18 / 171
♠︎出会い♠︎弘田宇丈
2
しおりを挟む
みひろさんと出会ったのは、ある議員のパーティでだった。
回り回ってオレのところにきたパーティ券。大して興味はなかったが、人脈ができればいいかな、というのと、議員の人間関係にちょっと興味があった。
著名な議員を応援する会、と銘打たれたそのパーティは、規模はデカいが中身がなかった。
集まっている議員たちを観察すると、見えすいた世辞の応酬、嫌味の連発。にっこりと挨拶したその顔が、振り向きざまに嫌悪の表情になる。
議員同士で固まって話をしてて、オレのように会社の義理や、個人でわざわざ来てるような連中には目もくれねぇ…なんなんだ、この人種は。
日本の政治家ってこんなにレベルが低いのか…と少々呆れ、帰ろうかと思ったときに、旦那さんの後ろにそっと従うようについていた女性と目が合った…それが、みひろさんだった。
清楚で従順。目立たない服装と化粧…夫を引き立てるための個性がないタイプ。そう思ったのに、何故か目を奪われる。
みひろさんもオレを見て、旦那さんに何か耳打ちし…旦那さんと一緒にこっちに向かってきた。
「どちらの先生の関係の方ですか?」
「あ、いえ、僕は広告会社のもので」
「そうでしたか。どちらの?」
大手広告会社のマーケティングで働いていたから、この時ばかりは会社の名前が箔になった。
「ああ、あの大手の。よろしかったら名刺交換して頂けますか?」
彼は、みひろさんから名刺を受け取ると、オレに渡した。
「広告関係の戦略についてもご意見伺えればと思っていますので、そのときにはよろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ。光栄です」
そんなことは社交辞令だろうと思ったが、さすがにオレもこの業界が長い。笑顔で名刺を受け取り、握手をした。
みひろさんはオレをちらりと見ると、微笑んで会釈し、旦那さんの後ろについていった。
それっきりだと思った。まさか…みひろさんから電話がくるなんて、思ってもいなかった…。
回り回ってオレのところにきたパーティ券。大して興味はなかったが、人脈ができればいいかな、というのと、議員の人間関係にちょっと興味があった。
著名な議員を応援する会、と銘打たれたそのパーティは、規模はデカいが中身がなかった。
集まっている議員たちを観察すると、見えすいた世辞の応酬、嫌味の連発。にっこりと挨拶したその顔が、振り向きざまに嫌悪の表情になる。
議員同士で固まって話をしてて、オレのように会社の義理や、個人でわざわざ来てるような連中には目もくれねぇ…なんなんだ、この人種は。
日本の政治家ってこんなにレベルが低いのか…と少々呆れ、帰ろうかと思ったときに、旦那さんの後ろにそっと従うようについていた女性と目が合った…それが、みひろさんだった。
清楚で従順。目立たない服装と化粧…夫を引き立てるための個性がないタイプ。そう思ったのに、何故か目を奪われる。
みひろさんもオレを見て、旦那さんに何か耳打ちし…旦那さんと一緒にこっちに向かってきた。
「どちらの先生の関係の方ですか?」
「あ、いえ、僕は広告会社のもので」
「そうでしたか。どちらの?」
大手広告会社のマーケティングで働いていたから、この時ばかりは会社の名前が箔になった。
「ああ、あの大手の。よろしかったら名刺交換して頂けますか?」
彼は、みひろさんから名刺を受け取ると、オレに渡した。
「広告関係の戦略についてもご意見伺えればと思っていますので、そのときにはよろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ。光栄です」
そんなことは社交辞令だろうと思ったが、さすがにオレもこの業界が長い。笑顔で名刺を受け取り、握手をした。
みひろさんはオレをちらりと見ると、微笑んで会釈し、旦那さんの後ろについていった。
それっきりだと思った。まさか…みひろさんから電話がくるなんて、思ってもいなかった…。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
小野寺社長のお気に入り
茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。
悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。
☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。
☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる