α、β、Ωで結婚したら無敵だった

2、玄関開けたら

15

　鳥飼からパスされたティッシュで鼻をおさえてやる。てへへと笑う流助の流血を大量のティッシュで受け止めながら、一人ほぼ全裸なのが急に恥ずかしくなってきた。流助のケアを鳥飼と交代し、そそくさと自分の衣服を身につけた。

　やっと流助の鼻血がとまり、よかったよかったとなって、ソファに座った。リモコンでテレビをつけると、流助が隣にきた。さらに鳥飼もイオの横に座った。二人がわざとぎゅうぎゅうに詰めてくるのでだいぶ狭い。
「へへ」
　なついてくる流助の頭をなでる。
「イオはすごいな。本当にすごい。ねえ、またいつかさっきのやってくれる？」
「気が向いたらね」
「あとさ、もう一度ちゃんと見せて」
「うん、だからまた今度」
「ダンスじゃなくて……その、」
「……ああ、」
　一度はぐらかしたが、流助の熱のこもったまん丸い目でのリクエストに口ごもる。恥ずかしい。同じく流助も恥ずかしそうだ。いったん落ち着いてしまってからそういう感じになるのって、やはりだいぶ恥ずかしい。
　会話を鳥飼も聞いていて、テレビのニュースを見ているが、内容に集中していないのがわかる。
　イオはテレビを消すと「いいよ」と小声で言って、前をはずした。開いた隙間から黒い生地がのぞく。アンダーは整えているが下着そのものが極小なのでいろいろギリギリ。
「ちゃんと見たいよ」
　流助に切なそうな上目遣いでお願いされると、愛しい夫の頼みをきいてやらないわけにはいかない。
　ちょっとだけ腰をうかせたところ、そこに鳥飼の大きな手がすべりこんだ。あっという間に身体を持ち上げられた。
　小さい流助ならいざしらず、鳥飼はイオの身体もこんなにも簡単に軽々と扱う。抱き上げられるようにして鳥飼の膝の上にのせられる。流助がパンツをひっぱって脱がし下半身を露わにする。二人の息はぴったりだ。
　鳥飼の大きな手がイオの両膝の裏をすくってよく手入れの行き届いたなめらかな肌をすべってゆく。ゆっくりと脚を開かせる。
「イオくん……あなたは……なんてすばらしい人なんでしょうか……」
「……」
　その声で、体内にアルコールが入った時のように、ふわんとのぼせてしまう。魔法にかかったみたいに身体が言うことをきかなくなる。
　イオはほとんどのβ同様、フェロモンに対し鼻がきかない。しかし鳥飼と流助、二人と結婚してなんとなくわかってきた。こういうのがαのフェロモンなのだ。