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彷徨う
しおりを挟むアクラム様は難しい顔をされておりました。
私の手を握りしめたままアクラム様はうつむいておりました。
「アクラム様…」
「ブリュンヒルドをどうにかすればいいのか…」
先ほどまでとは違いぼそぼそと聞こえるか聞こえないかのような声でアクラム様はそうつぶやいたのです。
はぁと大きなため息が聞こえてきました。
兄が顔に手を当てて大げさな身振りでため息をついておりました。
「そもそもお前はなぜ親しげにブリュンヒルドと名前で呼んでいるのだ?マレーネの事はあまり名前で呼ばなかっただろう」
「それは…」
それは私も疑問に思っていました彼女の名前をこの方は呼ぶのです。
「彼女に攻撃されるから?いやそれだけなのか本当に?
普通に名前を呼ばれない妹のことを考えてみろ!自分が愛されていると感じるか?お前は自分が欲しいものを失いそうになっているから駄々を捏ねている子供だ。俺は心底幻滅している!お前みたいな男に妹を任せたことをな」
「マレーネのことは名前で呼ばないようにと」
しどろもどろになりながら、彼は言うのです。
なぜでしょうか…何かがあるのかもしれません。
「夫婦になったら関係はないだろう?親が結婚を許したと言う事はもう名前を呼んでもいいと言うことだ。しかしお前はマレーネのことを名前で呼ばなかった。ブリュンヒルドのことを名前で呼ぶくせに」
握られている手がじっとりとしてきました。
「アクラム様…」
はっと気づいたように私の顔見て泣きそうになっていました。
「アクラム様…私はあなたが愛してくださっているとその言葉を信頼したいと思っております。もちろん私もアクラム様をあ…愛しております。夫婦になりたいと思っております。どうかあなたの心の内を聞かせて下さいませんか?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本来こういうところに書くのは控えるようにしてるのですが、あえて言わせてください。
次回は胸糞な回かもしれません。タグをつけてなかったので、あらかじめこちらでお伝えしておきます。
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