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侍女マリアの日記
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鬘が出来上がるまで、リネージュ様のお帽子を編ませていただいた。
「とても素敵ね」
と痩せてしまっても、綺麗な笑顔で仰ってくださった。
本日、リネージュ様は医師団の診察を受けることになっています。
その中に、懐かしい…と言っていいのかわかりませんが、隣国のゼン医師がいらっしゃいました。
「お久しぶりです、お加減はいかがでしょうか?」
「まぁまぁ!ゼン先生、お久しぶりですね」
リネージュ様は本当に懐かしそうにゼン医師にそう仰ってました。
「こんな見苦しい格好でごめんなさいね」
「とんでもないです!!突然お邪魔して申し訳ありません。実は公開されている情報について教えていただいている際に、アントレット様の話題になりまして、知り合いということで一団に加えていただきました」
「そうだったのね…」
離婚した侯爵家の主治医だったゼン医師はその後もリネージュ様と体調の話をしていました。
その際に
「ゼン先生…有難うございます」
「え?何がですか?」
「私はこの難病と診断されたとき、もう死んでも良いと思ってたの。でも…先生は私に生きることをあきらめないように怒ってくれたわね。それから私は周囲の人にどれだけ恵まれていたかわかったの。マリアなんか私に本当に尽くしてくれてるの」
私はその場に邪魔にならないように立っていたのですが、リネージュ様からのお言葉は本当に私には過ぎたるものでした。
涙を流さまいと歯を食いしばって俯いてしまいました。
その様子をお二人に見られていたのでしょう。視線を感じました。
しばらく談笑されていましたら、鬘の時に会話した医師が近づいてきました。
「あーレディ・アントレット?」
「はい?」
「すまないが、もう一人ここに入ってきても良いだろうか?貴方の体調が良ければ挨拶をしたいという人物がいるんだ」
「そうなんですか…」
「無理を言うつもりはない。一応数値は安定している。先日検査した髪の毛のほうは有害なものは検出されなかった」
マリリスという病気はある悪いものを取り込んでしまったのが原因だと医師団は考えているらしいのです。
貴族家は毒見が必ずいるので毒ではないそうですが…
私の頭では理解ができませんでした。
「今日は体調が良いと思いますが…」
「勝手を言ってすまない…実は…」
お二人が会話していたら、一人の男性が不躾に入ってきました。
私は思わず、リネージュ様を隠すように前に立ちました。
「優秀な侍女だな。うちのにも見習ってほしい」
「こら!勝手に入ってくるな!」
医師…ナミルというそうですが、ナミルがその男性に対して怒っていました。
「すまないすまない。レディ・アントレット。私はランバート・ミシュルという。この国のしがない王族だ」
「とても素敵ね」
と痩せてしまっても、綺麗な笑顔で仰ってくださった。
本日、リネージュ様は医師団の診察を受けることになっています。
その中に、懐かしい…と言っていいのかわかりませんが、隣国のゼン医師がいらっしゃいました。
「お久しぶりです、お加減はいかがでしょうか?」
「まぁまぁ!ゼン先生、お久しぶりですね」
リネージュ様は本当に懐かしそうにゼン医師にそう仰ってました。
「こんな見苦しい格好でごめんなさいね」
「とんでもないです!!突然お邪魔して申し訳ありません。実は公開されている情報について教えていただいている際に、アントレット様の話題になりまして、知り合いということで一団に加えていただきました」
「そうだったのね…」
離婚した侯爵家の主治医だったゼン医師はその後もリネージュ様と体調の話をしていました。
その際に
「ゼン先生…有難うございます」
「え?何がですか?」
「私はこの難病と診断されたとき、もう死んでも良いと思ってたの。でも…先生は私に生きることをあきらめないように怒ってくれたわね。それから私は周囲の人にどれだけ恵まれていたかわかったの。マリアなんか私に本当に尽くしてくれてるの」
私はその場に邪魔にならないように立っていたのですが、リネージュ様からのお言葉は本当に私には過ぎたるものでした。
涙を流さまいと歯を食いしばって俯いてしまいました。
その様子をお二人に見られていたのでしょう。視線を感じました。
しばらく談笑されていましたら、鬘の時に会話した医師が近づいてきました。
「あーレディ・アントレット?」
「はい?」
「すまないが、もう一人ここに入ってきても良いだろうか?貴方の体調が良ければ挨拶をしたいという人物がいるんだ」
「そうなんですか…」
「無理を言うつもりはない。一応数値は安定している。先日検査した髪の毛のほうは有害なものは検出されなかった」
マリリスという病気はある悪いものを取り込んでしまったのが原因だと医師団は考えているらしいのです。
貴族家は毒見が必ずいるので毒ではないそうですが…
私の頭では理解ができませんでした。
「今日は体調が良いと思いますが…」
「勝手を言ってすまない…実は…」
お二人が会話していたら、一人の男性が不躾に入ってきました。
私は思わず、リネージュ様を隠すように前に立ちました。
「優秀な侍女だな。うちのにも見習ってほしい」
「こら!勝手に入ってくるな!」
医師…ナミルというそうですが、ナミルがその男性に対して怒っていました。
「すまないすまない。レディ・アントレット。私はランバート・ミシュルという。この国のしがない王族だ」
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