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元夫視点
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医療施設というのにそれを感じさせない場所だった。
外に誘導されて、立った場所は庭の一角なのか。
木漏れ日がふりそそぐ場所に、植木をパーテーションのようにしていて、それぞれのテーブルの視線は交わらない。
「あの…」
僕は、前を歩く二人に声をかけた。
庭で話すには自分にとって繊細な話なので。
二人が振り向いた、相変わらず表情は硬い。
「何か?」
「いえ…ここにリネージュを…レディ・アントレットを呼んでくださるということでしょうか?」
ランバート殿下が指さす方向をみた。
そこは、日差しがあまり入らず、座っているひとがあまり見えないところだ
「貴殿にはあそこに座っていただく、レディ・アントレットの体調は今朝確認済みだが、その隣席で貴殿に会うかどうか確認させていただく。ただし、もし彼女が拒否した場合は速やかに帰国していただくことになる。私が彼女に確認をとることになるが、その間あなたは彼女に声をかけることは禁止だ。ただし、彼女と私の会話はきいてもいい。」
「…かしこまりました。」
「ナミル、レディ・アントレットを呼んでくる間、相手をしてくれ。」
「かしこまりました、殿下。こちらにおかけください侯爵様。」
そういって、無表情のナミル医師があの薄暗い席に僕を誘導した。
カタンと椅子をひいてゆっくり座る。
日差しがあまり差さないせいかすこし肌寒く感じた。
いやそれは緊張なのか。
隣の席を見てみる…顔などは確認できるだろうか。
早く会いたいリネージュ。
そして今度こそ間違いない愛を彼女に…
しばらく物思いにふけっていると、二人の足音らしきものが聞こえてきた。
外に誘導されて、立った場所は庭の一角なのか。
木漏れ日がふりそそぐ場所に、植木をパーテーションのようにしていて、それぞれのテーブルの視線は交わらない。
「あの…」
僕は、前を歩く二人に声をかけた。
庭で話すには自分にとって繊細な話なので。
二人が振り向いた、相変わらず表情は硬い。
「何か?」
「いえ…ここにリネージュを…レディ・アントレットを呼んでくださるということでしょうか?」
ランバート殿下が指さす方向をみた。
そこは、日差しがあまり入らず、座っているひとがあまり見えないところだ
「貴殿にはあそこに座っていただく、レディ・アントレットの体調は今朝確認済みだが、その隣席で貴殿に会うかどうか確認させていただく。ただし、もし彼女が拒否した場合は速やかに帰国していただくことになる。私が彼女に確認をとることになるが、その間あなたは彼女に声をかけることは禁止だ。ただし、彼女と私の会話はきいてもいい。」
「…かしこまりました。」
「ナミル、レディ・アントレットを呼んでくる間、相手をしてくれ。」
「かしこまりました、殿下。こちらにおかけください侯爵様。」
そういって、無表情のナミル医師があの薄暗い席に僕を誘導した。
カタンと椅子をひいてゆっくり座る。
日差しがあまり差さないせいかすこし肌寒く感じた。
いやそれは緊張なのか。
隣の席を見てみる…顔などは確認できるだろうか。
早く会いたいリネージュ。
そして今度こそ間違いない愛を彼女に…
しばらく物思いにふけっていると、二人の足音らしきものが聞こえてきた。
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