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❤︎本当の私❤︎真柴みひろ

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「受け入れて、ない…?」
「そういう自覚はありますか?」
「…分かりません…分からないです…」
 言われたことに混乱した。白石を受け入れてないって…どういうこと?、

「まぁ、今は結婚して姓が変わられてますが、ご自身のアイデンティティは「白石みひろ」として培われてるんです」
「はい…」
「それがなくなって、ご自身はどう思われましたか?」
 思い出す…あの頃の葛藤。私は…自分、という存在を見失っていた。

「…私は誰なんだろう?この家に私の居場所はないんじゃないだろうか?…そう思っていました」
「他には?」
「今まで自分の家、自分の家族だと信じてきたものが突然なくなって…安定した足元が急にぐらついたような…足元が掬われるような感覚でした」

 あの頃の私は、情緒不安定だった。でもどうすることも出来ず…あれ以来、祖母の顔色を伺うのが、更に多くなった。
 祖母に逆らえない日々。その逆に、「祖母のいうことを聞いていれば、この家に置いてもらえる」とも…思っていた。

「みひろさんがお父さんの子じゃないって言うならさ、本当のお父さんは誰なのか…知ってる?」
「はい…」
祖母が漏らしたその秘密に、私は愕然としたけれど。すぐに…母に詰め寄って聞いたのだ…。

「母が、父と付き合う前に付き合っていた方だと言っていました」
 結婚を告げた時に、最後にもう一度会いたい、と言われ…母は情に流されたのだ。その前後に父とも…あったから、確信が持てないまま私はお腹の中で成長し、生まれた。

私が白石の血を引いていないかもしれない、と疑った祖母は、母の内緒で私にDNA検査を受けさせ…確信を取ったのだ。

 両親は既にそのことについて話し合っていた。
 私が生まれてすぐに、母は父に告解した。父は母の不義を赦し、私を白石の娘として育てると約束した、と聞いている。

 でも、それを蒸し返された。二人の間で解決したはずの問題は、実は全く解決されていなかったのだ…血は、良くも悪くも裏切らない。

「お祖母さんは」
 青島さんがコーヒーカップを置きながら…言う。
「真柴さんが白石の血を引いていないことに落胆したが、息子さんは真柴さんを手放す気も、奥様と離婚する気もないことを知った」
「…はい」
「だから…厳しくされたんですね、きっと」
「はい…白石の名を継がないにしても、白石の家長の長女であることは対外的に変わりませんので…」
「うん…なるほど。お祖母さんにも相当葛藤があったかもしれませんね」
「…そうですね」

「もう一度言いますが、全ての発端はここなんです」
「はい」
「ということは、真柴さんが」
「はい」
「血筋はどうあれ、「白石みひろ」を取り戻す必要があります」
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