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♠︎未来へ❤︎
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ー弘田宇丈ー
あの日から二週間。いつものホテルのロビーで待ち合わせだった。
みひろは翌日に「すべて片付きました」と電話をくれた。
どういうことか、と食い下がるオレに「いつ会えますか?」と聞いて来た。
オレの予定と彼女の予定をすり合わせ、いつも待ち合わせしていたホテルで会うことになった。
電話である程度の事情は聞いたし、何よりも…あれほど慎重に連絡を取っていたみひろが普通に電話して来た、ということが…本当に、「すべてが片付いた」という証拠なのだろう、と思ってはいたが、実際に会えるまでのこの二週間は、長かった。
「宇丈さん!」
今日は遅刻しないで、約束の時間通りに来た彼女は、今までのように部屋番号をオレにだけ聞こえる声で囁いたりしない…。
笑顔で、手を振りながらこちらに小走りでやってくる。
「お待たせしてしまってごめんなさい」
「いや、大丈夫」
今までのように、人目を気にしないでいい…それが落ち着かないが嬉しかったし、何よりもみひろの笑顔が眩しかった。
「そこのティールームでお話ししませんか?」
そう言われて場所を移動し、飲み物を注文した。注文が終わると、もうオレは…自制がきかなかった。
「で、どういうことになったんだ?」
「主人とは離婚しました。今は、白石みひろです」
「合意?修羅場とかにならなかった?」
「はい、お互いにそのタイミングだったので、スムースでした」
「向こうのお義母さんからの話って、それだったの?」
「はい、それも含めての話でした」
紅茶を運んできたウェイトレスに「ありがとうございます」と言うと、みひろはティーカップを口に運んだ。
「良かった…」
「ご心配お掛けしましたが、これからは堂々と会えます」
「もう人目を気にしなくていいんだな?」
「はい」
みひろはにっこりと微笑んでいった。
「私、もう自由です…すべてのことから、自由になれました」
あの日から二週間。いつものホテルのロビーで待ち合わせだった。
みひろは翌日に「すべて片付きました」と電話をくれた。
どういうことか、と食い下がるオレに「いつ会えますか?」と聞いて来た。
オレの予定と彼女の予定をすり合わせ、いつも待ち合わせしていたホテルで会うことになった。
電話である程度の事情は聞いたし、何よりも…あれほど慎重に連絡を取っていたみひろが普通に電話して来た、ということが…本当に、「すべてが片付いた」という証拠なのだろう、と思ってはいたが、実際に会えるまでのこの二週間は、長かった。
「宇丈さん!」
今日は遅刻しないで、約束の時間通りに来た彼女は、今までのように部屋番号をオレにだけ聞こえる声で囁いたりしない…。
笑顔で、手を振りながらこちらに小走りでやってくる。
「お待たせしてしまってごめんなさい」
「いや、大丈夫」
今までのように、人目を気にしないでいい…それが落ち着かないが嬉しかったし、何よりもみひろの笑顔が眩しかった。
「そこのティールームでお話ししませんか?」
そう言われて場所を移動し、飲み物を注文した。注文が終わると、もうオレは…自制がきかなかった。
「で、どういうことになったんだ?」
「主人とは離婚しました。今は、白石みひろです」
「合意?修羅場とかにならなかった?」
「はい、お互いにそのタイミングだったので、スムースでした」
「向こうのお義母さんからの話って、それだったの?」
「はい、それも含めての話でした」
紅茶を運んできたウェイトレスに「ありがとうございます」と言うと、みひろはティーカップを口に運んだ。
「良かった…」
「ご心配お掛けしましたが、これからは堂々と会えます」
「もう人目を気にしなくていいんだな?」
「はい」
みひろはにっこりと微笑んでいった。
「私、もう自由です…すべてのことから、自由になれました」
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