イジメられっ子は悪役令嬢( ; ; )イジメっ子はヒロイン∑(゚Д゚)じゃあ仕方がないっ!性格が悪くても(⌒▽⌒)

音無砂月

文字の大きさ
上 下
10 / 26
オードブル

Ⅲ.魔王降臨により派閥は一日目で解散しました。

しおりを挟む
 知らない間に派閥ができていた。
 私の派閥は男爵家から公爵家まで幅広く、ジュリアの派閥は伯爵以上の者が入っている。
 私はこんな派閥を作るつもりはなかったのだが。
 というか、派閥の長をしているつもりもない。
 周りの人間が勝手に私に付きまとっているだけなのだ。

 はっきり言って鬱陶しい。
 多分、彼らは私とお近づきになるように親に言われているのだろう。

 「カーティス公爵令嬢、今日も大変美しいですね」
 と、ごますりをするようなポーズでどこかの子息が私に近づく。
 「ありがとうございます。けれど、美しい花はそこかしこに咲いておりますのでどうぞ、お気になさらず」
 「ご謙遜を」
 「あなたよりも美しい花など我々は知りません」

 いや、本当にうざい。

 因みに私達がいるのは食堂だ。
 私は一人で来て、ゆっくりと食べたかったのだが腰ぎんちゃくのようにくっついて離れない連中が大勢いる。

 「カーティス公爵令嬢、先程の授業素晴らしかったですわ」
 「本当に、カーティス公爵令嬢は博識でいらっしゃいます」

 これ、どうにかならないだろうか。

 「レイラ」
 そう、思っていた私に救いの手が差し伸べられた。
 「お兄様」
 兄は人の好い笑みを浮かべ、私に近づく。
 私の周りに居た令嬢は頬を染め、急に身だしなみを気にし始める。
 相変わらずお兄様は令嬢達に絶大な人気を誇っているようだ。
 そのお兄様だが私の周りに居る人間に視線を向け、にっこりと微笑むがそれが表向きだけだということは私だけは分かった。

 「私の妹と仲良くしてくれてありがとう」
 誰に言うでもなく、言うと「いいえ」、「当然ですわ、クラスメイトですもの」などの答えが返って来た。
 兄は更に笑みを深める。
 それを直視できずに俯いてしまった令嬢は気づかない。
 だが、真正面から兄を見つめている子息たちは気づき、顔を引きつらせ、無意識だろうが足も若干引いている。

 「でもね、私の妹はと違って一人で何でもできるんだよ」

 急に声音が変わったことを不思議に思い、顔を上げた令嬢は紅色の頬を瞬時に青くさせた。
 何とも器用なことだ。
 「ミレイユ公爵令嬢とのことは私の耳にも届ているよ。
 でも、些細なすれ違いではないかな?
 それをくだらない派閥を本人の了承もなく作って騒ぎ立てるのは如何な物かな?」
 「そんな、俺達にはそんなつもりは」
 「おや、ではどんなつもりでここに居るのかな?
 まさか、この私の可愛い妹にちょっかいを出そうなんて考えていないよね」

 ニッコリと兄は微笑んでいるが言われた男子生徒は土気色だ。

 「カーティス公爵家とお近づきになりたいと思う君達の心意気は高く評価するよ。
 貴族なら当然のことだ。決して間違いではない。
 でも、行き過ぎた行為は不興しか買わないから気を付けることだね」

 「・・・・・はい」

 青ざめた一同の返事を聞き、満足したのか兄は家で見せてくるいつもの笑顔に戻った。
 「では、レイラ。一緒に食事をしよう。
 折角会えたんだから、勿論お兄様と一緒に食事を取ってくれるよね」
 「・・・・はい」
 逆らってはいけないと本能が教えてくれました。
 「では、みなさま、ごきげんよう」
 煩わしい集団から離れて兄の所に行くと背後から「あれが噂の魔王か」、「笑顔が怖かった」、「普段はあんなに温和な方なのに」、「学校の暗黙の了解の一つと聞きましたわ、魔王は起こすなと」などという分かるような、でもやっぱり分からないような、というか分かりたくない言葉が聞こえてきました。

 背後の言葉に耳を傾けながら兄を見ると、兄は分かっていながら「どうかしたの?」と首を傾けて聞いてきます。
 なので、全力で何も聞いていなことにしました。


 「レイラも気を付けることだね。
 貴族というのはどん欲だ。
 隙を見せれば骨までしゃぶるよ。
 昨日の些細なことで直ぐに派閥何て作って君に取り入ろうとしたのが良い例だ」
 「はい。迂闊でした。気を付けます」
 「そうだね。学校というところは社交界と同じだ。
 学校は社交界の模擬戦と考えた方が良い。
 社交界でも学校でも噂になれば直ぐに誰もかれもが叩きに来る。
 それで没落の一途を辿る家なんて珍しくはないんだから」
 「はい、反省しています」

 昨日、私はミレイユ公爵令嬢とちょっとした口論まではいかないがそれに近いことがあった。
 それを放置していたので派閥を勝手に作られたのだ。
 もし、派閥を作られると派閥の人間が起こした不祥事さえ、その長のせいにされてしまうから派閥というのは作らない方が良いのだ。
 その為にも次からは何かしらのフォローが居るだろう。
 貴族社会って面倒くさい。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

悪役とは誰が決めるのか。

SHIN
恋愛
ある小さな国の物語。 ちょっとした偶然で出会った平民の少女と公爵子息の恋物語。 二人には悪役令嬢と呼ばれる壁が立ちふさがります。 って、ちょっと待ってよ。 悪役令嬢だなんて呼ばないでよ。確かに公爵子息とは婚約関係だけど、全く興味は無いのよね。むしろ熨斗付けてあげるわよ。 それより私は、昔思い出した前世の記憶を使って色々商売がしたいの。 そもそも悪役って何なのか説明してくださらない? ※婚約破棄物です。

所(世界)変われば品(常識)変わる

章槻雅希
恋愛
前世の記憶を持って転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢。王太子の婚約者であり、ヒロインが彼のルートでハッピーエンドを迎えれば身の破滅が待っている。修道院送りという名の道中での襲撃暗殺END。 それを避けるために周囲の環境を整え家族と婚約者とその家族という理解者も得ていよいよゲームスタート。 予想通り、ヒロインも転生者だった。しかもお花畑乙女ゲーム脳。でも地頭は悪くなさそう? ならば、ヒロインに現実を突きつけましょう。思い込みを矯正すれば多分有能な女官になれそうですし。 完結まで予約投稿済み。 全21話。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!

佐倉穂波
ファンタジー
 ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。  学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。 三話完結。 ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。 2023.10.15 プリシラ視点投稿。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

転生したらシンデレラの継母でした

菜花
ファンタジー
良いおじいさんと悪いおじいさんのシンデレラ話転生版。カクヨムにも投稿しています。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

処理中です...