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しおりを挟む「、、、何変な声あげてんの?」
その時、頭上から声が降ってきた。その声は、今1番聞きたかった声で、ずっと待っていたもので。
「ひゅう、が、、、」
大和は顔を上げる。そこにいたのは紛れもなく日向で、日向が大和を見下ろしていた。
「っ、、、来ないかと、思った、、」
大和は日向と目を合わせていられず、再び俯く。
「、、、行かないわけないじゃん」
「っ」
大和はその言葉を聞いてバッと顔を上げた。2人の視線が絡み合う。
日向は大和の隣に座り込む。
「、、、ごめん、あん時、勝手に帰って」
「、、、」
大和が謝るが日向は無言だ。
「他にも、LINEも無視したり、脅したり、、、、、本当に、ごめん」
「、、、」
「っ、今日、呼び出したのは、話し合いたくて、、、あの時の続きを」
俺はあの時みたいに後悔をしないように、自分の気持ちを隠さず言う。
「、、、いいよ、許すよ。あと、俺もごめん」
「なんでお前が謝んだっ、全部俺のせいだよ、、、!」
大和にはなんで日向が誤っているのかが分からなかった。
「いや、俺のせいでもある、、、。いきなり交換条件を辞めたいって言ったから帰っちゃったんだよね」
「っ、、、」
あらためてそう言われると、本当に自分勝手な行動をしたんだと実感する。
ほんとに、最低だな、、、
大和は黙って続きを聞く。
「言うタイミングとか、順番とか気をつければ良かったね」
大和は日向の言葉の意図が分からなかった。
「俺から交換条件しよって言ったのに、いきなり辞めようとか言ったらそりゃ怒るよね、、ほんとにごめんね」
違う、、、俺は怒ったんじゃない、、ただ、現実が受け止めきれなかったのと、言いたいことがひとつも言えない自分が情けなくて、、、こんな情けないところをお前に見られたくなかったからだっ、、、
しかし、日向は自分せいだと勘違いして謝ってくるのだ。俺の言動のせいで、これ以上こいつに謝らせる訳にいかないと口を開く。
「っ、怒ったわけじゃねぇ、、、ただ、俺は、交換条件を辞めたくなくてっ、、、」
俺は本当のことを言った。
日向に嫌われてもいいから、日向がこれ以上、自分のせいだと責め続ける姿を見たくなかった。
こんな気持ちがバレたら、気持ち悪いって思われるよな、、、
「、、、辞めたくなかったの、、、?」
日向は少し驚いたような顔をしてこちらを見る。
「なんで、、?」
俺は日向から顔を逸らさず、目を見て言った。
「、、、お前と一緒にいるのが楽しかった、、でも、マッサージの後ぐらいしかお前と話さねぇし、この関係が終わったらお前と話せなくなると思ったからだ、、、」
「、、、」
声が震える。喉が閉まり、声が出しにくくなる。
「っ、ただ、一緒にいて、楽しいだけなら良かったっ、、、お前に、辞めようって言われた時、俺は、この関係をっ、辞めたくないって、それしか考えられなかったっ、、、気づいちまったんだ、、、。っ、お前のことが好きだってっ、、、気持ちわりぃよな、こんなっ、、、」
今にも泣きそうな声で、伝える。それは今俺に出来る精一杯だった。
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