オンブズゥーマン、助けて~!

紫 李鳥

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 5秒で、とあるビルの屋上に到着。そこにいたのは、モデルみたいな美女を口説いているおっさん。

 ドッスン!

 オンブズゥーマンの着陸音に振り向くおっさん。すかさず、おっさんの膝を蹴る。おっさん、よろめく。

「わ~い、オンブズゥーマンや~。キャッキャッ!待ってたで」

「おおきに~」

 オンブズゥーマン、親指を立てて、ウインク。おっさん、ヨロヨロしながら、非常階段を下りる。

「オンブズゥーマン、ありがとな。めっちゃ好きやわ。チュッ!」

 モデルみたいな美女、オンブズゥーマンのおてもやんほっぺにキス。けど、けど、ご存じのとおり、オンブズゥーマンのほっぺたは赤いので、モデルみたいな美女のキスマークは目立たない。ん~~~~、ほんまに、ほんまに残念!

「おおきに~。ところで、今のおっさんは何者やねん?」

「わてが働いてる会社の社長やねん」

「エッ!……ええんか?パンチ食らわしたけど」

「えーのん。辞める覚悟はできてるさかい。セクハラおやじの言いなりなんかならへん」

「そうか?覚悟ができてるんやったら、ええけど」

「うん、でけてる。なぁ?オンブズゥーマンさん」

「なんや?」

「また、なんかあったら、助けてコールしてえーか?」

「もち、ええでぇ。いつでもオッケーや。全国の空を巡回してるさかい」

「ほんまに?うれしいわ。なぁ?今度、お茶せーへん」

「お茶でも、焼酎でも、どぶろくでも、なんでもええでぇ」

「ほんまに?めっちゃうれしいわ。これ、名刺。はい。携帯の電話番号とメアド付きやねん。助けてコールするさかい、お茶してや。じゃあね、バイバ~イ」

 オンブズゥーマンに名刺を渡したモデルみたいな美女、手を振りながら、さよなら。

 ニッとしたオンブズゥーマンも手を振りながら、さよなら。名刺をウエストポーチにしまうと、

 シュワッチ!

 大阪の夜空に飛び立った。



 ♪
 オンブズゥーマン
 オンブズゥーマン

 人形おんぶした
 オンブズゥーマン

 デブっちょウーマン
 ウーマンパワー

 オンブズゥーマン
 プリティ・ウーマン

 ちゃうちゃうオンブズゥーマン

 オンブズゥーマン
 オンブズゥーマン

 ぼくらのヒロイン
 わてらのサーロイン

 ちゃうちゃうヒロイン

 オンブズゥーマン
 オンブズゥーマン



 今日もまた、日本だけの夜空に、オンブズゥーマンのテーマ曲が響き渡るのら~。
 

 この世にもめ事がある限り、オンブズゥーマンは今日も行く。

 ピカッ!ピカッ!

『オンブズゥーマン、助けてー!お母ちゃんが、お母ちゃんが……』

 女の子の声をキャッチ。

「どうちた?すぐ行くから待っててちょー」
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