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サバゲー大会初日!

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 前にはカービン銃をよどみなく構え、てきぱきと影を確認していくフーがいる。驚くほど心音も、呼吸も静かで、いつもと変わらない彼女。その音を聞いていると、自然と音羽の乱れた呼吸や、早鐘を打つ胸も、落ち着いていった。

「はい」

 周囲の音を探る。

 良く聞けばいい。そうすれば、自ずと敵も狙撃の位置もわかる。幸いにして微弱な向かい風が吹いている。弾は中て辛いが、状況はよく聞こえる。

『アルファより全班。スモールチャーリー3で交戦。敵はフォックストロット3を制圧している。以上』

 前方で、尋たちが交戦しているようだ。エアソフトを撃ち合う音が聞こえる。

「スモールチャーリー3か……」

 ふんと鼻を小さく鳴らして、フーは周囲を見渡す。

「援護に回るぞ。フォックストロット3も取られているなら、まずい」

「はい!」

 音羽は必死になって周囲の音を聞き分けた。

 今の音羽たちは中間距離にいる。そこからオフェンスチームが囲い込まれないように、援護するのと、敵が一気にフラッグへ回りこないようにするのが仕事だ。

 現状だと少し遅れている。もう少し前に出なければ、援護ができない。

『こちらアルファ。拠点は硬い。少し後ろに下がる』

『チャーリィ了解。良いように撃たされたました。下がります』

『デルタ了解。カバーに周ります』

「ブラボー了解。援護に回る。オフェンスはスモールチャーリー2から後方へ抜けろ」

 フーがカービン銃を構え直した。

「アウト、聞いての通りだ。味方のパターンは覚えているだろう? 敵を探せ」

「は、はい!」

 耳を澄ませて、聞き慣れない音を探す。

 エアソフトの発砲音に混じっていて、聞き取りづらい。

 ――それでも、探さないと――

 足音が六つ。アルファのふたりは、音をほとんど出さない。

 ――ふたり、知らない――

 つまり、このふたつは敵だと思って間違いない。

「一時三十分にふたりです」

「見えた」

 カービンを構えたフー。ぴったりと壁に張り付いたその姿勢では、10メートルも離れれば、相手からの目視は難しくなるだろう。

 その先、遮蔽物になる建物の隙間。乱雑に並んだ建物の窓や、壁の隙間。絶妙に、フーのポジションからでなければできない、ギリギリの隙間。その先に、敵チームの隊員がふたり。

 そしてフーはふた呼吸置き、撃った。

 二発点射で撃ったのではないか、そう思える速射。

「ヒットー」

「ひっとぉ」

 遠くからのヒットコール。落としたのだ。5センチメートルもない隙間を通して、ふたりを落とした。

「さっすが天才狙撃手《フーファイター》ネー」

 影から、アルファのふたりが突然現れた。もう慣れたので驚きはしないが、それでも少し心臓は早くなる。

「あれ、もう倒したんですか?」

「さすがです」

 デルタとチャーリーも合流。弾倉を取り替え、一息。

「じゃ、ブラボーとチャーリーは側面から陽動おねがいシマスネー。デルタはウチらと来て、正面から取りにいくヨー」

「了解」

「了解」

 頷いて、展開。
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