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ステージ4 へラル編
第94話 契約【side:ヘラル】
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「……ふっ。何を言うかと思ったら、まだ威勢を張るつもりなの? あなたに未来は無いわ。あるのは私1人だけなの」
「……なんとでも言えば?」
……困ったな、まだ選択肢が1つだけだ。このままだとワタシ、消えちゃうか。
でも……天汰だけでも生き残ってくれるなら、後悔しないような気がする。
「【青薔薇】……」
残りの魔力を振り絞り、ワタシから放出された青白い光が悪魔を狙う。
だけど、悪魔は避けようともせず全身でワタシの青薔薇を受けて、微笑んだ。
「……残念ね。何回戦っても無駄だと何故分かってくれないの。私は無敵だから孤独だったの……忘れてた?」
「……あなたの、本当の目的は何?」
「本当の目的……? 言ったじゃない、私が『救世主の悪魔』として舞台に立つことよ。私の中の癌が消えて完璧な悪魔に生まれ変わった今の私なら、後はあなたを飲み込むだけで叶う夢」
「本当に……見殺しにしたんだね……さっきの人も。あなたが最初にいた場所の瓦礫の山、孤児院なんでしょ? 調べた情報が当たっているなら、あなたは皆を見殺しにしたのね?」
「しょうがないじゃない。あのぐらいの爆発で死ぬと思っていなかったから」
……どうしようもない、って感想も薄れてきた。本当にワタシのオリジナルなのか信じられないが、1つだけ言えることがある。運営は彼女を信じていない。
「……そっか。ならしょうがないよね、罰が当たってもね」
「――【シキミ】ッ!」
「――ッ」
ツバキが放った毒牙は悪魔目掛けて襲いかかり、悪魔の視界を奪った。
その隙にワタシは悪魔から離れて合流したツバキ達に近付く。
「コイツ……隠れてたのか。ヘラル、平気か?」
「何とかね……」
「その毒は毎秒5億ダメージ入り続けるっす。しかも神経が痺れて目とか使い物にならなくなるっすよ」
「アタシ達のクローンは全部倒しましたよ、ヘラルちゃん!」
「俺達の力、見誤ったな」
……勝てない。これじゃ、まだ。
皆笑っているけどまだまだコイツは力を隠してる。やっぱり、勝つ方法は無いんだ。
だけど、悪魔にハッピーエンドは訪れないから。
「天汰。最後にもう一回だけワタシと合体して。終わらせるんだ」
「……分かった。6人で力合わせたら勝てるってことだな」
天汰の手をそっと握る。全身が天汰の中に吸い込まれていく。
これが最後の抵抗だ。
「……フン」
内なるラルの魂が目覚める。ラルは少し不満げだったが、ワタシの作戦でも察したのかな。
「――来たアァッ!」
「な――」
一瞬で目の前から消えた悪魔はいつの間にかワタシ達の背後に立っていた。
後ろを振り向くと、そこにツバキ達の姿は無くなっていた。
「油断したわね……『目が見えない』? 見る必要なんて元々ないのにね。ヘラル、今すぐそれから離れて。離れる気がないなら、私が無理矢理剥がすわ」
「……我に言っているのか。弱小の神といえ、それ扱いされるほど落ちぶれては――」
「くだらないわ」
悪魔はいとも簡単にワタシと天汰の境目を切り裂く。天汰の身体だというのに、天汰はボロ雑巾のように地面に投げ捨てられた。
悪魔はワタシの首を掴んで持ち上げる。
「さようなら、私の癌細胞」
「どう……なっている。我は……ヘラから……手を……」
「煩いわ。あなたはそれと一緒に生きなさいよ。……悪魔との契約が切れたら、あなたは消滅するんでしたっけ。まあ、興味が無いからどうでもいいわ」
ゆっくりと首を締められていく中、ワタシは1人喜んでいた。
これで、後悔は無いよ。
「天汰、ラル……」
「遺言ね……まぁいいわ。じっくり言葉を考えるがいいわ」
「……あとは、任せるね。皆となら……ワタシ達なんて余裕だよ」
考えてるフリは辞めても良さそうだ。結局これ以外の選択肢が浮かばなかったし、これで行くしかないなぁ。
「ヘラ……我は認めないぞ……まだ……まだじゃないのか……?」
「……あなたもさようなら」
最期に悪魔の聞いたワタシは視界を奪われ、風の音すら聞こえなくなって……何も無くなった。
暗黒の中でワタシは願う。どうか、ワタシが起こした不幸を、ワタシ以外の誰かが夢の続きを終わらせてくれないかと。
さようなら天汰。
「……なんとでも言えば?」
……困ったな、まだ選択肢が1つだけだ。このままだとワタシ、消えちゃうか。
でも……天汰だけでも生き残ってくれるなら、後悔しないような気がする。
「【青薔薇】……」
残りの魔力を振り絞り、ワタシから放出された青白い光が悪魔を狙う。
だけど、悪魔は避けようともせず全身でワタシの青薔薇を受けて、微笑んだ。
「……残念ね。何回戦っても無駄だと何故分かってくれないの。私は無敵だから孤独だったの……忘れてた?」
「……あなたの、本当の目的は何?」
「本当の目的……? 言ったじゃない、私が『救世主の悪魔』として舞台に立つことよ。私の中の癌が消えて完璧な悪魔に生まれ変わった今の私なら、後はあなたを飲み込むだけで叶う夢」
「本当に……見殺しにしたんだね……さっきの人も。あなたが最初にいた場所の瓦礫の山、孤児院なんでしょ? 調べた情報が当たっているなら、あなたは皆を見殺しにしたのね?」
「しょうがないじゃない。あのぐらいの爆発で死ぬと思っていなかったから」
……どうしようもない、って感想も薄れてきた。本当にワタシのオリジナルなのか信じられないが、1つだけ言えることがある。運営は彼女を信じていない。
「……そっか。ならしょうがないよね、罰が当たってもね」
「――【シキミ】ッ!」
「――ッ」
ツバキが放った毒牙は悪魔目掛けて襲いかかり、悪魔の視界を奪った。
その隙にワタシは悪魔から離れて合流したツバキ達に近付く。
「コイツ……隠れてたのか。ヘラル、平気か?」
「何とかね……」
「その毒は毎秒5億ダメージ入り続けるっす。しかも神経が痺れて目とか使い物にならなくなるっすよ」
「アタシ達のクローンは全部倒しましたよ、ヘラルちゃん!」
「俺達の力、見誤ったな」
……勝てない。これじゃ、まだ。
皆笑っているけどまだまだコイツは力を隠してる。やっぱり、勝つ方法は無いんだ。
だけど、悪魔にハッピーエンドは訪れないから。
「天汰。最後にもう一回だけワタシと合体して。終わらせるんだ」
「……分かった。6人で力合わせたら勝てるってことだな」
天汰の手をそっと握る。全身が天汰の中に吸い込まれていく。
これが最後の抵抗だ。
「……フン」
内なるラルの魂が目覚める。ラルは少し不満げだったが、ワタシの作戦でも察したのかな。
「――来たアァッ!」
「な――」
一瞬で目の前から消えた悪魔はいつの間にかワタシ達の背後に立っていた。
後ろを振り向くと、そこにツバキ達の姿は無くなっていた。
「油断したわね……『目が見えない』? 見る必要なんて元々ないのにね。ヘラル、今すぐそれから離れて。離れる気がないなら、私が無理矢理剥がすわ」
「……我に言っているのか。弱小の神といえ、それ扱いされるほど落ちぶれては――」
「くだらないわ」
悪魔はいとも簡単にワタシと天汰の境目を切り裂く。天汰の身体だというのに、天汰はボロ雑巾のように地面に投げ捨てられた。
悪魔はワタシの首を掴んで持ち上げる。
「さようなら、私の癌細胞」
「どう……なっている。我は……ヘラから……手を……」
「煩いわ。あなたはそれと一緒に生きなさいよ。……悪魔との契約が切れたら、あなたは消滅するんでしたっけ。まあ、興味が無いからどうでもいいわ」
ゆっくりと首を締められていく中、ワタシは1人喜んでいた。
これで、後悔は無いよ。
「天汰、ラル……」
「遺言ね……まぁいいわ。じっくり言葉を考えるがいいわ」
「……あとは、任せるね。皆となら……ワタシ達なんて余裕だよ」
考えてるフリは辞めても良さそうだ。結局これ以外の選択肢が浮かばなかったし、これで行くしかないなぁ。
「ヘラ……我は認めないぞ……まだ……まだじゃないのか……?」
「……あなたもさようなら」
最期に悪魔の聞いたワタシは視界を奪われ、風の音すら聞こえなくなって……何も無くなった。
暗黒の中でワタシは願う。どうか、ワタシが起こした不幸を、ワタシ以外の誰かが夢の続きを終わらせてくれないかと。
さようなら天汰。
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