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♠︎未来へ❤︎
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ー真柴みひろー
宇丈さんは、「信じられない」というように私を見たけれども、すぐに相好を崩し、くしゃくしゃの笑顔になって…私の手を取った。
「大変じゃなかった?慰謝料とか請求されてない?」
「はい、大丈夫です。お互いにそういうことはしないと約束しましたので」
「そっか…」
「真柴は本当にいい人でした。愛せなかったのが申し訳ないくらいです」
「みひろ…」
「それは、真柴も言っていました。みひろを愛せなかったのは申し訳ない、って」
宇丈さんは少し複雑そうな顔をした。その彼に、ことの経緯をかいつまんで話した。
真柴に学生時代から付き合っていた女性がいたこと。
二人の間には子どもがいること。
私に隠れ、出張と偽っては彼らと会っていたこと。
二人目が生まれるにあたり、きちんとする必要性を感じて義母に話し、会わせたこと。
最初は気が進まなかったらしい義母も、孫の可愛さにほだされたらしい…それはそうだ。あんなにも孫を、と望まれていたのだから…。
「私とスムースに離婚させるために、興信所に調査を依頼したらしいです。それで、三浦の別荘での宇丈さんとの写真を撮られたのですが真柴が、お互い様だととりなしてくれました」
「そっか…」
「すぐに離婚届を出して、実家に戻りました。バタバタして、なかなかきちんとお話しする時間が取れなくて…直接のご報告が遅くなって、本当にごめんなさい」
みひろの手が、遠慮がちにオレの手を握り返した。
「両親に事情を話しましたら、父は激昂しましたけど…弟が味方になってくれて」
「うん」
「姉貴を白石の長女として正当に扱ってくれるなら会社を継ぐ、って」
「え…マジで?」
「はい。それで弟とも話して、二人で白石を継ぐことにしました。本当は就職活動をしようと思ったんです。でもこのご時世に、一年くらいしかキャリアがない私では就職は厳しいからと母と弟に説得されて」
「じゃあ、親父さんの会社で働くの?」
「はい」
「みひろ」
宇丈さんの声が不安げになる。
「…オレとの結婚は?」
宇丈さんは、「信じられない」というように私を見たけれども、すぐに相好を崩し、くしゃくしゃの笑顔になって…私の手を取った。
「大変じゃなかった?慰謝料とか請求されてない?」
「はい、大丈夫です。お互いにそういうことはしないと約束しましたので」
「そっか…」
「真柴は本当にいい人でした。愛せなかったのが申し訳ないくらいです」
「みひろ…」
「それは、真柴も言っていました。みひろを愛せなかったのは申し訳ない、って」
宇丈さんは少し複雑そうな顔をした。その彼に、ことの経緯をかいつまんで話した。
真柴に学生時代から付き合っていた女性がいたこと。
二人の間には子どもがいること。
私に隠れ、出張と偽っては彼らと会っていたこと。
二人目が生まれるにあたり、きちんとする必要性を感じて義母に話し、会わせたこと。
最初は気が進まなかったらしい義母も、孫の可愛さにほだされたらしい…それはそうだ。あんなにも孫を、と望まれていたのだから…。
「私とスムースに離婚させるために、興信所に調査を依頼したらしいです。それで、三浦の別荘での宇丈さんとの写真を撮られたのですが真柴が、お互い様だととりなしてくれました」
「そっか…」
「すぐに離婚届を出して、実家に戻りました。バタバタして、なかなかきちんとお話しする時間が取れなくて…直接のご報告が遅くなって、本当にごめんなさい」
みひろの手が、遠慮がちにオレの手を握り返した。
「両親に事情を話しましたら、父は激昂しましたけど…弟が味方になってくれて」
「うん」
「姉貴を白石の長女として正当に扱ってくれるなら会社を継ぐ、って」
「え…マジで?」
「はい。それで弟とも話して、二人で白石を継ぐことにしました。本当は就職活動をしようと思ったんです。でもこのご時世に、一年くらいしかキャリアがない私では就職は厳しいからと母と弟に説得されて」
「じゃあ、親父さんの会社で働くの?」
「はい」
「みひろ」
宇丈さんの声が不安げになる。
「…オレとの結婚は?」
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