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サバゲー大会決勝戦!
02
しおりを挟む「まさか今日ここで戦うなんてね! 驚き!」
カラッと晴れ渡るような笑みを浮かべた女性は、腰に手を当てて胸を張った。一挙一動に目が無意識に追いかけてしまう。おそらくそれが生まれ持ったカリスマ性だろう。
「Oh! ウェポンズのアキラサンネー!」
突然尋が叫んで、その女性の前まで出てきた。それと同時に、他のメンバーもその女性、アキラの前に集まった。
「みんな見てくれてるんだ。ありがとー」
アキラは嬉しそうに目を細めた。
アキラは、ミリタリー雑誌【ウェポンズ】の読者モデルだ。現役女子高生にして、エアライフルの射撃大会やサバイバルゲームなどと、幅広く活動している少女だ。最近だとテレビにも露出するようになった。
そんな彼女が、微笑を浮かべて右手を差し出した。尋に向かって。
「あなたがリーダーでしょ。今日はよろしくね」
「Non! ウチはリーダーじゃないデスネー。でも、よろしくお願いしマース!」
「え? だって、あなたエリ・ボルカンの――」
「今は! ここのsubネー!」
慌てて言葉を遮り、アキラの手を握り返す。そして大きく上下に振った。
「初めまして、このチームの指揮を執っている、新宿珠希です」
ずいと、尋を押しのけて、珠希が握手する。突然の挙動に目をしばたかせたアキラは、にっこりと人好きのする笑みを浮かべて返した。
――すこし、怒ってる――
珠希の心音は、若干だが強くなっている。怒っているのは間違いないようだ。
二回上下に振って、手を離す。そしてにっこり笑みを浮かべて、また颯爽と歩き出した。その後ろにアキラのチームメイトらしき少女たちが、軽く挨拶しなから追い越していった。
「今日はお互い、最善を尽くそう!」
後ろ手を振って去っていくアキラ。
「あの女と戦った事があるの?」
じろりと尋を睨み、珠希は腕組みする。
「みたいデスネー……」
バツの悪そうな顔で、曖昧に答える尋。
「どんなスタイルだったか、当然覚えているでしょうね」
「デスネー……」
「なに?」
「おぼえてない、デスネー?」
Sorryネーとつぶやきながら、申し訳なさそうにしゅんとなった。珍しく殊勝な態度だ。
はあとため息を吐いて、珠希はついと音羽を見る。
「あなたは、覚えている?」
尋ねられて、慌てて頭の中を引っ掻き回した。
「え、っと、あの……」
思い出そうとすると、余計記憶から遠ざかる。
――たしか、フー先輩に助けてもらって、わたしのせいでいっぱい迷惑かけてた――
反省点はいくつも出てくるが、当の本人の事はほとんど出てこない。
「えっと、ええっと……」
目線が怖い。鋭い目つきで睨まれると、焦りから思考がどんどん止まっていく。
「やつは、前に出てこなかった。周囲の親衛隊が躍起になっていたからな」
そこで突然フーが口を開く。
「やっぱり……」
「当たり前だ。あの手の連中が、ゲームで前に出てくるはずがない」
フーはそっと音羽の手を握って、かわりに珠希に説明した。
「まあ、期待はしてなかったし。いいわ」
会場に到着して、珠希と尋が登録を済ませた。
「チームG4&Gsですか?」
スタッフジャンパーを着た女性が、声をかけてきた。珠希が肯定すると、こちらへと言って特設のセーフティーへ案内された。そこで装備を整え、最終確認を言い渡される。
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