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はたと目を覚ますと、見知らぬ部屋だった。
体は泥のように重く気力がないが、違和感に駆られて体を起こした。
何も、身に着けていなかった。
さっと血の気が失せて行き、それからそそくさと羽織っていた布団で体の前を隠した。
「ん……」
「え?」
油切れのドアのように、ぎしぎしと緩慢な動きで横を見ると、衝撃的に過ぎるものが見えた。
自分と同じように、生まれたままの姿の女体。
分厚い眼鏡は今は付けていない。化粧も落としたのか、ぞっとするほど端正な顔立ちの彼女。
「寒いよ、”花梨”ちゃん」
「え、あ、は、はい。ごめんんさい」
咄嗟に布団を直して、寝起きの彼女、須崎の肩に掛ける。
頭の中が?マークで埋め尽くされて、一体どうしたらいいのかと固まっていると、隣で寝ころんでいた須崎がベッドから滑り降りて立ち上がった。
惜しげもなく晒される、惚れ惚れするプロポーションに思わず視線が釘付けになる。
こちらの事なんて気にもかけず彼女は、キッチンへ行き、グラスに水を注いで持ってきた。
そこで視線が交わって、慌てて彼女を視界から外した。
にこりと意味深な笑みを浮かべて彼女は、グラスを差し出してきた。
「ほら、お水飲んで」
「あ、ありがとう」
受け取ろうと思った手は空を切り、口に暖かくて柔らかい感触。それから冷たい水が一気に流れ込んだ。
「んんんん!?」
慌てて飛びのいて、そのまま後ろに倒れた。こぼれた水が口元を濡らした。
そして彼女は当たり前のように跨ってきた。にっこりと笑みを浮かべた。
「いくら何でも無防備すぎだよ。他人の家でお酒飲んで潰れちゃうなんて。あたしでなくてもひょいぱくしたくなっちゃうよ?」
くいとグラスの中身を一気に飲んだ彼女は、とても楽しそうだ。
「いや、えっと、ちょっと状況、わからないんですけど?」
「なんで敬語?」
ころころと楽しそうに笑う須崎は、グラスをベッドサイドに置くと寝ころんだまま動けない私に覆いかぶさった。ボリューミーなバストが揺れて、思わず目で追っていた。
「もう、スケベだなぁ。そういえば昨日も顔埋めて可愛い声出してたし。赤ちゃんみたいでかわいかったなあ」
「ちょ、ちょちょちょ、ちょっとまって!? は?」
事実ではないとしても、そんな事を言われたら恥ずかしいに決まっている。顔が火照る。
「というか、まるっきり覚えてない?」
「全然」
「二日酔いは?」
「不思議と頭はすっきりしてます」
それとなぜか彼女に強く出れない。気持ちが落ち着かない。こんな姿勢なのもある。
「借りて来た猫みたいに素直だね」
「そ、それより! いったいなに!?」
「あ、いつもの花梨ちゃん」
「あと名前!」
少しだけ強めに睨みを利かせると、彼女は切れ長の目を丸くして、それからきゅっと細めた。
「名前呼んでーとか、食べてーとかかわいい声出してたのに? 全然覚えてないの?」
「そんなわけないから!」
「もう。じゃあ、思い出させてあげるね」
耳元で囁かれてぞくぞくと背筋が戦慄いた。目覚めてクリアだった思考が、一気に霞みがかって行く。
「酔っぱらった花梨ちゃんは、悪いバーテンにひょいぱくされて今に至りまーす」
そんなバカな事があってたまるかい。
と否定したいのは山々。しかし体はまるでそれが真実であるという様に、彼女を求めている。とても自力で動かせないほど重く怠い腰は、それでも甘くうずいている。
「そんなこと、あるはずない……」
「じゃ、今から確かめてみようか」
投げ出されていた手が重なり、指が絡まる。体温をより感じて、胸の奥から何かがあふれ出て来た。
「やっ! ん……、ちょ、やめ!」
「飛んで火にいる、っていうんだけ? でももう離さないからね、花梨」
耳元で囁かれた名前。たったそれだけなのに、もう頭の芯が痺れてまともに回らない。
「それじゃ、今度ともよろしくね」
「……はい」
いいように転がされているのに、悪い気持ちにならないのは、昨日の美味しいお酒が抜けていないからだろうか?
体は泥のように重く気力がないが、違和感に駆られて体を起こした。
何も、身に着けていなかった。
さっと血の気が失せて行き、それからそそくさと羽織っていた布団で体の前を隠した。
「ん……」
「え?」
油切れのドアのように、ぎしぎしと緩慢な動きで横を見ると、衝撃的に過ぎるものが見えた。
自分と同じように、生まれたままの姿の女体。
分厚い眼鏡は今は付けていない。化粧も落としたのか、ぞっとするほど端正な顔立ちの彼女。
「寒いよ、”花梨”ちゃん」
「え、あ、は、はい。ごめんんさい」
咄嗟に布団を直して、寝起きの彼女、須崎の肩に掛ける。
頭の中が?マークで埋め尽くされて、一体どうしたらいいのかと固まっていると、隣で寝ころんでいた須崎がベッドから滑り降りて立ち上がった。
惜しげもなく晒される、惚れ惚れするプロポーションに思わず視線が釘付けになる。
こちらの事なんて気にもかけず彼女は、キッチンへ行き、グラスに水を注いで持ってきた。
そこで視線が交わって、慌てて彼女を視界から外した。
にこりと意味深な笑みを浮かべて彼女は、グラスを差し出してきた。
「ほら、お水飲んで」
「あ、ありがとう」
受け取ろうと思った手は空を切り、口に暖かくて柔らかい感触。それから冷たい水が一気に流れ込んだ。
「んんんん!?」
慌てて飛びのいて、そのまま後ろに倒れた。こぼれた水が口元を濡らした。
そして彼女は当たり前のように跨ってきた。にっこりと笑みを浮かべた。
「いくら何でも無防備すぎだよ。他人の家でお酒飲んで潰れちゃうなんて。あたしでなくてもひょいぱくしたくなっちゃうよ?」
くいとグラスの中身を一気に飲んだ彼女は、とても楽しそうだ。
「いや、えっと、ちょっと状況、わからないんですけど?」
「なんで敬語?」
ころころと楽しそうに笑う須崎は、グラスをベッドサイドに置くと寝ころんだまま動けない私に覆いかぶさった。ボリューミーなバストが揺れて、思わず目で追っていた。
「もう、スケベだなぁ。そういえば昨日も顔埋めて可愛い声出してたし。赤ちゃんみたいでかわいかったなあ」
「ちょ、ちょちょちょ、ちょっとまって!? は?」
事実ではないとしても、そんな事を言われたら恥ずかしいに決まっている。顔が火照る。
「というか、まるっきり覚えてない?」
「全然」
「二日酔いは?」
「不思議と頭はすっきりしてます」
それとなぜか彼女に強く出れない。気持ちが落ち着かない。こんな姿勢なのもある。
「借りて来た猫みたいに素直だね」
「そ、それより! いったいなに!?」
「あ、いつもの花梨ちゃん」
「あと名前!」
少しだけ強めに睨みを利かせると、彼女は切れ長の目を丸くして、それからきゅっと細めた。
「名前呼んでーとか、食べてーとかかわいい声出してたのに? 全然覚えてないの?」
「そんなわけないから!」
「もう。じゃあ、思い出させてあげるね」
耳元で囁かれてぞくぞくと背筋が戦慄いた。目覚めてクリアだった思考が、一気に霞みがかって行く。
「酔っぱらった花梨ちゃんは、悪いバーテンにひょいぱくされて今に至りまーす」
そんなバカな事があってたまるかい。
と否定したいのは山々。しかし体はまるでそれが真実であるという様に、彼女を求めている。とても自力で動かせないほど重く怠い腰は、それでも甘くうずいている。
「そんなこと、あるはずない……」
「じゃ、今から確かめてみようか」
投げ出されていた手が重なり、指が絡まる。体温をより感じて、胸の奥から何かがあふれ出て来た。
「やっ! ん……、ちょ、やめ!」
「飛んで火にいる、っていうんだけ? でももう離さないからね、花梨」
耳元で囁かれた名前。たったそれだけなのに、もう頭の芯が痺れてまともに回らない。
「それじゃ、今度ともよろしくね」
「……はい」
いいように転がされているのに、悪い気持ちにならないのは、昨日の美味しいお酒が抜けていないからだろうか?
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