推しの負けヒロインの親友ポジに転生したので全力で推しを勝たせたいと思います！

第4話 推しが私の力で成長してくれるのはとても尊いことです。

翌日、私はリリアと一緒に街を歩いていた。カフェデート作戦は成功したけれど、彼女の自己肯定感をもっと高めるためには、まだまだやるべきことがある。
　彼女が王子様と結ばれる未来のためには、リリア自身が自分の魅力に自信を持つことが必要だ。
あうあ
「エリー、昨日はありがとう。あのカフェ、とても楽しかったわ」

　リリアがふわりと微笑む。彼女のその笑顔を見るだけで、私の心は再び温かくなる。
　推しのそんな可愛すぎる笑顔を見るためなら、私は何だってするよ！

「こちらこそ、ありがとう！リリアの笑顔を見てると、私も元気が出るんだ。次はどこに行こうか？」

「そうね……えっと、どうしようかしら……」

　リリアが考えている間、私は周りの様子を伺う。
　すると、広場の向こうに、またあの金髪の姿が見えた。
　──そう、正ヒロインのセシリアだ。

「あら、また会ったわね、リリア、エリー」

　彼女は今日も完璧な笑顔を浮かべて近づいてくる。まるで自分が物語の主役であることを知っているかのような自信に満ちた歩き方だ。
あさそ
「あ、セシリアさん、こんにちは。」

　リリアは少し緊張した様子で挨拶をする。私はその様子に気づき、すかさず彼女の隣に立つ。
　セシリアが持つプレッシャーに負けないように、私が支えなきゃ！

「こんにちは、セシリアさん。今日はどうしたの？」

「ただの散歩よ。リリア、あなたもこんな場所に来るのね。少し驚いたわ」

　セシリアは柔らかい声で言うが、その言葉の裏には、どこかリリアを軽んじているニュアンスが感じられる。
　私はそれを感じ取り、リリアが萎縮しないように声をかける。

「リリアもたまにはおしゃれして、いろんな場所に行くのが楽しいんだよね！ね、リリア？」

「う、うん……そうね。」

　リリアの声は少し小さく、彼女がまだセシリアの存在に怯えているのがわかる。
　私は彼女の手をそっと握りしめ、少し力を込める。リリアがこちらを見て、ほっとしたように微笑んだ。

「エリーが一緒だから、いろんなことに挑戦してみたくなったの」

　その言葉を聞いて、私は心の中でガッツポーズを決める。

　──推しが！私のお陰で！成長を！尊い……！

　いいぞ、リリア！その調子で少しずつ自信を持っていこう！

「そう。それは素敵ね。でも、私たちが目指しているものは、もっと高いところにあると思うわ」

　セシリアは笑顔を浮かべたまま、少し挑戦的な言葉を放つ。
　彼女の言いたいことはわかる。彼女は、王子の心をつかむためにはもっと努力が必要だと言いたいのだろう。
　だが、私は負けない。リリアを支えるためにここにいるのだから。

「確かに、高みを目指すのは大事だね。でも、リリアにはリリアのペースで進む道があるんだ。焦らず、自分を信じて進めば、きっと素敵な未来が待ってるよ」

　私の言葉に、リリアが少し元気を取り戻すのがわかる。彼女の目が少しだけ輝きを取り戻し、セシリアを見つめ返す。

「そうね、エリーの言う通りだわ。私は私のやり方で、頑張っていこうと思う」

　セシリアは一瞬驚いたような表情を見せるが、すぐに微笑みに戻る。

「そう……それなら、あなたの頑張りを見せてもらうわ」

　そう言い残して、セシリアは去っていった。その背中を見送りながら、私はリリアの手を強く握る。

「リリア、君はそのままでいいんだよ。君の良さは、君自身が一番知っているはずだから」

「ありがとう、エリー。あなたがいてくれるから、私も少しずつ前を向ける気がする……」

　リリアの言葉に、私は胸が熱くなる。
　この異世界に転生してきた意味が、ますますはっきりしてきた。彼女のためなら、私は何だってする！
　リリアを正ヒロインにするための道は、私たち二人で切り開いていくんだ！

　その夜、私は一人で部屋に戻り、これからの作戦を練る。リリアがもっと自信を持ち、王子との距離を縮めるためには、次に何をすべきか。セシリアとの対立も避けられないだろう。だが、私は決して負けない。推しを守るためなら、何だってやってやるんだから！

「よし、次はリリアと一緒に何か大きなイベントに参加してみようかな……それで彼女の魅力をもっとアピールするんだ！」

　そう決意しながら、私は次のプランを考え始めた。