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第11話 悪役令嬢は破滅出来ない
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私は、何度も何度も破滅を求め続けた。
エドワード殿下との協力も、すべては破滅への一歩だった。
だが、皮肉なことに、私は破滅するたびに称賛され、善行として受け取られてしまう。
破滅を目指せば目指すほど、なぜか私は「国を救った英雄」として扱われてしまうのだ。
──もう、これ以上どうすればいいのか。
破滅を望んだあの日からずっと、私は運命に翻弄され続けていた。
周りの人々は私の意図を誤解し、いつも「偉大な人物」として私を持ち上げる。
私がどんなに悪事を働こうとしても、結局は「善行」として称えられ、期待される。
私にとって、この世界は終わりの見えない地獄のようだった。
******
そんなある日、王宮での重要な決断が迫っていた。
国の未来を決める最後の会議──そこで私は、最後の機会を手に入れた。
この場で、完全に破滅するための最後のチャンスが訪れたのだ。
「今度こそ、破滅できる……。」
エドワード殿下の陰謀がすでに明るみになり、彼は追放される寸前まで追い詰められている。
しかし、まだ私は終わっていない。今回こそ、私は自らの手で全てを終わらせるつもりだった。
******
王宮の大広間は、厳粛な雰囲気に包まれていた。
王、重臣、貴族たちが集まり、エドワード殿下の処遇を決定するための議論が進められていた。
そして、私はその場で、王の前に立つこととなった。
「セシリア・フォン・アウグスト侯爵令嬢、貴女にはこの国を導く役割を任せたい。」
──何度この言葉を聞いたことだろうか。
もうその称賛にはうんざりだった。私は静かに一歩前に進み出た。
「王よ、皆様。この国にとって重要なことは私ではありません……。」
私は、もう一度自らの身を捨てる覚悟を決めていた。
自らの評判を地に落とし、完全に追放されることで、破滅を迎える。それが私にとって唯一の道だった。
「私は、この国に何の貢献もしていません。むしろ、皆様に迷惑をかけ続けてきた存在です!」
会場がざわつく。王や貴族たちが驚いた表情で私を見つめていたが、私は気にせず続けた。
「私はエドワード殿下の手先として利用されていました! 何も知らず、ただ彼に従っていただけ……!」
その場がますます騒然とし始める。私の意図通り、会場は混乱に包まれていた。
「今こそ、私はその責任を取り、すべてを終わらせます。私こそが、この国の害悪だったのです!」
私は大声で叫び、すべてを自らのせいにしようとした。それが、私の破滅のための最終手段だった。
******
王は驚き、重臣たちも戸惑いの表情を浮かべた。
会場全体が私に注目していた。これで、すべてが終わる。
私はついに、自分の破滅を手に入れられる──そう思っていたその瞬間だった。
「──待て!」
突然、誰かの声が響き渡った。
会場の後ろから歩み寄ってきたのは、なんとリリィだった。彼女は真っ直ぐに私の方を見つめ、力強い声で言葉を続けた。
「セシリア様は、そんなことを言ってはいけません!」
私は動揺した。彼女がここに来ることなど、予想していなかった。
「貴女は、いつも自分を犠牲にしてきたじゃないですか! それが、エドワード殿下の陰謀を阻止した唯一の理由だって、私には分かっています!」
──違う、そんなことじゃない!
私は心の中で叫んだ。リリィは私のことを全く誤解していた。
彼女の目には、私が「自己犠牲の精神を持った英雄」として映っていたのだ。
「セシリア様は、国を救うために、今まで何度も危険を冒してきたのです! だから、どうか彼女を責めないでください!」
周囲の貴族たちも、リリィの言葉に耳を傾け、次第に彼女の意見に賛同し始めた。
「確かに、セシリア様はエドワード殿下を止めるために行動していた……。私たちが誤解していたのかもしれない。」
「彼女は、この国のために身を捧げてきたのだ!」
会場の空気が一気に変わった。私が自らを破滅に追い込もうとしていたその瞬間に、リリィの介入によってすべてが逆転した。
彼女の言葉は周囲の人々に響き、私の行動はまたもや「善行」として解釈され始めた。
******
私は、自分が望んだ破滅とは全く逆の結末に陥っていた。再び私は称賛され、国民や貴族たちから感謝される存在となっていた。王は私の行動を賞賛し、私にさらなる責任を委ねようとした。
「セシリア・フォン・アウグスト侯爵令嬢、貴女こそ、この国を導く者に相応しい。」
──どうして……? 私はただ、破滅したかっただけなのに……。
その時、私はすべてを悟った。何をしても、この世界では私が破滅を迎えることはないのだ。
どんなに失態を犯そうと、私の行動は「国を救うための善行」として受け取られてしまう。破滅を望んでいた私が、最終的に手に入れたのは──「称賛」という皮肉な結末だった。
******
私は静かに王の前で頭を下げ、微笑んだ。
「ありがとうございます……。今後とも、私にできる限り尽力いたします。」
そう言いながら、私の心の中では、まだ消えない破滅への渇望が渦巻いていた。だが、それを叶えることは、もう不可能だと悟っていた。
こうして、私の物語は終わらない。
破滅を求め続けても、それは決して訪れない。
私はこの国の英雄として称賛され、重責を負いながらも、永遠に望むことのできない破滅を背負い続けて生きていく──。
「どうして、破滅できないの……?」
その問いだけが、私の心の中に虚しく残り続けた。
まぁでも逆に思い通りにならない、そんな世の中も私にとっては悪くないのかな、そんなことも少し思った。
エドワード殿下との協力も、すべては破滅への一歩だった。
だが、皮肉なことに、私は破滅するたびに称賛され、善行として受け取られてしまう。
破滅を目指せば目指すほど、なぜか私は「国を救った英雄」として扱われてしまうのだ。
──もう、これ以上どうすればいいのか。
破滅を望んだあの日からずっと、私は運命に翻弄され続けていた。
周りの人々は私の意図を誤解し、いつも「偉大な人物」として私を持ち上げる。
私がどんなに悪事を働こうとしても、結局は「善行」として称えられ、期待される。
私にとって、この世界は終わりの見えない地獄のようだった。
******
そんなある日、王宮での重要な決断が迫っていた。
国の未来を決める最後の会議──そこで私は、最後の機会を手に入れた。
この場で、完全に破滅するための最後のチャンスが訪れたのだ。
「今度こそ、破滅できる……。」
エドワード殿下の陰謀がすでに明るみになり、彼は追放される寸前まで追い詰められている。
しかし、まだ私は終わっていない。今回こそ、私は自らの手で全てを終わらせるつもりだった。
******
王宮の大広間は、厳粛な雰囲気に包まれていた。
王、重臣、貴族たちが集まり、エドワード殿下の処遇を決定するための議論が進められていた。
そして、私はその場で、王の前に立つこととなった。
「セシリア・フォン・アウグスト侯爵令嬢、貴女にはこの国を導く役割を任せたい。」
──何度この言葉を聞いたことだろうか。
もうその称賛にはうんざりだった。私は静かに一歩前に進み出た。
「王よ、皆様。この国にとって重要なことは私ではありません……。」
私は、もう一度自らの身を捨てる覚悟を決めていた。
自らの評判を地に落とし、完全に追放されることで、破滅を迎える。それが私にとって唯一の道だった。
「私は、この国に何の貢献もしていません。むしろ、皆様に迷惑をかけ続けてきた存在です!」
会場がざわつく。王や貴族たちが驚いた表情で私を見つめていたが、私は気にせず続けた。
「私はエドワード殿下の手先として利用されていました! 何も知らず、ただ彼に従っていただけ……!」
その場がますます騒然とし始める。私の意図通り、会場は混乱に包まれていた。
「今こそ、私はその責任を取り、すべてを終わらせます。私こそが、この国の害悪だったのです!」
私は大声で叫び、すべてを自らのせいにしようとした。それが、私の破滅のための最終手段だった。
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王は驚き、重臣たちも戸惑いの表情を浮かべた。
会場全体が私に注目していた。これで、すべてが終わる。
私はついに、自分の破滅を手に入れられる──そう思っていたその瞬間だった。
「──待て!」
突然、誰かの声が響き渡った。
会場の後ろから歩み寄ってきたのは、なんとリリィだった。彼女は真っ直ぐに私の方を見つめ、力強い声で言葉を続けた。
「セシリア様は、そんなことを言ってはいけません!」
私は動揺した。彼女がここに来ることなど、予想していなかった。
「貴女は、いつも自分を犠牲にしてきたじゃないですか! それが、エドワード殿下の陰謀を阻止した唯一の理由だって、私には分かっています!」
──違う、そんなことじゃない!
私は心の中で叫んだ。リリィは私のことを全く誤解していた。
彼女の目には、私が「自己犠牲の精神を持った英雄」として映っていたのだ。
「セシリア様は、国を救うために、今まで何度も危険を冒してきたのです! だから、どうか彼女を責めないでください!」
周囲の貴族たちも、リリィの言葉に耳を傾け、次第に彼女の意見に賛同し始めた。
「確かに、セシリア様はエドワード殿下を止めるために行動していた……。私たちが誤解していたのかもしれない。」
「彼女は、この国のために身を捧げてきたのだ!」
会場の空気が一気に変わった。私が自らを破滅に追い込もうとしていたその瞬間に、リリィの介入によってすべてが逆転した。
彼女の言葉は周囲の人々に響き、私の行動はまたもや「善行」として解釈され始めた。
******
私は、自分が望んだ破滅とは全く逆の結末に陥っていた。再び私は称賛され、国民や貴族たちから感謝される存在となっていた。王は私の行動を賞賛し、私にさらなる責任を委ねようとした。
「セシリア・フォン・アウグスト侯爵令嬢、貴女こそ、この国を導く者に相応しい。」
──どうして……? 私はただ、破滅したかっただけなのに……。
その時、私はすべてを悟った。何をしても、この世界では私が破滅を迎えることはないのだ。
どんなに失態を犯そうと、私の行動は「国を救うための善行」として受け取られてしまう。破滅を望んでいた私が、最終的に手に入れたのは──「称賛」という皮肉な結末だった。
******
私は静かに王の前で頭を下げ、微笑んだ。
「ありがとうございます……。今後とも、私にできる限り尽力いたします。」
そう言いながら、私の心の中では、まだ消えない破滅への渇望が渦巻いていた。だが、それを叶えることは、もう不可能だと悟っていた。
こうして、私の物語は終わらない。
破滅を求め続けても、それは決して訪れない。
私はこの国の英雄として称賛され、重責を負いながらも、永遠に望むことのできない破滅を背負い続けて生きていく──。
「どうして、破滅できないの……?」
その問いだけが、私の心の中に虚しく残り続けた。
まぁでも逆に思い通りにならない、そんな世の中も私にとっては悪くないのかな、そんなことも少し思った。
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