レナと耽溺の食卓

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メイドと吸血鬼(1)

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 屋敷の広大な庭には色とりどりの花が咲く美しい生け垣が見渡す限りどこまでも続いていた。
 入り口の薔薇のアーチを潜り抜け、下ろし立ての白いエプロンをひらめかせながら、まるで迷路のように複雑に入り組んだ小路をレナは足早に進んでゆく。

 彼女はこの屋敷に最近やってきた新米メイドであった。
 主に屋敷の雑用全般と主人であるアルベール・ロルエ氏の食事係を任されている。
  
 本来ならば今頃は業務の一環として何百もある屋敷の空き部屋の一つ一つを掃除しなければならない時間帯であった。しかし、主人のアルベールが今朝から行方不明だとかで、彼の従者のカトルに主人探しを言いつけられ、こうして慣れない敷地内を宛もなく探しているのである。

 彼女がカトルに主の捜索を頼まれたのは今回が初めてではなかった。アルベールはこの辺り一帯の領主であるが、あまり仕事熱心な方ではないらしい。
 レナが屋敷に来てから知る限り、彼が執務を放り出してどこかへ消えてしまうことは日常茶飯事であり、その度に下っ端の彼女が敷地中を駆け回っている。

 と、いうか、必然的にそうならざるを得なかった。
 
 なぜならこの屋敷には、信じられないことに主人のアルベールと彼の従者のカトルと、そして新米メイドのレナの三人しかいないからだ。

 しばらくキョロキョロと辺りを見回しながら庭園を歩き回っていると、レナは数メートル先の垣根の向こうに見慣れた黒髪が風に揺れているのを見付けた。
 どことなくあどけない表情を浮かべ、芝生の上ですやすやと規則正しい寝息を立てているその人こそ、この屋敷の若き当主、アルベール・ロルエ氏である。

「アルベール様。起きてください」
「うーん……」

 レナは眠る彼にそっと近づき、できるだけ穏やかに声をかけた。
 しかしアルベールは猫のように丸くなるだけで、一向に起きる気配がない。

 レナは小さく溜め息をつき、しゃがみこんで声を強めた。

「アルベール様、こんな所で寝てはお風邪を引いてしまいますよ?」
「ふあぁ……。ん……、なに……レナ……?」
「はい。また執務のお仕事を途中で抜け出されたんですね。カトル様がカンカンですよ?」
「うーん……まだ眠くて……」

 眠りの体勢を変えようとしないアルベールに、レナはどう対応すべきなのか分からず困ってしまった。恐ろしくマイペースで睡眠をこよなく愛する彼は、いつもこんな様子でカトルの目を盗んでは何処かで眠っている。
 主の好きなようにさせてあげたい気持ちは山々だが、それでは言い付けを守れなかったレナがカトルに怒られてしまう。

「失礼します」

 仕方無くレナはアルベールの腕をとり、できるだけ痛くないよう力加減に気を付けながら彼の上半身を引っ張り起こした。
 無理やり起こされたアルベールは怒ることはなく、寝ぼけまなこでぼうっとレナの肩の向こうを眺めている。

「アルベール様。起きてください」

 レナはもう一度彼に同じ言葉をかけた。
 その言葉に反応したアルベールはレナの顔を見遣り、それから襟元に視線を移して一言、「喉が乾いた」とだけ呟いた。

 その言葉に、レナはピクリと肩を震わせる。

「……屋敷に戻られたら紅茶をお入れします」
「分かってるくせに」

 レナはわざととぼけてみたが、無駄であった。
 こういう時、彼女に拒否権はない。

「おいで、レナ」
「……っ!」

 ギラリと光るアルベールの赤い瞳に射ぬかれ、レナの体は一瞬で硬直した。

 緊張で動けなくなった彼女の手を、今度はアルベールが引っ張って寄せ、向い合わせで膝の上に乗り上げさせる。

「さぁ、君の血をちょうだい?」

 さらりと恐ろしいことをアルベールは口にした。 しかし、その表情は至って真面目である。そして、この言葉が冗談でないことをレナは知っている。

 なぜならこの屋敷でレナが与えられている「食事係」の仕事とは、彼に食事を作って運ぶことではなく、自らが食事として主に血を捧げることだからである。

 この屋敷の主人、アルベール・ロルエ氏は吸血鬼であった。

「脱いで」
「っ……ここ、外ですよ?」
「知ってる」

 脱いで。

 目を合わされ命令されたレナに逃げ場はなかった。

 彼女はアルベールに見つめられながら、震える手でエプロンのリボンを解き、黒いワンピースのボタンを外してゆく。恥ずかしさで顔から火が出そうだった。

 レナが全てのボタンを外すと、アルベールはするりと彼女の胸元を開いて肩を出させた。彼女のぷるんとした小さな乳房が風に晒され、つんと上を向く。立ち上がった乳首を見られるのが恥ずかしくてレナが胸を隠すと、アルベールは静かに言った。

「全部見せて」
「……はい」

 主の言うことに、レナは逆らえない。

 腕が解かれて丸出しになったレナの胸の突起を、ぱくりとアルベールは口に含んだ。

「……ん、……ふ、ぁッ」

 ぬるりと蛇のようにアルベールの舌がレナの胸の上を這い回ってゆく。
 彼女は口許を抑えて必死に声を殺そうとしたが、赤い舌を乳輪に突き立てられ、レロレロと高速で舐め回されると、指の隙間から抑え切れない喘ぎ声が漏れた。

 カリッと軽く乳首を甘噛みされたかと思うと、今度はぢゅるぢゅると大きな音を立ててきつく吸い上げられる。

「あふっ……! ンンンッ……!」

 もう片方の乳房も激しく揉みしだかれ、レナは身体の奥から込み上げてくる快感に腰をくねらせて身悶えた。

「いつもより感度が良いね。外で興奮してるの?」

 レナって変態だったんだね。と、右胸をねぶっていたアルベールがレナ顔を上げてニヤリと笑う。

「なっ……? ち、ちがいっ……ま、ッ! ひぐぅッ?」

 レナが彼の言葉を否定すると、お仕置きと言わんばかりに両胸の乳首を同時に強くつねられた。

 --痛い。でも、気持ちが良い。

 自分は今、屋外で上半身裸になって胸を玩ばれ、はしたない声をあげている。
 その事実が恥ずかしいのに、どうしようもなく気持ちが良いのだ。
 
 相反する二つの感情に苛まれ、レナはポロポロと目から大粒の涙を溢した。

「ふーん。泣くほど気持ち良いんだ?」

 アルベールが彼女の頬に伝った涙を舌で舐めとり、そのまま口の端、首筋、肩へとキスを降らせてゆく。

「じゃぁ、もう良いよね?」
「ぁっ……、や」

 アルベールの手が膝立ちになったレナのスカートの中に進入した。可愛らしいレースの付いた彼女の白い下着に手がかけられ、一気に引き下ろされる。
 膝まで下ろされた彼女の下着のクロッチからは透明な糸が引いており、それはまるで誘い込むようにスカートの奥のの秘部まで繋がっていた。

「……んぅッ……!」

 つぷ、とアルベールの長い指が一本、レナの膣内に挿入される。既にしとどに濡れていたそこは、何の抵抗もなく彼の指を受け入れ、とろりとした蜜を溢れ出させた。

 ゆるゆると中を掻き回される刺激に、レナは無意識に自ら腰を揺らし始める。

「ぁ、ん……! あッ……ふぅッ……アッ!」

 レナの中で彼の指が動かされる度に、くぷっ! くぷっ! と卑猥な水音が辺りに響いた。
 彼女の腰が揺れると、たぱたぱと愛液が溢れて飛び散り、太股を伝って下に流れてゆく。

「あッ、はぁッ……! んっ、ンウウウッ……!」
「ああ、良い感じ……。すごく美味しそうになった」

 アルベールは指を三本に増やし、レナの中でぐいっと曲げた。
 彼女の敏感になった下腹部の筋肉が、きゅぅんと伸縮する。

「あっ、アルベール、様ぁッ! いっ、イキますッ! わっ、わた、しっ……、もうっ……イっちゃい、そうっ、ですぅッ……!」
「そう、ちゃんとイク時は報告しなきゃね。教えた通りに出来てレナはえらいねぇ」
「はッ、はひッ……! ぁっ、ありがと、うっ……ござい、ま、すッ……!」

 レナが返事をすると、アルベールは彼女のぷっくりと膨らんだクリトリスを親指で強く押し潰した。これまでより更に強い刺激に、レナは頭が真っ白になる。

「あぐうッ! いっ、イキますぅう! アルベールさまぁッ! イク、イクぅうッ!」

 その瞬間、アルベールは白い牙をレナの首元に突き立てた。

「あっ、くッ、ふああああああッ!」

 レナは脳天から突き抜けるような甲高い声をあげて戦慄わなないた。首を噛まれた痛みと快感が、電流のように彼女の身体を駆け巡る。
 絶頂に達したレナの華奢な体がびくんびくんと跳ねるのと同時に、アルベールは恍惚とした表情を浮かべてゴクリと喉を鳴らした。
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