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Not peace,Not love You.
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新聞の見出しには、大きく昨晩の事件が書かれていた。
「大成功だな。名探偵くん」
ご満悦という顔で、ナ・イは机の上の新聞を指で叩いた。
ここは先々日と同じ、ナ・イの執務室だ。
昨日と違うのは、新聞を見るナ・イが、エラく上機嫌だということ。
依頼は達成した。その結果、この街はおそらく戦争になる。
昨日殺したのは、この街の厳格派と民主派の幹部だった。
彼らはそれぞれの意見を交換し合い、協定を結ぶためにああして集まっていたのだ。
それを神官派の手による襲撃に見せかけて、皆殺しにした。
現に他の者、おそらく差し向けたのは民主派の強行組だと思うが、襲撃を受けたわけだ。
直接的には言ってないにしても、事実はある。幹部は全員死んだ。それこそが一番重要だ。
「楽しいだろう。この街はまた戦争になる。神官派と厳格派、民主派の。そしてこの火種は、確実にこの街全てに飛び移る」
「相変わらず、えげつないな。それで誰が得をするんだ?」
「日和見するなよ、名探偵くん。戦争なんてモノは、起こした奴が一番得をしなければ、起こす意味がないだろう」
暗い闇のように、ナ・イは不気味な笑みを浮かべた。
虫唾が走るのをなんとか堪え、鼻で笑った。
「まぁ、関係ないさ。支払いはいつも通り」
仕事以外で、この男の戯言に付き合いたくはない。
常に利潤と保守を追求し、そのためにあらゆる勢力、人を葬ってきた男。
この悪徳の街を、より住みよく、より自分の利益が増えるように、破壊し、構築してきた男。
「それでは、名探偵くん。また、よろしく」
踵を返すと、ナ・イは不気味なニュアンスを含めて言い放った。
「大成功だな。名探偵くん」
ご満悦という顔で、ナ・イは机の上の新聞を指で叩いた。
ここは先々日と同じ、ナ・イの執務室だ。
昨日と違うのは、新聞を見るナ・イが、エラく上機嫌だということ。
依頼は達成した。その結果、この街はおそらく戦争になる。
昨日殺したのは、この街の厳格派と民主派の幹部だった。
彼らはそれぞれの意見を交換し合い、協定を結ぶためにああして集まっていたのだ。
それを神官派の手による襲撃に見せかけて、皆殺しにした。
現に他の者、おそらく差し向けたのは民主派の強行組だと思うが、襲撃を受けたわけだ。
直接的には言ってないにしても、事実はある。幹部は全員死んだ。それこそが一番重要だ。
「楽しいだろう。この街はまた戦争になる。神官派と厳格派、民主派の。そしてこの火種は、確実にこの街全てに飛び移る」
「相変わらず、えげつないな。それで誰が得をするんだ?」
「日和見するなよ、名探偵くん。戦争なんてモノは、起こした奴が一番得をしなければ、起こす意味がないだろう」
暗い闇のように、ナ・イは不気味な笑みを浮かべた。
虫唾が走るのをなんとか堪え、鼻で笑った。
「まぁ、関係ないさ。支払いはいつも通り」
仕事以外で、この男の戯言に付き合いたくはない。
常に利潤と保守を追求し、そのためにあらゆる勢力、人を葬ってきた男。
この悪徳の街を、より住みよく、より自分の利益が増えるように、破壊し、構築してきた男。
「それでは、名探偵くん。また、よろしく」
踵を返すと、ナ・イは不気味なニュアンスを含めて言い放った。
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