Love affair〜ラブ アフェア〜

橘 薫

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♠︎三浦の別荘へ♠︎弘田宇丈

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 緊張したからかあまりよく眠れないまま、早朝に目が覚めた。
 とりあえず家の周りを軽くジョギングし、シャワーしてから出かける準備をした。

 ゆっくりと車を走らせながら、梅雨入りした街並を見る。
 うっすら曇った空からは、時々ぽつり、と雨が落ちたが本降りにはならない。これから…月曜日まで、どんなことになるのか…想像もつかないな。

 みひろさんには、まだアオと彩花ちゃんの提案に対して了承をもらっていなかった。
 オレの方は…アオと話し、その方法を取る必然性を説明してもらったら心が決まった。

 とりあえず、アオが来るまでの間に話して、了承を貰おう。
 よくよく考えたら…アオがいるけど、こんなにゆっくりみひろさんと過ごせるのは初めてだ。そう思うと、思春期のように胸が高鳴るものを感じた。

 第三京浜から横浜横須賀道路に入り、佐原ICで降りて一般道を進む。道は空いていて、スムースに進めた。
 ナビで確認しながら道を進み、15分くらいでみひろさんちの別荘に着いた。

 多分ここ、だよな…?木立で区切られた場所。広い庭に、ぽつん、ぽつんと大きな木が点在している。
 奥にある家は、古い洋館のようなスタイル。海に張り出したバルコニーには、リゾート地にあるような椅子とテーブルが置いてあり、そこだけ古い洋館と合っていなくて不調和を感じた。

 時間を確認すると、十時をちょっと過ぎたくらいだった。
 朝からいる、ってことは今、もう…ここにいる、ってことだよな?
 スマホを取り出し、手紙に書いてあった別荘の電話番号に掛ける。2コールくらいで、みひろさんが出た。

「はい、白石でございます」
 白石…?あ、みひろさんの、旧姓か…。

「オレです、宇丈です。今、着きました」
 電話で話すのが久しぶりすぎて…思わず丁寧語になっちまう。
「車、ポプラの大きな木が庭にあるので、その下に停めてください」
「ポプラ?」
「どこに停めていますか?」

 一般道の脇に寄せて停めている、というと、みひろさんは外に出るから待っててくれ、と言った。
 電話を切り、彼女が出てくるのを待つ…。ほどなく洋館のドアが開いて、みひろさんが出てきた。

 いつも会うときの彼女とは違う、カジュアル目の服装が新鮮だった。オレと会うときはスカートかワンピースのどちらかだけど今日はデニムにVネックのカットソーが、体のラインを綺麗に引き立てている。

「宇丈さん」
 ウィンドウを下げた。
「あそこの木の下に停めてください。他からは見えにくいので」
 そう言うと車内を見回し、不思議そうに聞いてきた。
「青島さんは?」
「後で話す。ちょっと停めてくるから」
「はい」

 みひろさんが車から離れたのを確認して、ポプラの木の下に車を停める。すげぇデカい木だな…樹齢何年くらいなんだろう…?

車を降りて、荷物を出す。
「こちらです」
 重厚そうなドアを開き、中に招き入れられる。
 ここで…月曜日まで、アオとオレと、みひろさんで…カウンセリングだ。
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