならなくなってくる。可南子は力が抜けそうになった体を車に預けた。

「は、っ」

 呼吸を求めて大きく口を開くと、さらに深く亮一の舌が入ってきた。上の歯列をなぞられ、疼きが理性を塗り潰そうと追いかけてくる。唇の端に唾液が一筋こぼれて顎に伝った。

「んんっ」

 突然、亮一が太ももを脚の間に擦り付けて、下着の中で芽吹いてた桃色の粒を押しつぶしてきた。愉楽の火が青白い炎となって燃え広がっていき、冷静さを焼き尽くす。

「やめっ」

 亮一が太ももをさらに差し入れると可南子の足元が少し浮き、蜜唇が刺激された。喉から漏れ出た声は恥ずかしげもなく辺りに響いて、亮一は可南子の口を塞ぐように唇を強く押し当てた。

「う、ああっ」

 官能は身体の中で成長をし続け、もっと欲しいと可南子は腕を亮一の首に回した。亮一の硬い太腿に脚の間を攻め続けられ、蜜でぬれた下着がぷくりと腫れて開いた花唇を滑る。肉襞が震えると頭がぼうっとして、手に負えない歓喜が背骨を昇り始めた。

「可南子」
 
 冷静な亮一の声が遠くから聞こえた。亮一の首に手を回していた腕を解かれ、可南子は優しく抱き寄せられる。亮一の硬い高ぶりが下腹部に当たって、可南子の呼吸が乱れた。

「人が来た」

 ……だから、言ったのに。

 羞恥よりも、今はこの熱を解放させたい。本当に恥ずかしくて二度とこの駐車場に降りられないと思うのはその後だ。
 じんじんとした甘美な熱が体に籠って、出口を探している。
 
 ……こんな身体になるなんて思いもしなかった。

 結婚記念日に行った温泉旅行の、濃くて熱い夜を思い出す。一杯のカクテルに媚薬が入っていたのかもしれない。官能はどこまでも貪欲に体を這いまわって、自分が多淫であると認めざるをえなかった。蜜で染みを作ったシーツの冷たい感触に、何度も冷静になろうとした。だが、亮一は淫靡な姿を綺麗だと讃え、愛を耳元で囁き続けた。

 耳に足音が届いた。キーホルダーに付いている、鈴のような音も聞こえる。ピピッと車のロックが解除される音がして、車のドアが閉まる音が続く。
 見られているかもしれないが、通り過ぎてくれたようだ。

 ……続きが欲しい。

 可南子は言葉のかわりに甘い息を吐いた。亮一の薄手のセーターの中に吸い込まれて、その部分が熱を持つ。
 壁と車の狭い場所から解放され、手を引かれてエレベーターに向かう。来たエレベーターには誰にも乗っていないことに可南子はほっとした。身体に籠った湿った熱は体を火照らせていて、誰にも顔を見られたくない。

 上階に進むエレベーターの中で、亮一は空いている手で顎を撫でながら、突如「いや……」と漏らして顎を撫でた。

「可南子が誰かと結婚した後に会ってたら不倫してたな。俺は可南子以外とは結婚してないから、可南子は大変だ」

 きゅ、と身体の奥深くが締った。まだ頭がぼうっとしているせいで、亮一が何を言いたいのかがわからない。ポカンと亮一を見上げると、妙に真面目な顔だった。可南子の視線に気づいて、亮一は不敵に笑む。 

「付き合ってた奴がいても、俺はどんな手を使っても、可南子を手に入れる」

 じっと目を見られたところで、エレベーターの扉が開く。「子供っぽい」と苦し紛れに言うと、亮一は「今更だな」と可南子の手を引いた。
 可南子は家の前でドアの鍵を開けている亮一の横顔を見上げる。身体の奥に巣食った劣情(れつじょう)が、心の中で「早く」と急かした。

 家の鍵を開けたのと亮一が腰に触れてきたのは同時だった。背中に亮一の熱い体温を感じた。亮一の手はそのまま、開けたドアから玄関へと可南子を押し込む。
 がちゃんと鍵がかかると、亮一の手は可南子のワイドパンツのゴムのウエストに手を滑らせた。悦びが指先にまで痺れを伴って走る。

「さっきの続きだ」

 亮一は可南子が手に持っていたバッグと取って床に置き、後ろから腕を胸の下に回して抱き締めてくる。髪に口づけされると、ふっと力が緩んだ身を亮一の胸に任せた。「シャワーを浴びたい」という言葉は、振り向かされて言い終わる前に唇で塞がれた。

 ……家事、しないと。
 
 胸の頂きを擦られ、手からするりと落ちた雑事は、跡形もなく四散した。
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