【声劇台本】だから、お前はダメなんだ!

でんでろ3

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F浦〜不登校〜

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E崎:プルルルル、プルルルル。

F浦:あれ? 誰だろう? この番号?

E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。これから、家庭訪問をします。最寄り駅を出ました。

F浦:はぁ、先生、来るんですか。

E崎:ピッ。

F浦:先生、来るのか。もう、長いこと、高校行ってないから、出席日数が危ないとか言われるのかなぁ?

E崎:プルルルル、プルルルル。

F浦:あれ? この番号? E崎先生?

E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。今、駅前のコンビニの角を曲がりました。

F浦:はい?

E崎:ピッ。

F浦:え? 何? なんなの?

E崎:プルルルル、プルルルル。

F浦:ん? また、E崎先生?

E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。今、消防署の前を通りました。

F浦:は?

E崎:ピッ。

F浦:え? 何? 怖い怖い怖い。

E崎:プルルルル、プルルルル。

F浦:この番号、先生だ! なんなの?

E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。今、和菓子屋の角を……。

F浦:いやぁ! 先生! メリーさんごっこ、やめて!

E崎:あ? ばれた?

F浦:え? ばれるとか、ばれないとかの、話でした?

E崎:いやー、お前んちって、駅から結構あるじゃん? 着くまでヒマでさぁ。

F浦:ヒマつぶし? ヒマつぶしに、私、遊ばれてたんですか?

E崎:人聞(ひとぎ)きの悪いこと、言うなよ。

F浦:人聞(ひとぎ)きだけ取り繕(つくろ)っても、あなたの罪は消えません!

E崎:そんな、「罪」とか、大げさな。

F浦:いやいや、十分「罪」ですよ? そりゃあ、もう、「罪」です!

E崎:そうなの?

F浦:それに、自分のスマホに女生徒のスマホの番号入れるとか、今どきはダメなんじゃないですか?

E崎:教頭みたいなこと言うのね。

F浦:言われてるんじゃないですか! ダメなんじゃないですか!

E崎:でも、スマホが普及したおかげで、すっかり公衆電話も減ってねぇ。

F浦:はぁ。

E崎:メリーさんごっこも出来ないよ。

F浦:それは、しなくていいやつですから!

E崎:ああ、まぁね。

F浦:まったく……。

E崎:もしもし、担任のE崎です。今、あなたのマンションの前にいるの。

F浦:だから、あなたも懲(こ)りないですね!

E崎:いや、ガチでマジで着いた。

F浦:あ、着いたんですか?

E崎:入れてくれ。

F浦:先生、上がるんですか?

E崎:じゃあ、下がろうか?

F浦:はぁっ? 「下がる」? どこへ?

E崎:じゃあ、上げてくれ。

F浦:今、私、家にひとりきりですよ? 今どきは、女生徒と二人きりとか、まずいんじゃあ?

E崎:お構いなく。お茶だけで、お茶菓子なしで。

F浦:はぁっ? お茶要求? 今どきは、お茶もダメなんじゃあ?

E崎:え? お前、俺たちの研修、覗(のぞ)いてるの?

F浦:私、学校、行ってませんよね? 普通の生徒以上に覗(のぞ)くチャンス、ありませんから!

E崎:いいから、出迎えろ。

F浦:……分かりました。待っててください。

ト書き:間

F浦:先生、いらっしゃい。じゃあ、エレベーターで上がります。

E崎:いいマンションだな。

F浦:親のです。

E崎:だからって、いいマンションがいいマンションでなくなるわけじゃない。

F浦:そうですけど……、って、エレベーター、止まった?

E崎:リアル脱出ゲーーム! ドンドン、パフパフーー!

F浦:「ドンドン、パフパフー!」じゃないです! マジでリアルに閉じ込められたんですよ? どうしよう?

E崎:落ち着け! このボタンを押せば、エレベーター管理会社と連絡取れるから。

F浦:そうですけど……。ひっ! で、電気が消えました!

E崎:消えたな。

F浦:いや、私、暗くて狭いところダメなんです。

E崎:引きこもりなのに?

F浦:引きこもりは、関係ないでしょう? 私の部屋は、広くて明るいですよ?

E崎:ああ、そうだな。まぁ、落ち着いて聞いてくれ。

F浦:はい。

E崎:俺は、昔、赤ん坊だった。

F浦:はぁ……。

E崎:……いや、終わりだけど?

F浦:はぁっ? 終わり?

E崎:うん!

F浦:いや、ここは、いい話をするところですよ? ギャグかますところじゃありませんよ?

E崎:そこを、あえてだな……。

F浦:え? 私、責められてる? なんで、「誰でも、昔は赤ん坊でしたよ!」って、ツッコまなかった? って、責められてる?

E崎:まぁ、落ち着け。

F浦:エキサイトさせてるのは、先生ですよ?

E崎:まぁまぁ。

F浦:もう、私、やだぁ!

E崎:あ、電気ついた。

F浦:……つきましたね。

E崎:あ、ドア、開いた。

F浦:……開きましたね。

E崎:どーもー、E崎でーす!

F浦:なんで漫才師風なんですか? サービスマンさんが、あっけに取られてるじゃないですか!

ト書き:間

E崎:ガチャっ。お邪魔しまーす。

F浦:どうぞ。

E崎:F浦ってさぁ。

F浦:はい?

E崎:ツッコミの才能、あるんじゃね?

F浦:開口一番(かいこういちばん)が、それですか?
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