146 / 171
♠︎一つになる♠︎弘田宇丈
3
しおりを挟む
「宇丈さん…?」
電話を終えて部屋に戻ると、ちょうどみひろさんが目を覚ましたところだった。
「おはよう」
「…おはようございます」
照れて下を向く彼女が可愛くて、また胸の疼きを感じながら顎をそっと上に向かせて、優しくキスをした。
「ん…」
反応がいい。今までと全然違う。いや、今までも反応は良かったが…今までと全く違うんだ。
「疲れてない?」
「大丈夫です」
「もう少し寝てなよ。なんか飲む物持ってきてやるから」
「いえ…大丈夫です」
起き上がり、二、三歩歩くとぐにゃり、と体が沈んだ。
「みひろさん!」
慌てて駆け寄り、脇と腰に手を添えて立ち上がらせた。
「…力、抜けちゃって…」
「捕まっていいよ」
お互いに…何も身につけていない素っ裸だ。オレはいいけど、みひろさんは恥ずかしがる…。
「とりあえず、なんか着よう」
荷物の中からパーカーを取り出して渡した。
「はは、やっぱブカブカだな」
男のオレでもゆったりめのパーカーは、みひろさんにはかなり大きかった。
余った袖をまくり、その袖から華奢な腕が覗く。裾は完全にヒップラインを隠してて…セクシーな太腿が覗いている。散々彼女を抱いたのに、また中心からの昂りを感じる。
オレはスエットの下だけ履いて、みひろさんを支えながら階段をゆっくりと降りた。
「座ってて」
昨晩、最初に愛し合った場所に座らせた。
「コーヒーでいい?」
「はい、ありがとうございます」
湯を沸かし、フィルターをセットしたドリッパーをサーバーに乗せて粉を二人分。
コーヒーポットに熱湯を移してそっと、少しずつ湯を注ぐ…すぐにいい香りが辺りに漂う。
「はい」
「ありがとうございます」
「あ、砂糖やミルク、なくて平気?」
「はい、大丈夫です。いつもブラックなので」
「そうなんだ」
そういやアオが淹れてくれたときもブラックだったな。
「宇丈さん」
「ん?」
「あの…ありがとうございました」
マグカップを両手で持ってオレを見るみひろさんは。
もう…オレが見つめても目を逸らすことなく、真っ正面からオレを見据えてくる。その瞳の煌めき、凛々しさに…思わず見蕩れてしまった。
「いや…良かったよ、なんか、こう…うまくいって…安心した」
「はい」
「体とか、大丈夫?辛いとか痛いとかない?」
「はい、大丈夫です」
みひろさんはコーヒーをローテーブルに置くと、オレの頰を両手で包んだ。
コーヒーカップの温もりがその手に移っていて…指先まで温かかった。
「宇丈さん…ありがとう」
思わずコーヒーカップを置いて、みひろさんを抱きしめた。近づく唇…触れる寸前に、目を閉じた。
微かに香るコーヒー。細くて柔らかな体。腕の中のみひろさんは、今までと同じで同じじゃない。
まるで脱皮したかのように…蛹が蝶になるように。縛り付けられていたものから自由になり、空に羽ばたく…美しい蝶。
ふと、オレを忘れて飛び立ってしまうのではないか…そんな不安に襲われて、両腕に力を込めた。
「苦しいです…」
「あ、ごめ…」
慌てて手を緩めると、オレとしっかりと目を合わせて、微笑んで言った。
「宇丈さん…愛してます」
それがスイッチになった。
優しく柔らかくみひろさんを押し倒すと、アオがセラピーで使った昨夜のアロマの残り香ががふわり、と香った。
電話を終えて部屋に戻ると、ちょうどみひろさんが目を覚ましたところだった。
「おはよう」
「…おはようございます」
照れて下を向く彼女が可愛くて、また胸の疼きを感じながら顎をそっと上に向かせて、優しくキスをした。
「ん…」
反応がいい。今までと全然違う。いや、今までも反応は良かったが…今までと全く違うんだ。
「疲れてない?」
「大丈夫です」
「もう少し寝てなよ。なんか飲む物持ってきてやるから」
「いえ…大丈夫です」
起き上がり、二、三歩歩くとぐにゃり、と体が沈んだ。
「みひろさん!」
慌てて駆け寄り、脇と腰に手を添えて立ち上がらせた。
「…力、抜けちゃって…」
「捕まっていいよ」
お互いに…何も身につけていない素っ裸だ。オレはいいけど、みひろさんは恥ずかしがる…。
「とりあえず、なんか着よう」
荷物の中からパーカーを取り出して渡した。
「はは、やっぱブカブカだな」
男のオレでもゆったりめのパーカーは、みひろさんにはかなり大きかった。
余った袖をまくり、その袖から華奢な腕が覗く。裾は完全にヒップラインを隠してて…セクシーな太腿が覗いている。散々彼女を抱いたのに、また中心からの昂りを感じる。
オレはスエットの下だけ履いて、みひろさんを支えながら階段をゆっくりと降りた。
「座ってて」
昨晩、最初に愛し合った場所に座らせた。
「コーヒーでいい?」
「はい、ありがとうございます」
湯を沸かし、フィルターをセットしたドリッパーをサーバーに乗せて粉を二人分。
コーヒーポットに熱湯を移してそっと、少しずつ湯を注ぐ…すぐにいい香りが辺りに漂う。
「はい」
「ありがとうございます」
「あ、砂糖やミルク、なくて平気?」
「はい、大丈夫です。いつもブラックなので」
「そうなんだ」
そういやアオが淹れてくれたときもブラックだったな。
「宇丈さん」
「ん?」
「あの…ありがとうございました」
マグカップを両手で持ってオレを見るみひろさんは。
もう…オレが見つめても目を逸らすことなく、真っ正面からオレを見据えてくる。その瞳の煌めき、凛々しさに…思わず見蕩れてしまった。
「いや…良かったよ、なんか、こう…うまくいって…安心した」
「はい」
「体とか、大丈夫?辛いとか痛いとかない?」
「はい、大丈夫です」
みひろさんはコーヒーをローテーブルに置くと、オレの頰を両手で包んだ。
コーヒーカップの温もりがその手に移っていて…指先まで温かかった。
「宇丈さん…ありがとう」
思わずコーヒーカップを置いて、みひろさんを抱きしめた。近づく唇…触れる寸前に、目を閉じた。
微かに香るコーヒー。細くて柔らかな体。腕の中のみひろさんは、今までと同じで同じじゃない。
まるで脱皮したかのように…蛹が蝶になるように。縛り付けられていたものから自由になり、空に羽ばたく…美しい蝶。
ふと、オレを忘れて飛び立ってしまうのではないか…そんな不安に襲われて、両腕に力を込めた。
「苦しいです…」
「あ、ごめ…」
慌てて手を緩めると、オレとしっかりと目を合わせて、微笑んで言った。
「宇丈さん…愛してます」
それがスイッチになった。
優しく柔らかくみひろさんを押し倒すと、アオがセラピーで使った昨夜のアロマの残り香ががふわり、と香った。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる