20 / 32
20.人は罪があるから贖罪をするのではない。罪の意識があるからするのだ。
しおりを挟む
学校に行くと、夢の通り。噂が広まっていた。
曰く、私が不義の子だと。
曰く、私は父親が不確かな卑しい出の子だと。
曰く、私自身も男遊びが激しく、それ故に婚約者に愛想を尽かされていると。
「酷いわよね、みんな。フィオナ、気にすることないわよ」
と、リリーはいつも通り私の隣で、私の友人面をして憤ってみせる。
私の唯一の味方だと思っていた。たった一人の友達だと。でも、真実を知った今、彼女の演技かかったその様子は道化師のようでひどく滑稽だった。
私はいつも通り、リリーと同じ友人面をして会話を続ける。
「別にいいわよ。気にしていないわ」
「強がる必要ないわよ、フィオナ。こんな根も葉もない噂、傷つかないわけないもの」
私に傷ついてほしいのね、リリー。どうして今まで気づかなかったのかしら。
私を心配するような言葉とは裏腹に爛々と輝いたその目を見れば、彼女が期待しているかなんて一発で分かるのに。
私って馬鹿ね。
「傷つくわけないじゃない」
子爵家の醜聞。これほど愉快なものなんてないもの。
にっこりと笑う私をリリーは怪訝そうに見ている。あてが外れたって感じかしらね?
「私の母は既に他界しているわ」
私は私のことを噂しているクラスメイトにも聞こえるように、リリーに言う。彼女を見ながら。「お前のことだ」と言わない代わりに。
「私が父の子なのか、母は不貞していたのか、確かめようがない。証拠は何もない。でもこれだけは言える。これは死者への冒涜。死人に鞭を打つ行為ができるのはその者が卑しい血筋だからでしょう」
「どうしてそう思うの?」
リリーの額に青筋が浮かんでいる。
それもそうよね。噂な流したのはあなただもの。でも、大丈夫よ。あなたが流したなんて誰も思わないから。きっとあなたからその話しを聞いたあの二人も口をつぐんでくれるでしょうね。下手に口を出せば余計な火種を浴びかねないもの。自分たちがこの噂を流した諜報人だと思われたくはないはず。
「だって、高貴な血筋を持っている貴族がこんな下賤な噂を流すはずないもの」
「事実だからそんな噂が流れたとは思わないの?」
「思わないわ」
リリー、私の味方という仮面が剥がれかけているわよ。
「ああ、でも、その噂が流れて得をする人はいるわね。アラン様の婚約を破棄する口実にできるもの」
私もリリーと一緒。決定的なことは口にしていない。
でもアランとの婚約破棄の口実を喜ぶ者、噂にとってメリットを得る者。この条件に当てはまる者は現在認知できるのは二人。アラン本人とランだ。
正式な伯爵家嫡男と子爵家の不義の子。天秤をかけた結果、野次馬たちは噂をする。
この噂を流したのはランだと。
彼は義姉を貶めて自分がアランの婚約者になり変わるつもりだと。そして私は義弟にありもしない噂を流された被害者。可哀想にと誰もが私に同情的になった。
面白いわね。簡単に盤上がひっくり返ったわ。子爵家の評判はガタ落ち。
いいわね。どんどん落ちていけばいいのよ。
「フィオナ、大丈夫なの?」
噂が校内全体に広まるのに数日とかからなかった。
食堂で食事をしているとリリーが声を潜めて、心配そうに聞いてきた。それも全部演技でしょうね。
「何が?」
「何がって、あなたが軽率な発言をしたせいであなたの義弟が噂の渦中にいるのよ。心配じゃないの?」
「全然」と答える私にリリーは信じられないものを目撃したかのように驚いている。私の方こそ驚きよ。
仮にも私の友人を名乗っているのならあなたの発言こそ軽率ではないの?
よく親友の母親が死んだ元凶になっている人間の心配をしろなんて言えたものね。
「どうして私がランの心配をしないといけないの?」
「どうしてって、あなたの義弟でしょ」
「ええ、そうね。ねぇ、リリー。私は悲しいわ」
私は傷ついたと言わんばかりに悲しげな表情をして、涙を流した。リリーはギョッとしている。面白い。
「ランは確かに私の義弟だけど、でも、父の不貞の子よ。私の母はそのせいで死んだの。なのにあなたは、私にその元凶の心配をしろというの?」
「・・・・っ。で、でも、彼に罪はないでしょう」
「ええ、そうね。私も、それは分かっているわ。何度も自分に言い聞かせて来た」
「だったら」
「でも、ままならないのが人の心というものではないの?」
ほろほろと涙を流す私にリリーはどうフォローしようかと目を泳がせる。自分の失態に気づくのが遅いのよ。それに、リリーは何も分かっていないのね。
噂の渦中は確かにランだけど、私もまだ噂の渦中にいるのよ。
ねぇ、リリー。みんなが私の言動に注目しているの。
ねぇ、リリー。どれだけの人が今の会話を聞いていたかしら?
ねぇ、リリー。私たちの会話を聞いた人はどう思ったかしら?
きっと明日には噂に上がっているわね。どんな噂をされているかしら。
ねぇ、リリー。あなたなら分かるでしょう。
だって、あなたも噂を武器に私を貶めようとしたのだから。
ねぇ、リリー。楽しいわね。人を貶めるのって、とても楽しいわ。あなたがハマるのも分かるわ。私も、クセになってしまいそうだもの。
「ランは私に言ったわ。セザンヌは必死に、私を愛そうとしているって、その為に毎日頑張っているって。私がそれを聞いて喜んだと思う?歓喜のあまり涙を流したと思う?思うわけないわよね。私の母がいながらあの女は父との間に子をもうけた。そんな女からの愛なんて悍ましいだけだわ。ランもあの女も、あなたも私にその悍ましい愛を強要するのね」
「違うわ、私はそんなつもりじゃなくて」
ええ、分かっているわ。そんなつもりじゃなかったよね。こんな表立って私と敵対するつもりなんてなかったのよね。いつまでも私の友人面して、私の隣で、私から直接得た情報を歪曲して噂にする。私を貶める為に。そのつもりだったんでしょう。
ええ、私はちゃんと分かっているわ。ただ、それを口にしないだけ。私、優しいでしょう。あなたが打算まみれの女ではなく、頭の足りない女って周囲に認知させようとしているんだから。
「あなたのこと、友人だと思っていたのに。悲しいわ」
「フィオナ、私は」
「友人のあなたからランを受け入れろなんて言われると思わなかった。あなたにだけは、そんなこと言われたくなかった。あなたのこと、友人だと思っていたから」
これで、あなたが影で私のことをどう言っていたかも含めて噂が流れてしまうかもしれないわね。でも大丈夫よ。あなたはいつも決定的なことは口にしていないから。だから、軽率な発言を無自覚に繰り返してしまい、結果として友人の評判を下げること貢献してしまった頭の残念な子ってことになるから。
大変ね。そんな噂が流れたらあなたの友人は離れてしまうわね。今度は自分たちの悪評を流されるかもって警戒して。あら、そうなると家にも影響が出てしまうわね。
噂って怖いわね。どんどん事実と異なることが事実のように広まってしまうんだから。
でも、あなたなら大丈夫よね。リリー。
だってこれは、あなたが始めたことだもの。
曰く、私が不義の子だと。
曰く、私は父親が不確かな卑しい出の子だと。
曰く、私自身も男遊びが激しく、それ故に婚約者に愛想を尽かされていると。
「酷いわよね、みんな。フィオナ、気にすることないわよ」
と、リリーはいつも通り私の隣で、私の友人面をして憤ってみせる。
私の唯一の味方だと思っていた。たった一人の友達だと。でも、真実を知った今、彼女の演技かかったその様子は道化師のようでひどく滑稽だった。
私はいつも通り、リリーと同じ友人面をして会話を続ける。
「別にいいわよ。気にしていないわ」
「強がる必要ないわよ、フィオナ。こんな根も葉もない噂、傷つかないわけないもの」
私に傷ついてほしいのね、リリー。どうして今まで気づかなかったのかしら。
私を心配するような言葉とは裏腹に爛々と輝いたその目を見れば、彼女が期待しているかなんて一発で分かるのに。
私って馬鹿ね。
「傷つくわけないじゃない」
子爵家の醜聞。これほど愉快なものなんてないもの。
にっこりと笑う私をリリーは怪訝そうに見ている。あてが外れたって感じかしらね?
「私の母は既に他界しているわ」
私は私のことを噂しているクラスメイトにも聞こえるように、リリーに言う。彼女を見ながら。「お前のことだ」と言わない代わりに。
「私が父の子なのか、母は不貞していたのか、確かめようがない。証拠は何もない。でもこれだけは言える。これは死者への冒涜。死人に鞭を打つ行為ができるのはその者が卑しい血筋だからでしょう」
「どうしてそう思うの?」
リリーの額に青筋が浮かんでいる。
それもそうよね。噂な流したのはあなただもの。でも、大丈夫よ。あなたが流したなんて誰も思わないから。きっとあなたからその話しを聞いたあの二人も口をつぐんでくれるでしょうね。下手に口を出せば余計な火種を浴びかねないもの。自分たちがこの噂を流した諜報人だと思われたくはないはず。
「だって、高貴な血筋を持っている貴族がこんな下賤な噂を流すはずないもの」
「事実だからそんな噂が流れたとは思わないの?」
「思わないわ」
リリー、私の味方という仮面が剥がれかけているわよ。
「ああ、でも、その噂が流れて得をする人はいるわね。アラン様の婚約を破棄する口実にできるもの」
私もリリーと一緒。決定的なことは口にしていない。
でもアランとの婚約破棄の口実を喜ぶ者、噂にとってメリットを得る者。この条件に当てはまる者は現在認知できるのは二人。アラン本人とランだ。
正式な伯爵家嫡男と子爵家の不義の子。天秤をかけた結果、野次馬たちは噂をする。
この噂を流したのはランだと。
彼は義姉を貶めて自分がアランの婚約者になり変わるつもりだと。そして私は義弟にありもしない噂を流された被害者。可哀想にと誰もが私に同情的になった。
面白いわね。簡単に盤上がひっくり返ったわ。子爵家の評判はガタ落ち。
いいわね。どんどん落ちていけばいいのよ。
「フィオナ、大丈夫なの?」
噂が校内全体に広まるのに数日とかからなかった。
食堂で食事をしているとリリーが声を潜めて、心配そうに聞いてきた。それも全部演技でしょうね。
「何が?」
「何がって、あなたが軽率な発言をしたせいであなたの義弟が噂の渦中にいるのよ。心配じゃないの?」
「全然」と答える私にリリーは信じられないものを目撃したかのように驚いている。私の方こそ驚きよ。
仮にも私の友人を名乗っているのならあなたの発言こそ軽率ではないの?
よく親友の母親が死んだ元凶になっている人間の心配をしろなんて言えたものね。
「どうして私がランの心配をしないといけないの?」
「どうしてって、あなたの義弟でしょ」
「ええ、そうね。ねぇ、リリー。私は悲しいわ」
私は傷ついたと言わんばかりに悲しげな表情をして、涙を流した。リリーはギョッとしている。面白い。
「ランは確かに私の義弟だけど、でも、父の不貞の子よ。私の母はそのせいで死んだの。なのにあなたは、私にその元凶の心配をしろというの?」
「・・・・っ。で、でも、彼に罪はないでしょう」
「ええ、そうね。私も、それは分かっているわ。何度も自分に言い聞かせて来た」
「だったら」
「でも、ままならないのが人の心というものではないの?」
ほろほろと涙を流す私にリリーはどうフォローしようかと目を泳がせる。自分の失態に気づくのが遅いのよ。それに、リリーは何も分かっていないのね。
噂の渦中は確かにランだけど、私もまだ噂の渦中にいるのよ。
ねぇ、リリー。みんなが私の言動に注目しているの。
ねぇ、リリー。どれだけの人が今の会話を聞いていたかしら?
ねぇ、リリー。私たちの会話を聞いた人はどう思ったかしら?
きっと明日には噂に上がっているわね。どんな噂をされているかしら。
ねぇ、リリー。あなたなら分かるでしょう。
だって、あなたも噂を武器に私を貶めようとしたのだから。
ねぇ、リリー。楽しいわね。人を貶めるのって、とても楽しいわ。あなたがハマるのも分かるわ。私も、クセになってしまいそうだもの。
「ランは私に言ったわ。セザンヌは必死に、私を愛そうとしているって、その為に毎日頑張っているって。私がそれを聞いて喜んだと思う?歓喜のあまり涙を流したと思う?思うわけないわよね。私の母がいながらあの女は父との間に子をもうけた。そんな女からの愛なんて悍ましいだけだわ。ランもあの女も、あなたも私にその悍ましい愛を強要するのね」
「違うわ、私はそんなつもりじゃなくて」
ええ、分かっているわ。そんなつもりじゃなかったよね。こんな表立って私と敵対するつもりなんてなかったのよね。いつまでも私の友人面して、私の隣で、私から直接得た情報を歪曲して噂にする。私を貶める為に。そのつもりだったんでしょう。
ええ、私はちゃんと分かっているわ。ただ、それを口にしないだけ。私、優しいでしょう。あなたが打算まみれの女ではなく、頭の足りない女って周囲に認知させようとしているんだから。
「あなたのこと、友人だと思っていたのに。悲しいわ」
「フィオナ、私は」
「友人のあなたからランを受け入れろなんて言われると思わなかった。あなたにだけは、そんなこと言われたくなかった。あなたのこと、友人だと思っていたから」
これで、あなたが影で私のことをどう言っていたかも含めて噂が流れてしまうかもしれないわね。でも大丈夫よ。あなたはいつも決定的なことは口にしていないから。だから、軽率な発言を無自覚に繰り返してしまい、結果として友人の評判を下げること貢献してしまった頭の残念な子ってことになるから。
大変ね。そんな噂が流れたらあなたの友人は離れてしまうわね。今度は自分たちの悪評を流されるかもって警戒して。あら、そうなると家にも影響が出てしまうわね。
噂って怖いわね。どんどん事実と異なることが事実のように広まってしまうんだから。
でも、あなたなら大丈夫よね。リリー。
だってこれは、あなたが始めたことだもの。
23
お気に入りに追加
175
あなたにおすすめの小説
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
妹と歩く、異世界探訪記
東郷 珠
ファンタジー
ひょんなことから異世界を訪れた兄妹。
そんな兄妹を、数々の難題が襲う。
旅の中で増えていく仲間達。
戦い続ける兄妹は、世界を、仲間を守る事が出来るのか。
天才だけど何処か抜けてる、兄が大好きな妹ペスカ。
「お兄ちゃんを傷つけるやつは、私が絶対許さない!」
妹が大好きで、超過保護な兄冬也。
「兄ちゃんに任せろ。お前は絶対に俺が守るからな!」
どんなトラブルも、兄妹の力で乗り越えていく!
兄妹の愛溢れる冒険記がはじまる。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる