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♠︎理解♠︎弘田宇丈
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「で、真柴さんのお祖母さんなんですけどね」
「はい」
「オレの、個人的な思いですけど。お祖母さん、本当は真柴さんのことをすごく愛してたんじゃないかと思うんです」
「…そうでしょうか…」
「初孫、ですよね?」
「はい」
「お祖母さんにしてみたら初孫で、かつ女の子ってことは白石家を継ぐ人間になるわけですから、大切な存在だったと思います。でも実は白石の血を継いでいなかった…ってのは、かなりショックだったんじゃないかな、って」
「それって…母がすべての元凶、と言いたいんですか?」
「そうじゃないです。誰が悪いとか、誰に責任を、って話じゃないんですよ」
アオ…何を言いたいんだ?
「誰がどんな感情を感じたか…その事実を並べているだけなんです。世の中は善悪だけじゃなくて、グレーゾーンがたくさんあるし、見る位置を変えることで全く違うふうに見えることはよくある事なんです。一つの視点から見たら「悪い」と思えることも、他の視点から見たら「良い」と思えることもある」
「はい」
「だから、お祖母さんの気持ち、ご両親の気持ち、もちろん真柴さんの気持ち…それぞれがそこにあっていい。ただ、誤解していることもあるだろうし、先入観で判断していることもあるかもしれない」
「はい」
「出来ればその誤解を解きたいですね。お祖母さんは亡くなってるから本音を聞けないけど…ご両親とは、本音をぶつけ合う努力をすることが出来ると思います」
「はい…」
「それぞれの気持ちをただ話して、ああ、こういう風に思うんだな、こういう風に感じるんだなって…。それだけでいいんですよ」
「それだけで…?」
「うん。大事なのはその人がどう感じたか、なので」
アオ…カウンセラーの顔になってる。みひろさんは、何か理解したのか…すごくスッキリとした表情をしていた。
「はい」
「オレの、個人的な思いですけど。お祖母さん、本当は真柴さんのことをすごく愛してたんじゃないかと思うんです」
「…そうでしょうか…」
「初孫、ですよね?」
「はい」
「お祖母さんにしてみたら初孫で、かつ女の子ってことは白石家を継ぐ人間になるわけですから、大切な存在だったと思います。でも実は白石の血を継いでいなかった…ってのは、かなりショックだったんじゃないかな、って」
「それって…母がすべての元凶、と言いたいんですか?」
「そうじゃないです。誰が悪いとか、誰に責任を、って話じゃないんですよ」
アオ…何を言いたいんだ?
「誰がどんな感情を感じたか…その事実を並べているだけなんです。世の中は善悪だけじゃなくて、グレーゾーンがたくさんあるし、見る位置を変えることで全く違うふうに見えることはよくある事なんです。一つの視点から見たら「悪い」と思えることも、他の視点から見たら「良い」と思えることもある」
「はい」
「だから、お祖母さんの気持ち、ご両親の気持ち、もちろん真柴さんの気持ち…それぞれがそこにあっていい。ただ、誤解していることもあるだろうし、先入観で判断していることもあるかもしれない」
「はい」
「出来ればその誤解を解きたいですね。お祖母さんは亡くなってるから本音を聞けないけど…ご両親とは、本音をぶつけ合う努力をすることが出来ると思います」
「はい…」
「それぞれの気持ちをただ話して、ああ、こういう風に思うんだな、こういう風に感じるんだなって…。それだけでいいんですよ」
「それだけで…?」
「うん。大事なのはその人がどう感じたか、なので」
アオ…カウンセラーの顔になってる。みひろさんは、何か理解したのか…すごくスッキリとした表情をしていた。
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