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しおりを挟む次の日、俺はいつもより早く起きた。しかし、身体は酷く重く、心も沈んでいた。
今日は月曜日だ。学校がある。俺は行きたくないという思いを無視し、制服に着替える。鏡を見ると目は赤く腫れていて酷い顔をしている。
「ははっ、情けねぇ顔、、」
自傷気味に笑う。重い足取りのままリビングに行く。
「おはよう」
「おはよう、今日は早いじゃない。朝ごはん出来てるから食べなさい」
味噌汁を汲んでた母が振り返る。
「ー、、、。何かあった、、?」
母の視線に全て見透かされそうな気がして、顔を背ける。
「、、、いや、何も」
俺は平静を装う。どれだけ装えてたか微妙だ。しかし、母はそれ以上聞いてくることはなかった。
「体調悪いなら休んでよいいわよ、、、?」
気を使ってくれてるのが分かる。俺の心は少し軽くなった。
「いや、大丈夫、、、ありがとう」
俺はそう言って朝食を食べる。食欲がないから少量だ。
そして、俺は家を出る。足取りは重い。
あいつとのことどうすりゃいいんだ、、、
大和から逃げてしまったため自分から話しかけられない。
『お前とのこの関係を辞めたくはない』
あの時、言えなかった言葉が頭の中で反響する。
その言葉は日向から交換条件を辞めたいと言われて、大和の頭の中で1番に出てきた言葉だ。
自覚してなかっただけで、ずっとあいつのこと好きだったのかもな、、、
大和は目に覆い被さるように手を当てる。
なんで気づいちまったんだろっ、、、
胸から何かが込み上げてくる。大和はそれを飲み込むように上を向いて歩く。
大和は心の整理がつかないまま学校に着いてしまった。
早く家を出たため、まだほとんど生徒はいない。
大和は自分の席に突っ伏した。
とりあえず、、、話すきっかけを作らねぇと、、、せめて昨日途中で帰ったことを謝りたい、、、
「おーい、翔っ、寝てんのかい?」
クラスメイトで同じ部活のやつに声をかけられて顔をあげると、ほとんどの生徒が教室にいた。
気づかないくらい夢中だったのか、、
「、、、翔、お前目赤いよ」
「、眠いし、あくびしたからな」
俺はあくびをする真似をする。
「ふーん、、、まぁ、なんかあったら言えよな」
「おう」
俺は周りを見渡す。しかし、日向の姿はどこにも見えない。
珍しいな、、あいつがこんなに遅いなんて、
結局日向はホームルームギリギリに来ていた。
「じゃあみんな出席取るぞ~」
担任の先生が入ってくる。俺はチラッと日向の方を見た。
目が合うとすぐに逸らされる。
、やっぱ怒ってるか、、、
ホームルームも終わり、授業も何事もなく終わった。
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