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F浦〜不登校〜
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E崎:プルルルル、プルルルル。
F浦:あれ? 誰だろう? この番号?
E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。これから、家庭訪問をします。最寄り駅を出ました。
F浦:はぁ、先生、来るんですか。
E崎:ピッ。
F浦:先生、来るのか。もう、長いこと、高校行ってないから、出席日数が危ないとか言われるのかなぁ?
E崎:プルルルル、プルルルル。
F浦:あれ? この番号? E崎先生?
E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。今、駅前のコンビニの角を曲がりました。
F浦:はい?
E崎:ピッ。
F浦:え? 何? なんなの?
E崎:プルルルル、プルルルル。
F浦:ん? また、E崎先生?
E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。今、消防署の前を通りました。
F浦:は?
E崎:ピッ。
F浦:え? 何? 怖い怖い怖い。
E崎:プルルルル、プルルルル。
F浦:この番号、先生だ! なんなの?
E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。今、和菓子屋の角を……。
F浦:いやぁ! 先生! メリーさんごっこ、やめて!
E崎:あ? ばれた?
F浦:え? ばれるとか、ばれないとかの、話でした?
E崎:いやー、お前んちって、駅から結構あるじゃん? 着くまでヒマでさぁ。
F浦:ヒマつぶし? ヒマつぶしに、私、遊ばれてたんですか?
E崎:人聞(ひとぎ)きの悪いこと、言うなよ。
F浦:人聞(ひとぎ)きだけ取り繕(つくろ)っても、あなたの罪は消えません!
E崎:そんな、「罪」とか、大げさな。
F浦:いやいや、十分「罪」ですよ? そりゃあ、もう、「罪」です!
E崎:そうなの?
F浦:それに、自分のスマホに女生徒のスマホの番号入れるとか、今どきはダメなんじゃないですか?
E崎:教頭みたいなこと言うのね。
F浦:言われてるんじゃないですか! ダメなんじゃないですか!
E崎:でも、スマホが普及したおかげで、すっかり公衆電話も減ってねぇ。
F浦:はぁ。
E崎:メリーさんごっこも出来ないよ。
F浦:それは、しなくていいやつですから!
E崎:ああ、まぁね。
F浦:まったく……。
E崎:もしもし、担任のE崎です。今、あなたのマンションの前にいるの。
F浦:だから、あなたも懲(こ)りないですね!
E崎:いや、ガチでマジで着いた。
F浦:あ、着いたんですか?
E崎:入れてくれ。
F浦:先生、上がるんですか?
E崎:じゃあ、下がろうか?
F浦:はぁっ? 「下がる」? どこへ?
E崎:じゃあ、上げてくれ。
F浦:今、私、家にひとりきりですよ? 今どきは、女生徒と二人きりとか、まずいんじゃあ?
E崎:お構いなく。お茶だけで、お茶菓子なしで。
F浦:はぁっ? お茶要求? 今どきは、お茶もダメなんじゃあ?
E崎:え? お前、俺たちの研修、覗(のぞ)いてるの?
F浦:私、学校、行ってませんよね? 普通の生徒以上に覗(のぞ)くチャンス、ありませんから!
E崎:いいから、出迎えろ。
F浦:……分かりました。待っててください。
ト書き:間
F浦:先生、いらっしゃい。じゃあ、エレベーターで上がります。
E崎:いいマンションだな。
F浦:親のです。
E崎:だからって、いいマンションがいいマンションでなくなるわけじゃない。
F浦:そうですけど……、って、エレベーター、止まった?
E崎:リアル脱出ゲーーム! ドンドン、パフパフーー!
F浦:「ドンドン、パフパフー!」じゃないです! マジでリアルに閉じ込められたんですよ? どうしよう?
E崎:落ち着け! このボタンを押せば、エレベーター管理会社と連絡取れるから。
F浦:そうですけど……。ひっ! で、電気が消えました!
E崎:消えたな。
F浦:いや、私、暗くて狭いところダメなんです。
E崎:引きこもりなのに?
F浦:引きこもりは、関係ないでしょう? 私の部屋は、広くて明るいですよ?
E崎:ああ、そうだな。まぁ、落ち着いて聞いてくれ。
F浦:はい。
E崎:俺は、昔、赤ん坊だった。
F浦:はぁ……。
E崎:……いや、終わりだけど?
F浦:はぁっ? 終わり?
E崎:うん!
F浦:いや、ここは、いい話をするところですよ? ギャグかますところじゃありませんよ?
E崎:そこを、あえてだな……。
F浦:え? 私、責められてる? なんで、「誰でも、昔は赤ん坊でしたよ!」って、ツッコまなかった? って、責められてる?
E崎:まぁ、落ち着け。
F浦:エキサイトさせてるのは、先生ですよ?
E崎:まぁまぁ。
F浦:もう、私、やだぁ!
E崎:あ、電気ついた。
F浦:……つきましたね。
E崎:あ、ドア、開いた。
F浦:……開きましたね。
E崎:どーもー、E崎でーす!
F浦:なんで漫才師風なんですか? サービスマンさんが、あっけに取られてるじゃないですか!
ト書き:間
E崎:ガチャっ。お邪魔しまーす。
F浦:どうぞ。
E崎:F浦ってさぁ。
F浦:はい?
E崎:ツッコミの才能、あるんじゃね?
F浦:開口一番(かいこういちばん)が、それですか?
F浦:あれ? 誰だろう? この番号?
E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。これから、家庭訪問をします。最寄り駅を出ました。
F浦:はぁ、先生、来るんですか。
E崎:ピッ。
F浦:先生、来るのか。もう、長いこと、高校行ってないから、出席日数が危ないとか言われるのかなぁ?
E崎:プルルルル、プルルルル。
F浦:あれ? この番号? E崎先生?
E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。今、駅前のコンビニの角を曲がりました。
F浦:はい?
E崎:ピッ。
F浦:え? 何? なんなの?
E崎:プルルルル、プルルルル。
F浦:ん? また、E崎先生?
E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。今、消防署の前を通りました。
F浦:は?
E崎:ピッ。
F浦:え? 何? 怖い怖い怖い。
E崎:プルルルル、プルルルル。
F浦:この番号、先生だ! なんなの?
E崎:ピッ。もしもし、担任のE崎です。今、和菓子屋の角を……。
F浦:いやぁ! 先生! メリーさんごっこ、やめて!
E崎:あ? ばれた?
F浦:え? ばれるとか、ばれないとかの、話でした?
E崎:いやー、お前んちって、駅から結構あるじゃん? 着くまでヒマでさぁ。
F浦:ヒマつぶし? ヒマつぶしに、私、遊ばれてたんですか?
E崎:人聞(ひとぎ)きの悪いこと、言うなよ。
F浦:人聞(ひとぎ)きだけ取り繕(つくろ)っても、あなたの罪は消えません!
E崎:そんな、「罪」とか、大げさな。
F浦:いやいや、十分「罪」ですよ? そりゃあ、もう、「罪」です!
E崎:そうなの?
F浦:それに、自分のスマホに女生徒のスマホの番号入れるとか、今どきはダメなんじゃないですか?
E崎:教頭みたいなこと言うのね。
F浦:言われてるんじゃないですか! ダメなんじゃないですか!
E崎:でも、スマホが普及したおかげで、すっかり公衆電話も減ってねぇ。
F浦:はぁ。
E崎:メリーさんごっこも出来ないよ。
F浦:それは、しなくていいやつですから!
E崎:ああ、まぁね。
F浦:まったく……。
E崎:もしもし、担任のE崎です。今、あなたのマンションの前にいるの。
F浦:だから、あなたも懲(こ)りないですね!
E崎:いや、ガチでマジで着いた。
F浦:あ、着いたんですか?
E崎:入れてくれ。
F浦:先生、上がるんですか?
E崎:じゃあ、下がろうか?
F浦:はぁっ? 「下がる」? どこへ?
E崎:じゃあ、上げてくれ。
F浦:今、私、家にひとりきりですよ? 今どきは、女生徒と二人きりとか、まずいんじゃあ?
E崎:お構いなく。お茶だけで、お茶菓子なしで。
F浦:はぁっ? お茶要求? 今どきは、お茶もダメなんじゃあ?
E崎:え? お前、俺たちの研修、覗(のぞ)いてるの?
F浦:私、学校、行ってませんよね? 普通の生徒以上に覗(のぞ)くチャンス、ありませんから!
E崎:いいから、出迎えろ。
F浦:……分かりました。待っててください。
ト書き:間
F浦:先生、いらっしゃい。じゃあ、エレベーターで上がります。
E崎:いいマンションだな。
F浦:親のです。
E崎:だからって、いいマンションがいいマンションでなくなるわけじゃない。
F浦:そうですけど……、って、エレベーター、止まった?
E崎:リアル脱出ゲーーム! ドンドン、パフパフーー!
F浦:「ドンドン、パフパフー!」じゃないです! マジでリアルに閉じ込められたんですよ? どうしよう?
E崎:落ち着け! このボタンを押せば、エレベーター管理会社と連絡取れるから。
F浦:そうですけど……。ひっ! で、電気が消えました!
E崎:消えたな。
F浦:いや、私、暗くて狭いところダメなんです。
E崎:引きこもりなのに?
F浦:引きこもりは、関係ないでしょう? 私の部屋は、広くて明るいですよ?
E崎:ああ、そうだな。まぁ、落ち着いて聞いてくれ。
F浦:はい。
E崎:俺は、昔、赤ん坊だった。
F浦:はぁ……。
E崎:……いや、終わりだけど?
F浦:はぁっ? 終わり?
E崎:うん!
F浦:いや、ここは、いい話をするところですよ? ギャグかますところじゃありませんよ?
E崎:そこを、あえてだな……。
F浦:え? 私、責められてる? なんで、「誰でも、昔は赤ん坊でしたよ!」って、ツッコまなかった? って、責められてる?
E崎:まぁ、落ち着け。
F浦:エキサイトさせてるのは、先生ですよ?
E崎:まぁまぁ。
F浦:もう、私、やだぁ!
E崎:あ、電気ついた。
F浦:……つきましたね。
E崎:あ、ドア、開いた。
F浦:……開きましたね。
E崎:どーもー、E崎でーす!
F浦:なんで漫才師風なんですか? サービスマンさんが、あっけに取られてるじゃないですか!
ト書き:間
E崎:ガチャっ。お邪魔しまーす。
F浦:どうぞ。
E崎:F浦ってさぁ。
F浦:はい?
E崎:ツッコミの才能、あるんじゃね?
F浦:開口一番(かいこういちばん)が、それですか?
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