4 / 6
4 ガキンチョ!vsお浜ばあさん!
しおりを挟む今回は、【ひなっち!!!】さんからご提供いただいたエピソードをベースに脚色しています。
ひなっち!!!さん、ありがとう♪
相手がガキだろうと、意思を持ってした事には違いない。理不尽な事を許せないのがお浜ばあさん。
風はまだまだ冷たいが、太陽が燦々と輝き、日向はポカポカ陽気。
お浜さんも妖気。……もとい、容器。またまたもとい、陽気。
いつものホームに立っていると、高校生らしき少女が隣に来た。
お浜さんが少女の顔を覗き込み、いつもの愛嬌でニッとすると、少女は恥ずかしそうに俯いた。
「クッ。可愛いのう」
と、その時。
少女の後ろにいた小学2~3年のガキンチョがいきなり少女に跳び蹴りした。
「痛っ!」
少女は痛そうに足を擦りながら、ガキンチョに振り向いた。
「こらっ!ガキっ!」
お浜さんはガキンチョの襟首を掴むと、引っ張った。
「イテっ!何すんだよ、ババア」
「ババアだと?このクソガキがっ!今、何やったんだ?」
「何がだよ?なんもやってねえよ」
「ちゃんと見てたんだよ、この目で。この子の足を蹴っ飛ばしたろ?」
「だったら、なんだよ?」
「だったら、なんだよじゃねえよ。なんで蹴ったんだ?」
「サッカーの練習やってたら、たまたま当たったんだろ?」
「だったら、この人に謝りなよ」
「なんでだよ?前にいんのが悪いんだろ?」
「どうしようもねえガキだな。傷害罪で訴えてやるから、駅員室に来い」
お浜さんはそう言いながら、ガキンチョの襟首を引っ張った。
「ヤだよっ!やめろよっ!」
「あら、嫌だ。子供相手に何やってんのかしら、大人げない」
集まって来た野次馬の一人、中年女が眉をひそめた。
「そこの厚化粧のオバサン、事情も知らねえで、余計な口挟むんじゃないよ」
お浜さんが一喝した。
「ま、失礼な!厚化粧のオバサンですって」
「さあ、どうすんだ?警察に行って、親に来てもらう?それとも、この人に謝るか?どっちにするんだい?」
「謝るから、離せよ!」
「謝ってから離してやるよ」
「……ごめんなさい」
ガキンチョは、小声で謝った。
「もっと大きな声で、もっと頭を下げて」
「ごめんなさいっ!」
ガキンチョは大きな声で謝って、頭を下げた。
「大丈夫……気にしないで」
少女はそう言って恥ずかしそうに俯いた。
「もう二度とこんな真似をするなよ。分かった?」
「……わかったよ」
「じゃ、これで解放してやるよ」
お浜さんが手を離した途端、
「覚えとけよ、クソババア!」
ガキンチョは生意気な口を叩くと、走って逃げた。
「覚えとくよ、クソガキ!」
「ありがとうございました」
少女が深々とお辞儀をした。
「それより、ケガはなかった?」
「はい。もう痛くないです」
少女がはにかむように笑った。
「そりゃあ良かった」
お浜さんも、ニッと笑った。
タイミング良く来た電車に乗ると、お浜さんは優先席に座り、少女は斜前のロングシートに座った。
「さて、ティータイムと参りますかね?……ん~、一日一善。良い事をすると、カフェオレが旨いね~。ゲヘッ」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

それからの日々
佐倉 蘭
現代文学
あの地震のあと、夫と二人の娘を捨て、愛する男と一緒にこの街を出たみどり。
あれから二〇数年が経ち、またこの街に戻ってきた…
※ 「偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎」および「きみは運命の人」のネタバレを含みます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
風の匂い
よつば 綴
現代文学
母を亡くし、家族は姉弟2人きりの早苗と正樹。
独り虚しく夕飯を食べる早苗の目に飛び込んできたのは、テレビから流れる事故のニュース。その情報から、弟の正樹が巻き込まれたのだと思い慌てて連絡を取る。
しかし、電話に出た正樹。早苗は安心するが、他人の死を無視してはいけないと正樹に叱責される。
2人は気持ちを新たにする為、母の墓参り行く事にした。
久しぶりに会う2人。
そこで、正樹が失踪していた父親と再会したことを告げる。
母を苦しめ自分達を捨てた男を、早苗は許せずにいた。だから父親には会わないと、早苗は正樹に告げる。
しかし、ある日突然、父親が早苗に会いに来た。
話も聞かず去ろうとする早苗。早苗を引き留めようと、父親は強行手段に出る。
そして、同僚であり親友でもある真希がそれに巻き込まれてしまう。
これ以上大切な人を奪われない為にも、早苗は父親の殺害を決意する──。
※流血表現あり
匿名での感想やメッセージなどはコチラへ💌
https://ofuse.me/e/32936
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
表紙 AI生成(PixAI.Art)
使用モデル:AbyssOrangeMixV3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる