籠の鳥

橘 薫

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 あの男は、わたしの両腿を持ってさらに開かせた。そして、内腿を手の甲でゆったりと撫でさすりながら、耳元で「欲しいか」と聞いたのだ。
 頷くわたしの意向は汲まれず、アイマスクの奥であの男が離れた気配を感じる。さっきは氷で愛された。次は何が来るのか。信頼があるからこそ、快楽を期待する。

 小さな蕾に一瞬だけ当てられた。モーター音と振動にびくん、と体が跳ねる。
「使ったこと、なかった?」と問われ、首がもげるのではというくらい左右に激しく首を振って、全身で否定した。
 快楽のための道具など、使ったことはないし使いたいと思ったこともなかった。でも、与えられる指の代わりに、舌の代わりに。あの男は柔く押し当ててはわたしの反応を楽しむ。

「これ、ですか」
「スイッチ入れて」
 ヴーンという微かなモーター音。もしかしたら、一真くんもソレを見るのは初めてか。頭の中であの男の声がリプレイされる。
「当ててほしいならねだらないと」

 ねだる、なんて淫らなことをしないといけないのか。そう考えるだけで中心が疼き、滴る。羞恥と躊躇い。軽く唇を噛む。頰が熱い。せめて腕が動けば、自分の快楽のために動かすことができるのに。

 一真くんが押し当てた瞬間、体が跳ねて悲鳴が漏れる。その反応に一真くんが怯えている。ダメ、ダメ、ドミナントは堂々としていて。これは痛みでの叫びではなくて、快楽に身を委ねる叫び。

 一真くんにまた当てるように命令する。これじゃあどっちがドミナントがわかりゃしない。所詮はただの興味本位で、あの男の本気度を知ろうなんてきっと、僅かにでも考えなんかいないのだろう。

 びくん。体が跳ねる。継続する刺激は馴れになる、とついさっき言わなかっただろうか。それをもう忘れているのか、恐る恐るという手つきで当ててくるその当て方や強さは、満足のいくものではなかった。
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