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第一章
9.ミア視点
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番。生まれた時からミアたち獣人が求めて、焦がれる存在
でも絶対に巡り合えない存在だ。
だってこの世界にどれだけの生き物がいると思っているの?
同じ国にいるとは限らないし、もしかしたら未開の地に生まれているかもしれない。そんなどこにいるかも分からない相手と巡り会えるはずがない。
それでも獣人は本能で番を求める。
そしてミアたちは出会ってしまった。そんな奇跡の存在に。これぞまさに運命!
ディアモン・ジュノン。
ラッキーなことに侯爵家の人間だった。玉の輿じゃん!もうゲットするしかないよね。
目が合った瞬間、ミアたちは時が止まったかのように見つめ合った。
ディアモンには婚約者がいた。でもそんなの大した問題じゃない。
その証拠にディアモンはすぐに婚約破棄をしてくれた。
ちょっと可哀そうだなって思ったから仲良くしてあげることにした。
彼女は上級伯爵家の人間でミアは今は子爵令嬢だけど将来は侯爵夫人になるんだから彼女にとっても損はないはず。
「あのぉ、すぃませぇん」
なのに何度呼んでもセイレーンは私を無視する。ちょっと性格の悪い子だなって思ったけどそれでも根気強く呼ぶとやっと彼女は反応してくれた。
ミアは優しいから許してあげるけど。そうでない子だったら大変な目にあってたよ。
だって所詮、伯爵家でしょう。ミアは侯爵夫人になるから、ミアが怒ったらセイレーンの家なんてあっという間に潰れちゃうんだよ。
そこんところがセイレーンはどうも分かっていないようだった。
上級伯爵家の癖に子爵家のミアよりも貴族のことが分かっていないなと思ったら親切な人が教えてくれた。
「アドラー様って、ご家族と上手くいっていないみたいよ」
「お父様は他所に愛人を作って、もう何年も邸に帰って来てはいないの」
「確かお母様も部屋に籠りきりで社交界にはお出にならないわよね。本当は死んでいるんじゃないかって噂も」
彼女たちはミアの前からのお友達。
ディアモンと婚約してからは前よりもずっと親しくなったし。今みたいにミアの知らない情報を教えてくれる。
「セイレーンって可哀そうなんだね」
私が言うとお友達はなぜか曖昧に頷いた。
そんな可哀そうなセイレーンだからミアがお友達になって慰めてあげないとと強く思った。その為にはまずセイレーンにミアとディアモンの婚約を認めてもらおうと思った。
お友達になるのに蟠りとかあったら嫌じゃん。そこまで気を遣ってあげているのにセイレーンは全然、ミアの提案を受け入れてくれない。
何で?意味わかんない。
ミアと友達になれないなんてセイレーンって思っていたよりも性格が悪いかも。
きっと可哀そうな生い立ちだから性格が歪んでしまったんだろう。
ミアは優しいから根気強くセイレーンに話しかける。セイレーンが孤立しないようにミアがお友達になってあげないと。
ミアの努力もあってセイレーンがミアとディアモンの婚約パーティーに出席してくれた。
でも、セイレーンは主役のミアよりも目立っていた。それはダメなので注意をしようと近づいてら躓いて、セイレーンにワインがかかりそうになった。
ちょうどいいと思った。
もっと地味なドレスに着替えてもらって主役のミアよりも目立たないようにしないと会場で浮いちゃうから。
セイレーンは家族に恵まれていないからきっと碌な教育も受けていないと思う。だから社交界でのマナーはミアが教えてあげないと。
でもワインはセイレーンにはかからなかった。
私の顔にかかった。
酷い。ミアはいつもセイレーンに優しくしているのにセイレーンは意地悪ばかりする。
それでも優しいミアはセイレーンに貴族の娘が魔道具を使ってはいけないことを教えてあげる。
魔力のない欠陥品でも、魔道具は平民が使うもので貴族が使うものではないから使わない方が良いと教えてあげたのにセイレーンはまるで聞く耳を持たない。
いくら優しいミアでも限度がある。
せっかくおめかししたのに全部、台無し。
ミアはディアモンに侍女を呼んでもらい綺麗にお化粧をしなおすことにした。
でも絶対に巡り合えない存在だ。
だってこの世界にどれだけの生き物がいると思っているの?
同じ国にいるとは限らないし、もしかしたら未開の地に生まれているかもしれない。そんなどこにいるかも分からない相手と巡り会えるはずがない。
それでも獣人は本能で番を求める。
そしてミアたちは出会ってしまった。そんな奇跡の存在に。これぞまさに運命!
ディアモン・ジュノン。
ラッキーなことに侯爵家の人間だった。玉の輿じゃん!もうゲットするしかないよね。
目が合った瞬間、ミアたちは時が止まったかのように見つめ合った。
ディアモンには婚約者がいた。でもそんなの大した問題じゃない。
その証拠にディアモンはすぐに婚約破棄をしてくれた。
ちょっと可哀そうだなって思ったから仲良くしてあげることにした。
彼女は上級伯爵家の人間でミアは今は子爵令嬢だけど将来は侯爵夫人になるんだから彼女にとっても損はないはず。
「あのぉ、すぃませぇん」
なのに何度呼んでもセイレーンは私を無視する。ちょっと性格の悪い子だなって思ったけどそれでも根気強く呼ぶとやっと彼女は反応してくれた。
ミアは優しいから許してあげるけど。そうでない子だったら大変な目にあってたよ。
だって所詮、伯爵家でしょう。ミアは侯爵夫人になるから、ミアが怒ったらセイレーンの家なんてあっという間に潰れちゃうんだよ。
そこんところがセイレーンはどうも分かっていないようだった。
上級伯爵家の癖に子爵家のミアよりも貴族のことが分かっていないなと思ったら親切な人が教えてくれた。
「アドラー様って、ご家族と上手くいっていないみたいよ」
「お父様は他所に愛人を作って、もう何年も邸に帰って来てはいないの」
「確かお母様も部屋に籠りきりで社交界にはお出にならないわよね。本当は死んでいるんじゃないかって噂も」
彼女たちはミアの前からのお友達。
ディアモンと婚約してからは前よりもずっと親しくなったし。今みたいにミアの知らない情報を教えてくれる。
「セイレーンって可哀そうなんだね」
私が言うとお友達はなぜか曖昧に頷いた。
そんな可哀そうなセイレーンだからミアがお友達になって慰めてあげないとと強く思った。その為にはまずセイレーンにミアとディアモンの婚約を認めてもらおうと思った。
お友達になるのに蟠りとかあったら嫌じゃん。そこまで気を遣ってあげているのにセイレーンは全然、ミアの提案を受け入れてくれない。
何で?意味わかんない。
ミアと友達になれないなんてセイレーンって思っていたよりも性格が悪いかも。
きっと可哀そうな生い立ちだから性格が歪んでしまったんだろう。
ミアは優しいから根気強くセイレーンに話しかける。セイレーンが孤立しないようにミアがお友達になってあげないと。
ミアの努力もあってセイレーンがミアとディアモンの婚約パーティーに出席してくれた。
でも、セイレーンは主役のミアよりも目立っていた。それはダメなので注意をしようと近づいてら躓いて、セイレーンにワインがかかりそうになった。
ちょうどいいと思った。
もっと地味なドレスに着替えてもらって主役のミアよりも目立たないようにしないと会場で浮いちゃうから。
セイレーンは家族に恵まれていないからきっと碌な教育も受けていないと思う。だから社交界でのマナーはミアが教えてあげないと。
でもワインはセイレーンにはかからなかった。
私の顔にかかった。
酷い。ミアはいつもセイレーンに優しくしているのにセイレーンは意地悪ばかりする。
それでも優しいミアはセイレーンに貴族の娘が魔道具を使ってはいけないことを教えてあげる。
魔力のない欠陥品でも、魔道具は平民が使うもので貴族が使うものではないから使わない方が良いと教えてあげたのにセイレーンはまるで聞く耳を持たない。
いくら優しいミアでも限度がある。
せっかくおめかししたのに全部、台無し。
ミアはディアモンに侍女を呼んでもらい綺麗にお化粧をしなおすことにした。
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