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 3話 光剣 クラウ・ソラス

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 私の剣の訓練が始まった。
 
 本来ならザリアスが教えてくれるのだが
ママの剣筋を良く知っているということで
訓練担当はアカになった。

 テニスコートぐらいの広さの
鍛錬場に連れていかれた。

「セリーヌ様、まずはこちらから
 お好きな剣をお選びください」

 そこには100本ぐらいの様々な剣があった。
大きいのや、細いの、どれも凄そうな
モノばかりだった。

「うーん。どれがいいか迷うなぁー・・」

「どの剣も、伝説の剣とか言われる
 モノばかりです」

「じゃぁ、折角だから、この大きい奴
 にしようかな」

「大剣ですね?お手にどうぞ」

 私はその剣を掴んで持ち上げようとした。

「んっ!!んーーーっ!!ん??」

 剣は持ち上げるどころかピクリもしなかった。

「こ・・これ・・重いのかな・・?」

「そんな事ありませんよ?ほらっ!」

 そういうとアカは軽々と持ち上げ、
ブンブン振り回した

「あーー・・・私には・・ムリみたいね・・」

 竹刀と大違いだ。本物はやっぱり重い。

「これは大剣ですから、両手持ちになります
 リリア様の系統でしたら・・んー・・
 セリーヌ様にはこちらでしょうかね・・」
 
 アカが、片手剣の手頃な大きさの
モノを選んでくれた。

「どうぞ。これをお持ちになってください」

 ポンと渡されたものの、結構重い。
持っているのがやっとだった。

「こ・・これ?け・・結構重いんですけど・・」

「セリーヌ様、力で持ち上げようとするのでは
 ありません。
 貴女様は膨大な魔力をお持ちですから、
 魔力で剣を動かすのです。
 力で振るのではなく、動かす・・です」

「動かす??」

「そうです。まず、気の流れを感じて、
 剣を持っている右手に集中させるのです。
 それから羽を振るようなイメージを
 持ってください」

「気ね・・気・・右手・・右手・・」

 私はアカが言うように、目をつぶり
羽を持っているかのようなイメージをした

 すると、右手の指輪が光った。

  ブーンッ!!

 か・・軽い!!メチャ軽いっ!!

「そうです、それを瞬時にできるよう
 訓練するのです」

「なるほどーーーー!!
 なんかわかった気がする!」

「それとリリア様の特異スキルは
『超光速百斬剣』というものです」

「なーに?それ?」

「超光速で、相手を斬るのですよ。
 実際、この目で見て参りましたが、
 圧倒されました。
 ほとんどリリア様の動きは視認
 できませんでした。
 かなりの鍛錬を積まれたと思います」

「それって超早いってこと?」

「早いどころか、剣の閃光しか見えません」

「うっわぁーーママ、スゴイ!」

「セリーヌ様も必ずできるはずです」

「そ・・そうかなぁ・・」

「そのための訓練ですよ。
 今、このエリアに
 5本の藁柱を立てております。
 まずは、これを私が10数える間に
 全て倒してください」
 
「えーーーーっ!!ムリムリムリ!!」

 テニスコート1周を走るだけでも、
それだけかかりそう!

「できます。リリア様なら5つ数える間に
 20は倒します。セリーヌ様にもできます」

 そういうとアカは、容赦なく合図をした。

「では、いきます。ハイっ!」
 
 私は走った、剣が重い!!

一番近い藁柱に辿り着くまでに、終わった。

「ハァハア・・これ、ホントにできるのぉ~?」

「これも剣の使い方と同じです。気を集中させて
 イメージしてください。今度は足に。
 走るのではなく、滑る、飛ぶ、という感じです」
 
「滑る感じ・・飛ぶ・・気をね、気・・気・・」

  シュンッ!

  ガシュッ!!!

 や・・やった!!切れたっ!!

 1本目は倒したわ!次!!

「ハイ!そこまで!」

「え~~ッ!!2本目まで辿り着かない!」

 結構、足には自信あるんだけどな・・ 

「それが訓練ですよ」

 アカがニコッと笑った。

「くっそーー!!やってやる!!」

 その日は何回もチャレンジして
2本目までが限界だった。



  次の日


「イテッ!テテテテ・・・」

 魔界にきて、筋肉痛になるとは
思わなかったぁ・・

肩と腰、太もも、もう全身がバキバキだー!
スポーツウーマンを自称してたけど・・
情けない・・。


 ミリアが服を持って部屋に来た。

「セリーヌ様?よろしいですか?」

「は・・はい・・どーぞーー・・・」

 ミリアは私の姿を見て驚いた。

「あら!まぁ!どうされたんですか?」

「いやぁ・・ハハハ・・昨日の訓練で
 全身が筋肉痛で・・ハハハ・・」

 私は支え無しでは、立つことも出来なかった。

 ミリアは持ってきた服を置き、私を支えた。

「いいですわ。セリーヌ様、そのままベッドに
 横になってください。ゆっくり」
 
「え・・え?・・」

 言われるがまま横になった。
実際、横になるのもキツイ!

 ミリアは私の全身に手をかざした。

 体全体が温かいお湯に浸かっているような
 感覚になった。

 なんか・・気持ちいぃーー・・・

「セリーヌ様、回復魔法をお掛けしました。
 もう、立ち上がっても大丈夫かと・・」
 
「え?そうなの?」

 私は、恐る恐る体を起こしてみた。

 え??痛くない!!全然、痛くない!!
なにこれ??回復魔法スゴイッ!!!  

ミリアがニコッと笑って言った。

「いかがですか?少しは楽になりましたか?」

「うん!全然、大丈夫!!スゴイッ!
 ありがとう!ミリア!!」

「お役に立てて、幸いです」

 これだーー!!回復魔法か!!
絶対覚えよう!!

「これって、自分で自分に、
 かけることもできるんだよね!?」

「はい。回復魔法をお持ちの方は、
 みなさんそうされていらっしゃいます。
 リリア様もお持ちでした」

 よーし!これで体はすぐ元通りになる!
今日の訓練もガンバロッ!



「で?その服は?」

「はい・・申し訳ございません。
 セリーヌ様の仰るようなのが
 ナカナカ見つかりませんで・・
 取りあえず、お気に召しそうなのを
 何点かお持ちしました」

 ミリアが服を並べていく。

 まぁ、ヒラヒラな感じは無くなったけど・・
やっぱドレスだよねぇー・・しかもロング。
魔界の中を、行きかっている女性を見ても、
みんなそうだもんねぇ・・
これが定番なのかなぁ・・

うーん。。この中から選ぶしかないかぁ・・

 私はその中でもフリルが少ない、
タイトな黒色のドレスを見つけた。

 そしてあることを思いついた。

「うーーーん・・よし!これだっ!
 ミリア、何か切るものある?」
 
「あ・・は・・ハイ、ありますが」

 ミリアがポンッとナイフを出した

「これで、よろしいですか?」

「うん!ありがと!」

 私はその黒色のドレスのスカート部分、
をジャキジャキ切った。

「あ・・そ・・そんな!!」

 ミリアが慌てた。

「これでよしっと!」

 そのドレスを着てみた。

「おーーいいじゃん!!ミニワンピ!!
 これ、動きやすい!!」
 
「そそそ・・そんな、御み足が丸見えで
 ございますよ!?」

「いいのいいの!これはミニっていうのよ?
 ミリアもスタイルいいんだから、こうすれば?
 楽ちんよぉ!」
 
「い・・いやぁ・・私は・・
 でも、なんだかよくお似合いですわ・・
 アハハハ!」

「でしょーーっ?でも・・ちょっと・・
 胸のあたりがスカスカね・・・」
 
 私はチラッとミリアの胸を見た。

 自分のと見比べた。
 
「う・・うーーーーん・・・・・」
 
「あ・・その!あの、なんていうか、
 スマートな感じで・・その・・いいと
 思いますけどぉ・・」

「いいの!!私は成長期だから
 まだ大きくなる!!・・と思う・・」

「は・・はいぃ・・」

「でも、これじゃカッコ悪いからなー・・
 少し詰めてくれる?」

「畏まりました」

「じゃ、これから私の着る服は全部、
 こんな感じにしてね?」

「よ・・よろしいのですか?」

「うん!大丈夫!魔界で流行るわよぉ?きっと」

「わ・・私も・・
 やってみようかなぁ・・ハハハ」

「うん!やりなってぇ~!ウフフ」




 その日も、アカの訓練があった。
なんとか3本まで倒せるようになった。
そして何日か後、5本から10本、
そして20本と藁柱の数は増えていった。

 体力の消耗は激しく、毎日、ミリアの
回復魔法を受けながら訓練を行った。

 筋肉痛も感じなくなった7日後。

「では、5つ数える間に30本倒してください。
 今のセリーヌ様ならできるはずです。
 これが出来れば、剣の訓練は終了です」
 
 アカがそういった。

 私は集中した。
指輪をしている指が熱くなった。

 今だ!!

  シュンッ!!ガッガッガッガッガガ!!

 終わると辺りには、藁柱の残骸が
30体あった。

「素晴らしい!!!
 さすがでございます!セリーヌ様!
 もう、私からお教えすることはございません。
 見事に『超光速百斬剣』をご取得されました!」
 
「ふぅーっ・・できたーー・・やっとだぁ・・」

「あとは、これからこちらの剣をお持ちください」

 アカが持っていたのは、白銀に輝く
シンプルな形の剣だった。
しかし、なんとも言えない美しさを湛えていた。

「こ・・これは?」

「クラウ・ソラス。魔剣とも言われますが
 光の剣です。
 セリーヌ様はリリア様と同じ、光属性です。
 こちらの剣がお似合いかと思います」

 アカに渡され、振ってみた。

 手に馴染む、ピタっとした感触だった。
まるで、手の一部みたいだった。

「これスゴイ!うん!!ありがとう!
 これ気に入ったわ!!」
   
 クラウ・ソラスが私の愛剣になった。



 その頃・・魔界の界隈では・・


 とある建物から男が二人、窓から
外を見ていた・・・

「レ・・レイグリッド様・・」

「お、おぉザリアス殿・・」

「さ・・最近、魔界の女性・・目のやり場に
 困りませんか?」
 
「え・・えぇ・・どうやらセリーヌ様が・・
 流行らせたみたい・・ですな。この風潮・・」
 
「なんというか・・奔放なのはシュベル様
 譲りでございますねぇ・・・・」

「た・・確かに・・・・」


 2人の男がミニスカートの女性達を目で追った
 

「わ・・悪くないですな・・・」

「ふむぅ・・わ・・悪くはありませんな・・」

 魔界の女性に新たなブームが到来した。  

  
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