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性癖
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こちらがお金を支払っているのに、この状況はやはりわたしの損にしかならない。わたしは思い立って、一真くんに聞いた。
「ねぇ、わたしの性癖についてお店から聞いてる?」
「あ、はい……一応は」
「じゃあ、わたしが何を求めているかわかるよね」
戸惑う視線。わたしの顔色を伺い、何を求めているのかそのヒントを探そうとしている……媚を含んだ、瞳。
「拘束していいかしら」
「はい、どうぞ」
「一から教えるなんてわたしの性に合わないのよ。新人なのに悪いけど、時間も限られてるから」
「はい、すみません」
「あなたは謝る必要ないわ。人選ミスはお店のミスだから」
手枷を取り出し、彼の両手を縛める。下げられないようにベッドの枠にその枷を繋ぐ。
「あなたみたいに慣れてない男が好みの人も居ると思う。今回わたしに当たったのは不運だっただけ」
「はい……」
何をされるのか、不安の色が濃くなる瞳を認めて、わたしは慰める。
「痛いことは何もしないわ。ただ、焦らすだけ」
「焦らす……?」
「男は基本、攻めでしょ? 攻められなくて受け身になるしかなくて、なおかつ快楽を自分でコントロールできない男性を見るのが好きなのよ」
「は、はぁ」
「焦らされたこと、ある?」
「いえ……」
触れるか触れないかの力加減の指先で、すっと首筋から胸にかけて触れる。感じて、というよりも触れられたことに驚いて、彼がぴくりと体を動かす。
「視覚、触覚による刺激。たまに嗅覚も使うし、聴覚も」
耳元でねっとりと囁き、ついでに外耳をゆっくりと舐る。一真くんの体は、さっきから硬直している。
「気持ちよがっていいから。遠慮しないで」
「で、でも」
「これがわたしが求めていることなのよ。イキたくてもイケない。攻めたいのに攻められない。自分ではどうにもならない欲の発散に、耐えるしかない姿がね、大好物なの」
「美彩、さん」
ふふ、と思わず笑みが溢れる。きつく寄せられた眉根。潤んだ瞳に、ほんの少し開かれた口。舌先がちろりと覗く。
ただ両手を拘束されているだけなのに、すでに彼の体は火照り、中心が固く屹立し始めている。
「快楽しかない世界にようこそ」
「ねぇ、わたしの性癖についてお店から聞いてる?」
「あ、はい……一応は」
「じゃあ、わたしが何を求めているかわかるよね」
戸惑う視線。わたしの顔色を伺い、何を求めているのかそのヒントを探そうとしている……媚を含んだ、瞳。
「拘束していいかしら」
「はい、どうぞ」
「一から教えるなんてわたしの性に合わないのよ。新人なのに悪いけど、時間も限られてるから」
「はい、すみません」
「あなたは謝る必要ないわ。人選ミスはお店のミスだから」
手枷を取り出し、彼の両手を縛める。下げられないようにベッドの枠にその枷を繋ぐ。
「あなたみたいに慣れてない男が好みの人も居ると思う。今回わたしに当たったのは不運だっただけ」
「はい……」
何をされるのか、不安の色が濃くなる瞳を認めて、わたしは慰める。
「痛いことは何もしないわ。ただ、焦らすだけ」
「焦らす……?」
「男は基本、攻めでしょ? 攻められなくて受け身になるしかなくて、なおかつ快楽を自分でコントロールできない男性を見るのが好きなのよ」
「は、はぁ」
「焦らされたこと、ある?」
「いえ……」
触れるか触れないかの力加減の指先で、すっと首筋から胸にかけて触れる。感じて、というよりも触れられたことに驚いて、彼がぴくりと体を動かす。
「視覚、触覚による刺激。たまに嗅覚も使うし、聴覚も」
耳元でねっとりと囁き、ついでに外耳をゆっくりと舐る。一真くんの体は、さっきから硬直している。
「気持ちよがっていいから。遠慮しないで」
「で、でも」
「これがわたしが求めていることなのよ。イキたくてもイケない。攻めたいのに攻められない。自分ではどうにもならない欲の発散に、耐えるしかない姿がね、大好物なの」
「美彩、さん」
ふふ、と思わず笑みが溢れる。きつく寄せられた眉根。潤んだ瞳に、ほんの少し開かれた口。舌先がちろりと覗く。
ただ両手を拘束されているだけなのに、すでに彼の体は火照り、中心が固く屹立し始めている。
「快楽しかない世界にようこそ」
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