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13話
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【15】27003
千載一遇
千変万化
千差万別
一騎当千
一日千秋
海千山千
・―・―・―・―・
【16】生命の危機から何とか生き残ろうとする時に偉そうにする生き物は何?
※理由も書いてください。
それを読んだ途端、クイズ男の表情が緩んだ。
「別嬪さんも答えを書いておいてくださいよ」
「はい、もう書いたのがあります。スタートしていいですか?」
「プリーズ、フリーズ、ファブリー○」
「では、スタート!」
女がスタートを告げた。クイズ男は問題を読んだ時点で、すぐに解いたように僕には見えた。
そのことを気付かれまいとしているのか、クイズ男は一度も顔を上げず、紙切れを睨んでいた。
「10秒前!9・8・7・6・5」
「解けました!」
クイズ男が鉛筆を走らせた。
「えー?……」
ため息にも似た女の声が微かに漏れた。
「では、別嬪さんの答えと交換しましょう」
女はショルダーバッグから手帳を取り出すと、挟んでいた紙切れをクイズ男のメモ用紙と交換した。
「スゴい。……正解です」
女は感服したように表情を和らげた。
「いやいや。まぐれ当たり、気まぐれヴィーナスですよ」
「では、2,000円ですね」
女は財布から千円札を2枚抜き取ると、惜しげもなくクイズ男に差し出した。
「ありがたくいただきます」
クイズ男は拝む格好をした。
「また、新しいのを考えて来ますね」
女はそう言って、くるりと背を向けた。
「待ってますよー!へへへ。さっきの負けを取り戻した上にプラ1,000だ」
「クイズマンは、やっぱりスゴいや」
常連客が感心した。
「いやいや。まぐれ当たりの気まぐれヴィーナスよん。さて、次はいないかな?」
「あのう……いいですか?」
黒縁メガネの40前後の女性が声をかけた。
「おう、インテリ美人さん、いらっしゃい。今日は美人が多いね」
「Bコースを」
「はいよ。Bコースのフルコースだ。どれにするかな?」
クイズ男は、例のメモ用紙を捲っていた。
「じゃ、これでもいってみっか。いじわるなぞなぞだ」
【17】テーブルの上にバナナとリンゴとミカンをおき、さらにブドウをおいた。テーブルの上にあるのは何種類のフルーツ?
問題が書かれたメモ用紙を見た途端、女は含み笑いをした。答えが分かったようだと僕は思った。クイズ男もそれを察知しているように見えた。
「それじゃ、スタートするよ。いいかい?」
「ええ。どうぞ」
メモ用紙と鉛筆を受け取った女は、余裕綽々と言った具合にクイズ男に微笑んだ。
前回の儲けがあるせいか、クイズ男にも余裕が見えた。
「じゃ、参りますよ。3・2・1、スタート!」
クイズ男がスタートを切った途端、女は鉛筆を走らせ、
「書きました」
と言って、クイズ男を見上げた。
「速っ!新記録達成だ」
クイズ男は女から受け取ったメモ用紙を見て、にんまりした。
「大正解!」
パチパチ!周りから拍手が起きた。
「ありがとうございます」
女が周りにお辞儀をした。
「簡単過ぎたかな?」
「まぐれ当たりの気まぐれヴィーナスです」
クイズ男のせりふを真似た。
ハッハハハ……周りが笑った。
「クイズマンさん。……実はお詫びに来ました」
女が真顔でクイズ男を見た。
「えっ?」
なんのことか分からないクイズ男は、女を見つめた。
すると、女はショルダーバッグから、何やらたたんだモノを取り出して広げると頭に被った。
それは、チューリップハットだった。
千載一遇
千変万化
千差万別
一騎当千
一日千秋
海千山千
・―・―・―・―・
【16】生命の危機から何とか生き残ろうとする時に偉そうにする生き物は何?
※理由も書いてください。
それを読んだ途端、クイズ男の表情が緩んだ。
「別嬪さんも答えを書いておいてくださいよ」
「はい、もう書いたのがあります。スタートしていいですか?」
「プリーズ、フリーズ、ファブリー○」
「では、スタート!」
女がスタートを告げた。クイズ男は問題を読んだ時点で、すぐに解いたように僕には見えた。
そのことを気付かれまいとしているのか、クイズ男は一度も顔を上げず、紙切れを睨んでいた。
「10秒前!9・8・7・6・5」
「解けました!」
クイズ男が鉛筆を走らせた。
「えー?……」
ため息にも似た女の声が微かに漏れた。
「では、別嬪さんの答えと交換しましょう」
女はショルダーバッグから手帳を取り出すと、挟んでいた紙切れをクイズ男のメモ用紙と交換した。
「スゴい。……正解です」
女は感服したように表情を和らげた。
「いやいや。まぐれ当たり、気まぐれヴィーナスですよ」
「では、2,000円ですね」
女は財布から千円札を2枚抜き取ると、惜しげもなくクイズ男に差し出した。
「ありがたくいただきます」
クイズ男は拝む格好をした。
「また、新しいのを考えて来ますね」
女はそう言って、くるりと背を向けた。
「待ってますよー!へへへ。さっきの負けを取り戻した上にプラ1,000だ」
「クイズマンは、やっぱりスゴいや」
常連客が感心した。
「いやいや。まぐれ当たりの気まぐれヴィーナスよん。さて、次はいないかな?」
「あのう……いいですか?」
黒縁メガネの40前後の女性が声をかけた。
「おう、インテリ美人さん、いらっしゃい。今日は美人が多いね」
「Bコースを」
「はいよ。Bコースのフルコースだ。どれにするかな?」
クイズ男は、例のメモ用紙を捲っていた。
「じゃ、これでもいってみっか。いじわるなぞなぞだ」
【17】テーブルの上にバナナとリンゴとミカンをおき、さらにブドウをおいた。テーブルの上にあるのは何種類のフルーツ?
問題が書かれたメモ用紙を見た途端、女は含み笑いをした。答えが分かったようだと僕は思った。クイズ男もそれを察知しているように見えた。
「それじゃ、スタートするよ。いいかい?」
「ええ。どうぞ」
メモ用紙と鉛筆を受け取った女は、余裕綽々と言った具合にクイズ男に微笑んだ。
前回の儲けがあるせいか、クイズ男にも余裕が見えた。
「じゃ、参りますよ。3・2・1、スタート!」
クイズ男がスタートを切った途端、女は鉛筆を走らせ、
「書きました」
と言って、クイズ男を見上げた。
「速っ!新記録達成だ」
クイズ男は女から受け取ったメモ用紙を見て、にんまりした。
「大正解!」
パチパチ!周りから拍手が起きた。
「ありがとうございます」
女が周りにお辞儀をした。
「簡単過ぎたかな?」
「まぐれ当たりの気まぐれヴィーナスです」
クイズ男のせりふを真似た。
ハッハハハ……周りが笑った。
「クイズマンさん。……実はお詫びに来ました」
女が真顔でクイズ男を見た。
「えっ?」
なんのことか分からないクイズ男は、女を見つめた。
すると、女はショルダーバッグから、何やらたたんだモノを取り出して広げると頭に被った。
それは、チューリップハットだった。
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