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8、失恋と旅行

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 イオは鳥飼の腕をひっぱる。急げ急げと人だかりをぬけ二人は、空港のはしっこ、人けのないトイレの個室に身体をおしこめるように入る。無理やりドアをしめる。隣の個室から出てきた人に不審げに見られるが、かまっている場合ではない。
「う……わあ、なにこれ、マジで!!」
 イオは鳥飼の股間を服の上からすりすり確認して、泣きそうな顔になった。一転して真剣な表情で丁寧に大きなものをとりだす。
 固く、隆々と立ちあがっているのを、信じられない思いで見つめた。こんなのいつ以来だろうか。これを逃すともう遭遇できないんじゃ、と思うと、今すべきことは一つだった。
「いま、いま、しよ? だって、こんなの、……ああ……こんな、おねがい」
 自身の服をあわてて下にさげる。脱ぎ切ってない、衣服がまだひっかかっている状態で、トイレの壁に手をつく。ふたをした便器に片膝をつく。
 その間中、イオのきらきらはとまらない。鳥飼は視覚から脳に伝達され続けるイオのフェロモンその他にくらくらしつつ、自分の股間が一年半ぶりに痛いほど勃起しているのを複雑な感情でうけいれた。
「いれて……はやく、」
 イオは必死だ。
 またトイレか、なんだってトイレに縁があるんだ、と思いながらイオの淫乱な尻に元気になったペニスを押し当てる。
「……ぅ、ん、ああっ」
「おもちゃで満足してたのかと」
 イオはいやいやと首を振った。
「生ちんこがいいに決まってる……」
「イオくん、静かに、ですよ。通報されたらアウトです。それからこちらに向いて……」
「ん、」
 イオの身体の向きを変えさせると、片方の脚を、鳥飼はかかえあげた。イオははっとして、機内でのスキンケアに使用するつもりだった保湿クリームをとりだし、そのチューブを大胆に自分に刺した。丁寧にやるなどまどろっこしい。
 ムードもへったくれもない。ぎゅっとクリームを体内にしぼりこむ。性急にひろげる。手がおぼつかなくてチューブを床に落としてしまう。その音がやけに響く。鳥飼は、イオの脚と腰をぐっと引き寄せ、べとべとになったアナルに亀頭をあてた。
「(声、がまん、ですからね……)」
 イオはこくこくとうなずく。鳥飼は腰をすすめた。
「(あ、はいる、うれしい、はいる)」
 鳥飼にしがみつきながら、イオは声を震わせる。
「(夢、みたい……)」
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