オンブズゥーマン、助けて~!

紫 李鳥

文字の大きさ
上 下
1 / 4

しおりを挟む
 

 西に酔っ払いの口喧嘩あれば、仲裁し、東に痴話喧嘩ちわげんかあれば、仲良くさせる。日本全国のもめ事を瞬時に解決する、怪傑かいけつウーマン。はたしてその正体は?

 僕らのヒロイン、オンブズゥーマン!

 金太郎ヘアのオンブズゥーマンは、赤ちゃん人形をおんぶしたイカれたおばちゃん。けど、けど、正義の味方。スーパーマンのように空を飛び、日本全国の困った人を助けるのら~。



「おぎゃ~!おぎゃ~!」

「ヘイ、ベビー、泣くんじゃねぇ。オッパイやっからさ」

 オンブズゥーマンは、泣き声内蔵の赤ちゃん人形に、後ろ向きでおもちゃの哺乳瓶をくわえさせる。

 ブシュッ!

 見事、人形の口に命中。哺乳瓶をくわえた人形、泣き止む。


 真っ赤なマントを翻して、オンブズゥーマンは今日も行く。

 ピカッ!ピカッ!

 オンブズゥーマンが首にぶら下げた[助けて探知機]が、悲鳴をキャッチして点滅。

『ちょっと、何すんのよっ!どすけべ。キャー!オンブズゥーマン、助けてー』

「よっしゃ!待ってちょー」

 東京の空を巡回中のオンブズゥーマンは滑空すると、



 渋谷の09の裏に2秒で到着。そこにいたのは、茶髪ウェブのかわい子ちゃんにモーションをかけているオヤジ。

 ドッスン!

 オンブズゥーマンの着陸音に振り向くオヤジ。途端、

 バシッ!バシッ!

 オンブズゥーマンは、キックボクシングの技をご披露。

「わ~い、オンブズゥーマンだ~。キャッキャッ」

 かわい子ちゃんの黄色い歓声。

「イエ~イ」

 親指を立てて、ウインクで応えるオンブズゥーマン。一方、膝蹴りされたオヤジのほうはヨロヨロ。

 グサッ!

 みぞおちにとどめの一発を食らって、オヤジ、ダウン。あっという間のアクションQで、オヤジ、声を発する暇なし。

 オンブズゥーマン、かわい子ちゃんの手を掴む。

「さあ、カモン」

「オンブズゥーマンさん、ありがと~」

「どういたしまして。それより早く逃げて」

「ん。チュッ!」

 かわい子ちゃん、オンブズゥーマンの、おてもやんほっぺにキス。しかし、オンブズゥーマンのほっぺたは赤いので、かわい子ちゃんのキスマークが目立たない。ん~~~、残念!

 振り向きながら手を振り、走り去るかわい子ちゃん。オンブズゥーマン、ニッとすると、両手を上げて、ビルの隙間から、

 シュワッチ!

 星空に飛び立った。そして、また巡回するのら~。



 ♪
 オンブズゥーマン
 オンブズゥーマン

 人形おんぶした
 オンブズゥーマン

 デブっちょウーマン
 ウーマンパワー

 オンブズゥーマン
 オンブズゥーマン

 強きをくじき
 弱きを助く

 オンブズゥーマン
 オンブズゥーマン

 ぼくらのヒロイン
 わてらのハロウィン

 ちゃうちゃうヒロイン

 オンブズゥーマン
 オンブズゥーマン



 ピカッ!ピカッ!

『キャーッ!何すんねん、この、エロおやじ。ちょっと、ちょっと、ちょっと。キャー!オンブズゥーマン、助けてなー』

 大阪弁の悲鳴をキャッチ。

「待っててほい。すぐ行くで」

 感化されやすいオンブズゥーマン、大阪弁でしゃべり、道頓堀に直行。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

春神さまがやってきた!

燦一郎
児童書・童話
南の国から引っ越してきたその村の人たちは、みんな春を知らず桜の花を見たことがない。 そんなある日、村に春神さまがやってくると、お城のお侍からきいた。 「村に桜の花を咲かせてくれるようお願いしてみんか?」と村長。 酒屋の久太郎がそのお願いをすることになり、春神さまを接待することに。 春神さまは、きたないかっこうをした侍みたいな男だった。 ところが春神さまは大酒をくらっていびきをかいて寝てしまった。 「お前さん、この人ほんとうに春神さまかい」と妻のお栄。 はたしてその人は本当に春神さまなのだろうか。 桜を咲かせてくれたのだろうか。

見習いサンタの初恋【完結】

えりっく
児童書・童話
見習いサンタのふたりの少年 彼らはある日ひとりの少女に恋をする しかしサンタクロース協会のルールでは 人間に姿を見られてはいけなくて……。

マリオネット

煙 亜月
児童書・童話
――マリオネットの糸を鋏で切る。「これであんたも自由だよ。あたしも、明日の晩には――」

こちら御神楽学園心霊部!

緒方あきら
児童書・童話
取りつかれ体質の主人公、月城灯里が霊に憑かれた事を切っ掛けに心霊部に入部する。そこに数々の心霊体験が舞い込んでくる。事件を解決するごとに部員との絆は深まっていく。けれど、彼らにやってくる心霊事件は身の毛がよだつ恐ろしいものばかりで――。 灯里は取りつかれ体質で、事あるごとに幽霊に取りつかれる。 それがきっかけで学校の心霊部に入部する事になったが、いくつもの事件がやってきて――。 。 部屋に異音がなり、主人公を怯えさせる【トッテさん】。 前世から続く呪いにより死に導かれる生徒を救うが、彼にあげたお札は一週間でボロボロになってしまう【前世の名前】。 通ってはいけない道を通り、自分の影を失い、荒れた祠を修復し祈りを捧げて解決を試みる【竹林の道】。 どこまでもついて来る影が、家まで辿り着いたと安心した主人公の耳元に突然囁きかけてさっていく【楽しかった?】。 封印されていたものを解き放つと、それは江戸時代に封じられた幽霊。彼は門吉と名乗り主人公たちは土地神にするべく扱う【首無し地蔵】。 決して話してはいけない怪談を話してしまい、クラスメイトの背中に危険な影が現れ、咄嗟にこの話は嘘だったと弁明し霊を払う【嘘つき先生】。 事故死してさ迷う亡霊と出くわしてしまう。気付かぬふりをしてやり過ごすがすれ違い様に「見えてるくせに」と囁かれ襲われる【交差点】。 ひたすら振返らせようとする霊、駅まで着いたがトンネルを走る窓が鏡のようになり憑りついた霊の禍々しい姿を見る事になる【うしろ】。 都市伝説の噂を元に、エレベーターで消えてしまった生徒。記憶からさえもその存在を消す神隠し。心霊部は総出で生徒の救出を行った【異世界エレベーター】。 延々と名前を問う不気味な声【名前】。 10の怪異譚からなる心霊ホラー。心霊部の活躍は続いていく。 

【完結】月夜のお茶会

佐倉穂波
児童書・童話
 数年に一度開催される「太陽と月の式典」。太陽の国のお姫様ルルは、招待状をもらい月の国で開かれる式典に赴きました。 第2回きずな児童書大賞にエントリーしました。宜しくお願いします。

かんせん

素元安積
児童書・童話
しに神様が、眠らせるべき人を間違えてしまった。

処理中です...