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出会いと決意
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「彼女がコートナー商会の娘とも知らなかったようです。依頼人には辿り着かないと判断し帰しましたよ。病気の家族を助けてやると言われたそうで……。失敗による報復を恐れているので監視を付けています」
「それでいいよ。ありがとう」
マルコスに捕らえられた男は、幼女を攫って奴隷商人に売り渡そうとしたと吐いた。手当てを受ける間、気にしていたのは自分自身と家族のことだったらしい。
本来ならそのまま王都警備も担っている騎士団に渡すところだったが止めた。家族を助けてくれないかと頼まれたが、それは一蹴している。
いつも不思議に思う。
傷つけようとした相手にも家族がいることを、切羽詰まった人間は容易に忘れる。自分のしていることは大したことではなく、騒ぐ方がおかしいと自分を簡単に正当化して相手を責める。自分は常に被害者で、加害は外側あると淀みなく信じている。
目の当たりにする度、その愚かさに驚く。
マルコスから報告を受けると、家庭教師から出されていた課題に集中できなくなった。
誘拐で殺気だしてしまうほどの素人に、仕事を依頼なんてするだろうか。
港湾の治安を守るためには法を曲げると有名な自分が連れて歩いている娘を攫おうとするなんて、この界隈を知らなすぎる。
そんなど素人があんな目立つ場所で人攫いをしようとするのは変だ。彼女が誘拐未遂に遭う回数が多すぎるのも、そんな素人も多いからかもしれない。
誘拐を生業にする奴等が黒幕だったとしても、特定の幼女を狙い続けるとは思えない。相手や特徴に執着をするのなら、単独の犯罪者の可能性もある。
特定の人物を狙い続ける黒幕がいると仮定とすれば、趣味嗜好か、私怨か。
後者は彼女の年齢から考えづらいが、コートナー商会が恨まれているという可能性は大いにありうる。
――とんでもない大物が背後にいたら。しかも、ラファティに犯人の目星が付いていたら……。
ペンを持ったまま考えを巡らせていると、出ていこうとするマルコスが思い出したように振り返った。
「ハドリー様、旦那様がお呼びです」
「……ちゃんと行くよ」
マルコスが同情の表情を浮かべる。
国境でもある沿岸部の監視を任されている貴族の屋敷を訪問していた父親が昼頃に帰宅した。
花の祭りに母親と出かける為だろうが、別の要件も想像がついて自然と表情が渋くなる。
「うざったいな」
悪態をつきつつ、ころんとペンを転がした。
勉強も手に付かなくなったし、さっさと嫌なことは終わらせてしまおう。
ハドリーは溜息を吐きながら立ち上がり、窓から松明で照らされた祭りの準備が始まった道を見下ろした。
*
「縁談の話だよ」
「断ります」
父親の執務室に入ると、彼は本棚のそばに立って本を開いていた。
ハドリーの拒絶に片眉を上げて、本を閉じる。完全拒否を決め込んだ息子に呆れたようだ。
「侯爵家への養子の話が決まったよ。こっちの話が先だったかな」
「とにかく、縁談は断ります」
養子になろうがなるまいが、港湾を管理する仕事は続くからどうでも良い。縁談となるとそうはいかない。他人に決められるのなら尚更だ。
縁談と聞いただけで虫唾が走ったのは、狼獣性のせい。脳裏に浮かんで消えた、紫の目が気になったからではない。
「お言葉ですが、侯爵も父上も相手を自ら選んでいるのに、なぜ僕だけが縁談を決められないといけないのでしょうか」
「番(つがい)が見つかった僕ら兄弟とお前は違うよ。アルファで神祖。狼獣性とはちょっと違う要素が多すぎるだろう」
「何も変わりませんが」
父親は意地の悪い笑みを浮かべる。こういう顔は彼の兄である侯爵と同じだ。
「既に決めた相手がいるとでも?」
父親の質問に唇を真一文字に引き結んで黙ってしまった。
あの娘は、湯あみをすると使用人に連れていかれたので、夕刻から会っていない。
母親と彼女の屈強な女護衛が守る中、使用人たちに風呂で泡まみれにされた後、何をしているのかも知らない。
勉強が終われば、見計らったようにドアを開けて走ってやってくる。気にせずに来てもいいよと言ったが、母親が勉強中は駄目だというのだと教えてくれた。
毎晩当然のように寝床に入ってくる彼女からはいつもいい香りがする。香油とは違う何か、もっと欲しくなる良い匂い。
でも、彼女のせいで黙ったわけでは無い。
そんなハドリーに、父親は同情を表情に滲ませた。
「オメガと遊んでいいんだよ。相手の選び方はわかるな」
マルコスも、今の父親と同じような表情をしていたように思う。
神祖はその力を発散しなくては身を滅ぼすという。その手っ取り早い解消法が性交だと言われていているのは知っている。それを狼獣性の息子に勧めているのだ。
不愉快さがむかむかとなって、胃の奥からせりあがってくる。
「この花の時期は試される。十二歳は生殖に興味を持つ頃だろうから」
これくらいで父親を殴りたくなるのはおかしい。
拳を握りしめて堪えているハドリーの前に立った父親は本を一冊、胸に押し付けてきた。
「コートナー商会からのハドリーへのお礼の贈り物、そのひとつだそうだ。他国の避妊で使われている、勃起した男性器に被せる薄い膜。避妊具というものらしい。洗って使えるという説明だけれど、使い捨てを勧めるそうだよ」
「な……」
あの娘を抱きしめてただ今夜は眠りたいと思うのに、本の形を模した箱が胸にますます強く押し付けられている。
それを贈ってきたのが、あの草食獣性らしからぬラファティであることが殊更に腹が立つ。
「必要ありません」
「アルファが発情したオメガを前に理性を失う様を見ている身としてはね、息子を助けたいと思う気持ちもある」
自分だって見ていると、ハドリーは喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
港湾で治安を守るというのは、あらゆる犯罪、人の業を見るということだ。
自分の性に疑いを持たず本能に流されて済むのなら良い。
発情したオメガを襲い、そんな自分を恥じるアルファもいる。
アルファが多い貴族社会でオメガは嫌われ、避けられてきた理由。
ノブレス・オブリージュという理性があれば、あれは地獄なのだ。
「……唯一の相手しか愛せない狼に、愛の無い結びをしろと、母上と結婚した父上が仰るのですか」
「だったら聞くよ、アルファの番と、狼としての番、別々に現れたらどちらを正妻にするのかな。出会えた番が平民だったら妾にする? 番に会えなければ、その力はどこで発散するつもりだ」
「戦争がある国でも行って、傭兵として雇ってもらいます」
ハドリーはそう吐き捨てて、胸に押し付けられた本を押し返すように一歩父親に進み、彼を見上げた。
二人の間が縮まって、息がかかるほど体が近づく。父親が強いことは知っているが、もう勝てる。それをわかっているはずなのに、一歩も引かないのはさすが父親というところか。
「息子よ。お前はウェントワース侯爵家に久しく生まれなかったアルファだ。お前が侯爵にならなければ、港湾で働く私たちの家族の未来はどうなる」
「アルファが侯爵でないと統率が取れなくなるような仕組みじゃない。それは父上の方がわかっているはずだ。血縁が近い跡取りが欲しいのであれば、母にまた産んでもらえばいい」
父親は苦虫を嚙みつぶしたような顔で睨みつけてくる。
「妻は子を産むためにいるわけじゃない」
「僕だってそうだ。侯爵家のため生まれたわけじゃない」
吐き捨てるように言って退出の礼をし踵を返したが、贈り物がわき腹に押し付けられた。
父親が口元だけで笑む。
「コートナー商会からの贈り物だ。大事にするように」
「……今後は不要とお伝えください」
コートナー商会を敵に回すつもりか、と暗に言われれば受け取るしかない。奥歯をぎりと噛み締め、ひったくるように受け取った。
「あと、あの娘の迎えに明後日くるそうだ。お前に感謝をしていた」
「滞在の請求を渡すので、くれぐれも礼は不要だとお伝えください」
感謝とは押し付けるものらしい。本の形を模した箱の重みは、苛立ちにしか繋がっていない。
「大人になれ、アルファの息子よ」
そんなのは自分で決める。
皆自分勝手すぎると、贈り物を握りしめた。
「それでいいよ。ありがとう」
マルコスに捕らえられた男は、幼女を攫って奴隷商人に売り渡そうとしたと吐いた。手当てを受ける間、気にしていたのは自分自身と家族のことだったらしい。
本来ならそのまま王都警備も担っている騎士団に渡すところだったが止めた。家族を助けてくれないかと頼まれたが、それは一蹴している。
いつも不思議に思う。
傷つけようとした相手にも家族がいることを、切羽詰まった人間は容易に忘れる。自分のしていることは大したことではなく、騒ぐ方がおかしいと自分を簡単に正当化して相手を責める。自分は常に被害者で、加害は外側あると淀みなく信じている。
目の当たりにする度、その愚かさに驚く。
マルコスから報告を受けると、家庭教師から出されていた課題に集中できなくなった。
誘拐で殺気だしてしまうほどの素人に、仕事を依頼なんてするだろうか。
港湾の治安を守るためには法を曲げると有名な自分が連れて歩いている娘を攫おうとするなんて、この界隈を知らなすぎる。
そんなど素人があんな目立つ場所で人攫いをしようとするのは変だ。彼女が誘拐未遂に遭う回数が多すぎるのも、そんな素人も多いからかもしれない。
誘拐を生業にする奴等が黒幕だったとしても、特定の幼女を狙い続けるとは思えない。相手や特徴に執着をするのなら、単独の犯罪者の可能性もある。
特定の人物を狙い続ける黒幕がいると仮定とすれば、趣味嗜好か、私怨か。
後者は彼女の年齢から考えづらいが、コートナー商会が恨まれているという可能性は大いにありうる。
――とんでもない大物が背後にいたら。しかも、ラファティに犯人の目星が付いていたら……。
ペンを持ったまま考えを巡らせていると、出ていこうとするマルコスが思い出したように振り返った。
「ハドリー様、旦那様がお呼びです」
「……ちゃんと行くよ」
マルコスが同情の表情を浮かべる。
国境でもある沿岸部の監視を任されている貴族の屋敷を訪問していた父親が昼頃に帰宅した。
花の祭りに母親と出かける為だろうが、別の要件も想像がついて自然と表情が渋くなる。
「うざったいな」
悪態をつきつつ、ころんとペンを転がした。
勉強も手に付かなくなったし、さっさと嫌なことは終わらせてしまおう。
ハドリーは溜息を吐きながら立ち上がり、窓から松明で照らされた祭りの準備が始まった道を見下ろした。
*
「縁談の話だよ」
「断ります」
父親の執務室に入ると、彼は本棚のそばに立って本を開いていた。
ハドリーの拒絶に片眉を上げて、本を閉じる。完全拒否を決め込んだ息子に呆れたようだ。
「侯爵家への養子の話が決まったよ。こっちの話が先だったかな」
「とにかく、縁談は断ります」
養子になろうがなるまいが、港湾を管理する仕事は続くからどうでも良い。縁談となるとそうはいかない。他人に決められるのなら尚更だ。
縁談と聞いただけで虫唾が走ったのは、狼獣性のせい。脳裏に浮かんで消えた、紫の目が気になったからではない。
「お言葉ですが、侯爵も父上も相手を自ら選んでいるのに、なぜ僕だけが縁談を決められないといけないのでしょうか」
「番(つがい)が見つかった僕ら兄弟とお前は違うよ。アルファで神祖。狼獣性とはちょっと違う要素が多すぎるだろう」
「何も変わりませんが」
父親は意地の悪い笑みを浮かべる。こういう顔は彼の兄である侯爵と同じだ。
「既に決めた相手がいるとでも?」
父親の質問に唇を真一文字に引き結んで黙ってしまった。
あの娘は、湯あみをすると使用人に連れていかれたので、夕刻から会っていない。
母親と彼女の屈強な女護衛が守る中、使用人たちに風呂で泡まみれにされた後、何をしているのかも知らない。
勉強が終われば、見計らったようにドアを開けて走ってやってくる。気にせずに来てもいいよと言ったが、母親が勉強中は駄目だというのだと教えてくれた。
毎晩当然のように寝床に入ってくる彼女からはいつもいい香りがする。香油とは違う何か、もっと欲しくなる良い匂い。
でも、彼女のせいで黙ったわけでは無い。
そんなハドリーに、父親は同情を表情に滲ませた。
「オメガと遊んでいいんだよ。相手の選び方はわかるな」
マルコスも、今の父親と同じような表情をしていたように思う。
神祖はその力を発散しなくては身を滅ぼすという。その手っ取り早い解消法が性交だと言われていているのは知っている。それを狼獣性の息子に勧めているのだ。
不愉快さがむかむかとなって、胃の奥からせりあがってくる。
「この花の時期は試される。十二歳は生殖に興味を持つ頃だろうから」
これくらいで父親を殴りたくなるのはおかしい。
拳を握りしめて堪えているハドリーの前に立った父親は本を一冊、胸に押し付けてきた。
「コートナー商会からのハドリーへのお礼の贈り物、そのひとつだそうだ。他国の避妊で使われている、勃起した男性器に被せる薄い膜。避妊具というものらしい。洗って使えるという説明だけれど、使い捨てを勧めるそうだよ」
「な……」
あの娘を抱きしめてただ今夜は眠りたいと思うのに、本の形を模した箱が胸にますます強く押し付けられている。
それを贈ってきたのが、あの草食獣性らしからぬラファティであることが殊更に腹が立つ。
「必要ありません」
「アルファが発情したオメガを前に理性を失う様を見ている身としてはね、息子を助けたいと思う気持ちもある」
自分だって見ていると、ハドリーは喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
港湾で治安を守るというのは、あらゆる犯罪、人の業を見るということだ。
自分の性に疑いを持たず本能に流されて済むのなら良い。
発情したオメガを襲い、そんな自分を恥じるアルファもいる。
アルファが多い貴族社会でオメガは嫌われ、避けられてきた理由。
ノブレス・オブリージュという理性があれば、あれは地獄なのだ。
「……唯一の相手しか愛せない狼に、愛の無い結びをしろと、母上と結婚した父上が仰るのですか」
「だったら聞くよ、アルファの番と、狼としての番、別々に現れたらどちらを正妻にするのかな。出会えた番が平民だったら妾にする? 番に会えなければ、その力はどこで発散するつもりだ」
「戦争がある国でも行って、傭兵として雇ってもらいます」
ハドリーはそう吐き捨てて、胸に押し付けられた本を押し返すように一歩父親に進み、彼を見上げた。
二人の間が縮まって、息がかかるほど体が近づく。父親が強いことは知っているが、もう勝てる。それをわかっているはずなのに、一歩も引かないのはさすが父親というところか。
「息子よ。お前はウェントワース侯爵家に久しく生まれなかったアルファだ。お前が侯爵にならなければ、港湾で働く私たちの家族の未来はどうなる」
「アルファが侯爵でないと統率が取れなくなるような仕組みじゃない。それは父上の方がわかっているはずだ。血縁が近い跡取りが欲しいのであれば、母にまた産んでもらえばいい」
父親は苦虫を嚙みつぶしたような顔で睨みつけてくる。
「妻は子を産むためにいるわけじゃない」
「僕だってそうだ。侯爵家のため生まれたわけじゃない」
吐き捨てるように言って退出の礼をし踵を返したが、贈り物がわき腹に押し付けられた。
父親が口元だけで笑む。
「コートナー商会からの贈り物だ。大事にするように」
「……今後は不要とお伝えください」
コートナー商会を敵に回すつもりか、と暗に言われれば受け取るしかない。奥歯をぎりと噛み締め、ひったくるように受け取った。
「あと、あの娘の迎えに明後日くるそうだ。お前に感謝をしていた」
「滞在の請求を渡すので、くれぐれも礼は不要だとお伝えください」
感謝とは押し付けるものらしい。本の形を模した箱の重みは、苛立ちにしか繋がっていない。
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