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部活が終わり家に帰る。


「ただいま」

「おかえりなさい、夜ご飯ちょっと待ってね」

リビングには母さんがいた。時刻はもう8時だ。

「今日も遅くまで仕事だった?」

「うん、ごめんね。でも来週からはもう少し早く帰れるから」

「わかった」


俺は2階の自分の部屋に行き、制服を脱ぐ。

俺の親はシングルマザーだ。親父は俺が小6の時に他界した。病気だった。もう5年前のことで、俺はあんまり覚えていない。
だからと言って寂しいというわけではない。母さんもいるし、妹もいる。それに、俺はバスケがあるから大丈夫だ。

俺はシャワーを浴び、汗を流す。


「あちぃ、、」


俺は適当にタオルで髪の毛を拭き、リビングへ向かう。


「ちょうどいいタイミング。翔、陽菜呼んできて」

「んー」


俺は2階に向かい、妹の部屋をノックする。


「陽菜、飯」

「はーい」


と中から声が聞こえてくる。

俺はリビングに戻る。


「翔、ご飯の前に髪の毛乾かしなさい。風邪ひくわよ?」

「、、、めんどくさい、」

「はいはい、やってきなさい」


俺は渋々洗面台へと向かう。

あちぃんだよな~、、、せっかく汗流したのにドライヤーでまた汗かくし、、

実際俺はすぐ乾くくらいの短さだし、そんな長くドライヤーを使わない。なんならめっちゃ短い方だ。しかし、暑いのはとても苦手だ。

腹減ったし、さっさと乾かそ、、、

俺は少し雑に髪を乾かす。


「ふぅー、終わった」

「こら!ちゃんとやりなさい!」

「うおっ、って陽菜かよ、、、」

「へへ、お兄ちゃんがちゃんとやらないからだよ~。終わったなら早くご飯食べよ」

「ああ」




「いただきます」


3人で手を合わせ食事を始める。


「お兄ちゃん、部活どう?楽しい?」

「まぁ、そこそこかな」

「そうなんだ~」

「陽菜は中学で何かしたいこととかないのか?」


陽菜は今年から中一だ。


「うーん。特にないかな。強いて言えば彼氏欲しい」

「そうか、頑張れ」


しばらくは彼氏出来なさそうだな、、


「今出来ないって思ったでしょ?」

「いーや?」

「嘘つき~」

「ははっ」


こんなふうに俺の家では笑いが絶えない。


「お兄ちゃんは彼女とかいないの?」

「いねーよ」

「作らないの?」

「、、、今は要らねぇな」

「そんなこと言ってるかは彼女出来ないんだよ」

「余計なお世話だ」


そう言いながら俺は味噌汁を飲む。


あ~、うめぇ、、 疲れた体に染みるぜ、、、なんてジジイ臭い事を考えた

俺達は晩御飯を食べ終え、食器を片付け、自室に戻った。
そして、ベッドに寝転びスマホをいじる。

そういや、明日マッサージだけじゃねぇな、、、筋肉を触られる、のか、、

しかし、俺はそんなに嫌と感じてはなかった。日向とは友達になったし、全く知らないやつから触られるわけじゃねぇし、、ただ本当に筋肉が好きなだけかもしれない、、、俺は日向のことを考えつつ、眠りについた。
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