籠の鳥

橘 薫

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聖夜

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 たっぷりの唾液で湿らされたわたしの指をそっと口から引き抜き、触れるか触れないかくらいの優しい触れ方で彼の乳首を弄る。最初は柔く、優しく。時々強く、しつこく。
 一真くんが口を引き結ぶ。その様子を確認して、首筋に吸い付くと「…っ、ぁ」と、声を漏らした。

「お行儀悪い」
 彼の唾液で湿った指を、彼の唇の前にすっと立て、軽く圧を加える。
「声、我慢して。できる?」
 こくり、と頷く一真くんに、わたしは満足した。ご主人様の言うことをちゃんと聞ける。良いペットだわ……彼は。

「わたしが何をしても、絶対声を出さないで」
 お願いではなく、命令口調だということに一真くんは気づいただろうか。
 口を真横一文字に結び、少し下唇に力を入れて言う様子が可愛い。耐えられるかな? 耐えられたらお利口さん……ご褒美、あげないとね。

 唾液を手に吐き出す。両手を合わせて温め、一真くんの敏感で雄々しいソレを、包む。
 跳ねる腰。本能的に逃げようとするけれども根本からしっかりと包み込んでいるから逃げられるわけがない。それ以前に、この快楽から逃げようなんてどうかしている。

 左手で包み込んだソレを、ゆっくりと上下に動かす。一真くんの表情を観察する。声を出さないためだろうか。上の前歯で下唇を必死に噛んでいる。喉仏が引き攣るように動く。
 わたしは右手で彼の口を覆った。口が開かないように、声を出さないように。そして頭をゆっくりと彼の胸に近づけ、淡い色の、固くなっている先端に優しく息を吹きかけた。

 舌を出し、ちろりと舐める。堪えている様子。アイマスクの下で、ぎゅっと目を閉じているのがわかる。ちろちろと焦らすように嬲っていたのを、ガッツリと咥え込み軽く歯を立てる。
「あ…っ、あ、あっ」
 思わず上がる声に、即座に身を離す。もちろん、局部からも。

「声出さないで、って言ったでしょ?」
「ご、ごめんなさい」
「言うこと聞けない子には、お預けよ」
「お預け……ですか」
「そ」
 わたしはベッドから降りると、鏡台の椅子を座った。
「一真くんのいやらしい姿、観察して説明してあげるね」
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