仮説1:実験体としてこの空間に入れられた
   仮説2:死刑囚としてこの空間に入れられた

 仮説2が正しければ、あたしはこの無機質な部屋の中で近い将来、死を迎える。
 仮説1が正しい事を証明する為には、仮説2を棄却しなければならない。

 ここは、6面体の空間。色は「白」一色。存在しているのは、記憶を失った「あたし」ひとり。そして、壁に1つだけ存在する「赤いボタン」。何者かに閉じ込められた事は自明。ただし、何の目的で閉じ込められたのかは不明。生きてこの空間から抜け出す為には、可能な限り情報を収集し、状況を分析し、仮説を立て、検証し、行動にうつしていく必要がある。
 まずは、このボタンを押すべきか、否か…。
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