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カエルの歌が聴こえない
第12話
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歌詞と曲がまとまったのは夕方だった。
結局、随分とコミカルな曲調になった。歌詞だけを頼む予定だったけれど、旋律にも口を出して貰ったのは正解だったかもしれない。でも、この種の曲はあまり自分らしいとも思わないから、もうやらないだろうな…。
「コラコラ」ミコが口を出して来た。「せっかく、新しい曲調に挑戦できたんだから、その娘に感謝しなきゃ」
そうだね。
手伝ってくれたお礼に、有香に食事でもご馳走しようと思ったけれど、有香は丁重に断ってきた。
「ありがとう」有香が言った。「でも、夜はあまり食べないんだ」
「ダイエットでもしてるのかな?」
ミコが、僕の耳元で囁いた。僕は、煩いな、と避けた。
「でも、今度何かお礼させてね」
僕が言うと、有香は微笑みで以て返答してくれた。
僕は有香を、近くの駅の改札まで見送った。
部屋に戻ると、ミコが、あっ、と叫んだ。
「人妻かどうか、訊くの忘れちゃったね」
僕は笑うと、
「あんなに自信満々に、教えてくれるって言ったのにね」
と意地悪を言ってやった。
「もう」ミコはわざと、頬を膨らして見せた。「ボクが訊き忘れたっていうのは…」
「僕が訊き忘れたって事だろ?」
僕が言葉を切って、返した。
「解ってんじゃん…」
ミコが呟く様に言った。それから、僕達は声をあげて笑った。
久々に曲が出来て上機嫌なのか、ミコはそれから、歌詞と旋律が出来たばかりの新曲を歌って見せてくれた。曲の始めと終わりに、有香が考えたセリフが入るのだけれど、そのセリフを言うミコは、とても可愛かった。
第6章のテーマ曲である「カエルの歌がきこえない」を、以下のリンクより視聴いただけます。是非、聴いてみてくださいね!
https://www.nicovideo.jp/watch/sm28094767
※リンクで直接飛べない場合は、楽曲名で検索してください
結局、随分とコミカルな曲調になった。歌詞だけを頼む予定だったけれど、旋律にも口を出して貰ったのは正解だったかもしれない。でも、この種の曲はあまり自分らしいとも思わないから、もうやらないだろうな…。
「コラコラ」ミコが口を出して来た。「せっかく、新しい曲調に挑戦できたんだから、その娘に感謝しなきゃ」
そうだね。
手伝ってくれたお礼に、有香に食事でもご馳走しようと思ったけれど、有香は丁重に断ってきた。
「ありがとう」有香が言った。「でも、夜はあまり食べないんだ」
「ダイエットでもしてるのかな?」
ミコが、僕の耳元で囁いた。僕は、煩いな、と避けた。
「でも、今度何かお礼させてね」
僕が言うと、有香は微笑みで以て返答してくれた。
僕は有香を、近くの駅の改札まで見送った。
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僕は笑うと、
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久々に曲が出来て上機嫌なのか、ミコはそれから、歌詞と旋律が出来たばかりの新曲を歌って見せてくれた。曲の始めと終わりに、有香が考えたセリフが入るのだけれど、そのセリフを言うミコは、とても可愛かった。
第6章のテーマ曲である「カエルの歌がきこえない」を、以下のリンクより視聴いただけます。是非、聴いてみてくださいね!
https://www.nicovideo.jp/watch/sm28094767
※リンクで直接飛べない場合は、楽曲名で検索してください
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