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第二章
act 22 受刑者
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ある日の事、いつもの様に賢司に面会するために拘置所に行き、いつもの様に、面会用紙を書き窓口に出した。
「あぁ、この人いませんよ」
「えっ?じゃあ移管されたんですね」
移管先は、少年刑務所。
ここで分類される。
刑務所というものは、初犯と再犯で分かれている。
初犯の人間が行く刑務所は、日本に四、五ヶ所しかない。
当たり前だ。
初犯は一度きりなのだから。
それと、ヤクザ専門の刑務所もある。
有名なのは、府中刑務所。ここはほぼヤクザ関係者らしい。
受刑者は一応、刑務所を希望する事が出来るが、受け入れ先の関係も左右する。
必ずしも希望通りというわけにはいかない。
けれど、家族が拘置所の頃から頻繁に面会に来ている受刑者には、家族への便宜をはかってくれる事もあるらしい。
賢司は、黒羽刑務所と、喜連川刑務所に希望を出している。
なるべく首都圏に近い場所で、瞳が迷わない場所。
ナビがあるから大丈夫だけど、初犯で函館に飛ばされた人もいるらしい。
函館にも初犯の刑務所があるそうだ。
これはさすがに車では行けない。
電車か飛行機で行くしかないだろうな。
まるで旅行だ。
目的の少年刑務所は、国道沿いにある。
線香の香りがすると思えば、隣にセレモニーホールがある。道理で線香くさいわけだ。
入口には監守がふたり。
正門は閉ざされていて、監守が小さい入口を開けてくれる。
まずそこで面会か差し入れかの受付をする。
それを身分証明書と一緒に渡す。
代わりにロッカーの鍵を渡してくれる。
財布以外はこのロッカーに入れて面会をする。
受刑者になったので、面会時間も、30分になった。
「よっ!来てくれたか」
「だって拘置所行ったら、この人いませんよ、だよ?びっくりしたよ」
「俺も昨日かな?言われたのは。それより瞳宅下げ持っていかなかっただろ?全部こっちに持って来たよ」
「あ、忘れてた」
「やっぱりな~、だと思ったけどな」
「だって拘置所の人って、こっちから聞かないと何一つ言わないしさ。ロボットみたいだったな」
「お役所仕事だからな。税金で食ってるくせにな」
「あれ?賢司も今は税金で食ってるんじゃないの?ご飯はやっぱり麦飯?」
「そうだよ、でもここは受刑者が作ってるから結構美味いよ。量も多いしな」
「仕事は何をやってるの?」
「ダルマ磨き!」
「ダルマ~?何それ?」
「こう、紙を張り合わせたヤツを割りばしみたいなやつで磨くんだよ。飽きるよ~、でもここはテレビが観られるからな」
「刑務所にテレビあるの?」
「あぁ、9時消灯だけどな」
「何を観てるの?普通9時からがドラマの時間じゃない」
「水戸黄門は観られるぜ」
オヤジ・・・・。
元々時代劇好きだったしね。
「30分って長いね。まぁ月二回しか会えないんだしね」
「そうだな、ゆっくり話せるけど、何か言おうとしてた事を忘れちゃったよ」
「あたし第一と第三月曜に面会に来るよ」
「判った、何かあったら手紙書くけど週一木曜にしか発信出来ないんだ」
「あたしは毎日書くよ。下らない事ばっかし」
「家族の近況が判れば安心出来るからな。それでいいよ」
「でもメール便代ないときは、まとめてある時に出すけど」
「お前、そんなに金ないのか?大丈夫なのかよ?」
「打出の小槌持ってるわけじゃないんだから、お金は使えばなくなるの」
「そりゃ、そうだけど・・・・」
元々瞳は、あんまり深く考えないで浪費するからなぁ。
俺も薬が入ってる時は、かなり浪費するけどな。
しかも何に使ったのかすら覚えてねぇし。
「瞳、あんまり金使うなよ。入って来る金は、俺がいない分減ってるんだからな」
「そんな事言ったって、賢司の差し入れもお金かかるんだよ?しかも瑠花はコンビニ大好きだしさ。誰のせいだろうね?」
「さぁ?誰のせいだろう?」
とぼけてるよ。
それとも本気でボケてきた?
「瑠花はパパと一緒に行ったって言ってたけどね~」
「あれ、瑠花ダメでしょ。ママには内緒って言ったのに」
ふん!
瑠花に口止めしても、無理でした。
「そろそろ時間です」
管理人がふたりのやりとりを笑いながら聞いていたが、時間の終わりを告げた。
「もう終わりだってよ。瑠花、ママにあんまりワガママ言っちゃダメだぞ」
・・・・ワガママにしたのは賢司でしょ?
「そんじゃな、次は二週間後だな」
「じゃね、瑠花、帰ろう」
そのまま賢司からの手紙が途絶えた・・・・。
「あぁ、この人いませんよ」
「えっ?じゃあ移管されたんですね」
移管先は、少年刑務所。
ここで分類される。
刑務所というものは、初犯と再犯で分かれている。
初犯の人間が行く刑務所は、日本に四、五ヶ所しかない。
当たり前だ。
初犯は一度きりなのだから。
それと、ヤクザ専門の刑務所もある。
有名なのは、府中刑務所。ここはほぼヤクザ関係者らしい。
受刑者は一応、刑務所を希望する事が出来るが、受け入れ先の関係も左右する。
必ずしも希望通りというわけにはいかない。
けれど、家族が拘置所の頃から頻繁に面会に来ている受刑者には、家族への便宜をはかってくれる事もあるらしい。
賢司は、黒羽刑務所と、喜連川刑務所に希望を出している。
なるべく首都圏に近い場所で、瞳が迷わない場所。
ナビがあるから大丈夫だけど、初犯で函館に飛ばされた人もいるらしい。
函館にも初犯の刑務所があるそうだ。
これはさすがに車では行けない。
電車か飛行機で行くしかないだろうな。
まるで旅行だ。
目的の少年刑務所は、国道沿いにある。
線香の香りがすると思えば、隣にセレモニーホールがある。道理で線香くさいわけだ。
入口には監守がふたり。
正門は閉ざされていて、監守が小さい入口を開けてくれる。
まずそこで面会か差し入れかの受付をする。
それを身分証明書と一緒に渡す。
代わりにロッカーの鍵を渡してくれる。
財布以外はこのロッカーに入れて面会をする。
受刑者になったので、面会時間も、30分になった。
「よっ!来てくれたか」
「だって拘置所行ったら、この人いませんよ、だよ?びっくりしたよ」
「俺も昨日かな?言われたのは。それより瞳宅下げ持っていかなかっただろ?全部こっちに持って来たよ」
「あ、忘れてた」
「やっぱりな~、だと思ったけどな」
「だって拘置所の人って、こっちから聞かないと何一つ言わないしさ。ロボットみたいだったな」
「お役所仕事だからな。税金で食ってるくせにな」
「あれ?賢司も今は税金で食ってるんじゃないの?ご飯はやっぱり麦飯?」
「そうだよ、でもここは受刑者が作ってるから結構美味いよ。量も多いしな」
「仕事は何をやってるの?」
「ダルマ磨き!」
「ダルマ~?何それ?」
「こう、紙を張り合わせたヤツを割りばしみたいなやつで磨くんだよ。飽きるよ~、でもここはテレビが観られるからな」
「刑務所にテレビあるの?」
「あぁ、9時消灯だけどな」
「何を観てるの?普通9時からがドラマの時間じゃない」
「水戸黄門は観られるぜ」
オヤジ・・・・。
元々時代劇好きだったしね。
「30分って長いね。まぁ月二回しか会えないんだしね」
「そうだな、ゆっくり話せるけど、何か言おうとしてた事を忘れちゃったよ」
「あたし第一と第三月曜に面会に来るよ」
「判った、何かあったら手紙書くけど週一木曜にしか発信出来ないんだ」
「あたしは毎日書くよ。下らない事ばっかし」
「家族の近況が判れば安心出来るからな。それでいいよ」
「でもメール便代ないときは、まとめてある時に出すけど」
「お前、そんなに金ないのか?大丈夫なのかよ?」
「打出の小槌持ってるわけじゃないんだから、お金は使えばなくなるの」
「そりゃ、そうだけど・・・・」
元々瞳は、あんまり深く考えないで浪費するからなぁ。
俺も薬が入ってる時は、かなり浪費するけどな。
しかも何に使ったのかすら覚えてねぇし。
「瞳、あんまり金使うなよ。入って来る金は、俺がいない分減ってるんだからな」
「そんな事言ったって、賢司の差し入れもお金かかるんだよ?しかも瑠花はコンビニ大好きだしさ。誰のせいだろうね?」
「さぁ?誰のせいだろう?」
とぼけてるよ。
それとも本気でボケてきた?
「瑠花はパパと一緒に行ったって言ってたけどね~」
「あれ、瑠花ダメでしょ。ママには内緒って言ったのに」
ふん!
瑠花に口止めしても、無理でした。
「そろそろ時間です」
管理人がふたりのやりとりを笑いながら聞いていたが、時間の終わりを告げた。
「もう終わりだってよ。瑠花、ママにあんまりワガママ言っちゃダメだぞ」
・・・・ワガママにしたのは賢司でしょ?
「そんじゃな、次は二週間後だな」
「じゃね、瑠花、帰ろう」
そのまま賢司からの手紙が途絶えた・・・・。
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