グリーン
こいつは虫の世界の憲兵というところか?
一日中跳び回っては、影なき密猟者の捜索に躍起になっているが、それがどうしてもつかまらない。どんなに高く伸びた草も、彼の行手を遮ることはできない。彼は何ものも恐れない。彼には七里ひと跳びの長靴があり、牡牛のような頸、天才的な額、船の竜骨のような腹があり、セルロイドの翅と悪鬼のような角があり、そして後ろには大きな軍刀を吊るしている。憲兵として立派な働きをするような人間には、必ずまたいろんな悪癖があるものだが、打明けたところ、ばったは噛み煙草をやるのである。嘘だと思うなら、指で追いかけてみたまえ。彼を相手に鬼ごっこをやり、そして跳ねる隙を狙って、うまく苜蓿の葉の上でつかまえたら、その口をよく見てみたまえ。恐ろしい格好をした吻の先から、煙草の噛み汁のような黒い泡を滲ませる。しかし、そう言っている間に、もう彼をつかまえていられなくなる。彼はまた死にもの狂いになって跳ね出そうとする。緑色の怪物は、急に激しく身をもがいて君の手をすり抜け、脆い、取外し自在のからだが、可憐な腿を一本、君の手の中に残して行く。
一日中跳び回っては、影なき密猟者の捜索に躍起になっているが、それがどうしてもつかまらない。どんなに高く伸びた草も、彼の行手を遮ることはできない。彼は何ものも恐れない。彼には七里ひと跳びの長靴があり、牡牛のような頸、天才的な額、船の竜骨のような腹があり、セルロイドの翅と悪鬼のような角があり、そして後ろには大きな軍刀を吊るしている。憲兵として立派な働きをするような人間には、必ずまたいろんな悪癖があるものだが、打明けたところ、ばったは噛み煙草をやるのである。嘘だと思うなら、指で追いかけてみたまえ。彼を相手に鬼ごっこをやり、そして跳ねる隙を狙って、うまく苜蓿の葉の上でつかまえたら、その口をよく見てみたまえ。恐ろしい格好をした吻の先から、煙草の噛み汁のような黒い泡を滲ませる。しかし、そう言っている間に、もう彼をつかまえていられなくなる。彼はまた死にもの狂いになって跳ね出そうとする。緑色の怪物は、急に激しく身をもがいて君の手をすり抜け、脆い、取外し自在のからだが、可憐な腿を一本、君の手の中に残して行く。
目次
感想
あなたにおすすめの小説
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
小スカ短編集(没作品供養)
青宮あんず
BL
小スカ小説の没にしたものを公開していきます。
設定を変えて別のシリーズとして公開したり、他で公開するのをやめたものなど。
BL多め、稀に登場人物一人の場合がある可能性あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる