お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩

文字の大きさ
上 下
20 / 45

彷徨う

しおりを挟む


アクラム様は難しい顔をされておりました。
私の手を握りしめたままアクラム様はうつむいておりました。


「アクラム様…」




「ブリュンヒルドをどうにかすればいいのか…」

先ほどまでとは違いぼそぼそと聞こえるか聞こえないかのような声でアクラム様はそうつぶやいたのです。

はぁと大きなため息が聞こえてきました。
兄が顔に手を当てて大げさな身振りでため息をついておりました。

「そもそもお前はなぜ親しげにブリュンヒルドと名前で呼んでいるのだ?マレーネの事はあまり名前で呼ばなかっただろう」


「それは…」

それは私も疑問に思っていました彼女の名前をこの方は呼ぶのです。

「彼女に攻撃されるから?いやそれだけなのか本当に?
普通に名前を呼ばれない妹のことを考えてみろ!自分が愛されていると感じるか?お前は自分が欲しいものを失いそうになっているから駄々を捏ねている子供だ。俺は心底幻滅している!お前みたいな男に妹を任せたことをな」


「マレーネのことは名前で呼ばないようにと」

しどろもどろになりながら、彼は言うのです。
なぜでしょうか…何かがあるのかもしれません。

「夫婦になったら関係はないだろう?親が結婚を許したと言う事はもう名前を呼んでもいいと言うことだ。しかしお前はマレーネのことを名前で呼ばなかった。ブリュンヒルドのことを名前で呼ぶくせに」


握られている手がじっとりとしてきました。


「アクラム様…」


はっと気づいたように私の顔見て泣きそうになっていました。

「アクラム様…私はあなたが愛してくださっているとその言葉を信頼したいと思っております。もちろん私もアクラム様をあ…愛しております。夫婦になりたいと思っております。どうかあなたの心の内を聞かせて下さいませんか?」























~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本来こういうところに書くのは控えるようにしてるのですが、あえて言わせてください。
次回は胸糞な回かもしれません。タグをつけてなかったので、あらかじめこちらでお伝えしておきます。






しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

旦那様は離縁をお望みでしょうか

村上かおり
恋愛
 ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。  けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。  バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。

平凡なる側室は陛下の愛は求めていない

かぐや
恋愛
小国の王女と帝国の主上との結婚式は恙なく終わり、王女は側室として後宮に住まうことになった。 そこで帝は言う。「俺に愛を求めるな」と。 だが側室は自他共に認める平凡で、はなからそんなものは求めていない。 側室が求めているのは、自由と安然のみであった。 そんな側室が周囲を巻き込んで自分の自由を求め、その過程でうっかり陛下にも溺愛されるお話。

忙しい男

菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。 「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」 「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」 すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。 ※ハッピーエンドです かなりやきもきさせてしまうと思います。 どうか温かい目でみてやってくださいね。 ※本編完結しました(2019/07/15) スピンオフ &番外編 【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19) 改稿 (2020/01/01) 本編のみカクヨムさんでも公開しました。

あなたに嘘を一つ、つきました

小蝶
恋愛
 ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…  最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ

愛してほしかった

こな
恋愛
「側室でもいいか」最愛の人にそう問われ、頷くしかなかった。  心はすり減り、期待を持つことを止めた。  ──なのに、今更どういうおつもりですか? ※設定ふんわり ※何でも大丈夫な方向け ※合わない方は即ブラウザバックしてください ※指示、暴言を含むコメント、読後の苦情などはお控えください

この婚姻は誰のため?

ひろか
恋愛
「オレがなんのためにアンシェルと結婚したと思ってるんだ!」 その言葉で、この婚姻の意味を知った。 告げた愛も、全て、別の人のためだったことを。

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

私の夫は愛した人の仇だったのです。

豆狸
恋愛
……さて、私が蒔いたこの復讐の種は、どんな花を咲かせてくれることでしょう。

処理中です...