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第5章 魔王の冠編
IF話 ケーキはどこに消えた?
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これは、本編の内容とは関係ありません。
エイプリルフールですので、番外編を更新させていただきました。本編を早く読みたい場合は、次話へお進み下さい。
テーマは4月1日らしく「ありえたかもしれない未来」です。
パラレルワールドの45話において、「ポピーが、リクの存在を思い出していたら」というIF設定の物語です。
リクがポピーと和解し、ポピーも魔王軍に入っていたら……という内容で書いていますので、本編より未来の話ですが、本編とのずれが生じています。
2015年の4月1日も残りわずかですが、楽しんでくださるとうれしいです!
これからも、よろしくお願いします!!
********************************************
リク・バルサックは、鼻歌まじりで廊下を歩いていた。
その表情は普段より柔らかく、こころなしか軽くスキップをしている。
いつものリクは、硬い表情で人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している。それがまったくないなんて、この変わりようはどういうことなのだろうか。おそらくリクにとって、よほど良い出来事があったに違いない。ポピーは顔を綻ばせると、リクに駆け寄った。
「リクちゃん、なにかあったの?」
ポピーは、親しげに話しかける。
ポピーはリクと和解し、配下に加わった当初こそ、ぎこちない関係だった。だが、数ヶ月経った現在は10年以上の溝も埋まっている。ポピーの退魔師や音楽家としての側面を全開に活かし、こちらの損害は一切なくカトリーヌ王女を誘拐した手腕は評価され、ますます仲を深めていた。
……とはいえ、勤務時間中は「友達」ではなく「上官と部下」の関係だ。
いつもならば、「リクちゃんではなく、少将と呼びなさい」と小言を呟かれるのだが、リクは最高に機嫌が良いのだろう。にこにこと微笑んだまま、リクは口を開いた。
「実は、そろそろ出来上がるのよ」
「出来上がる? 先週壊れた鍛錬場の柵なら、とっくに直されているけど」
「違うわ。……実はね、隊長のためにケーキを作ったの」
リクの答えに、ポピーは目を丸くさせた。
リクは自他共に知られる魔王軍有数の怪力で、ついには少将までのし上がった女だ。しかし、才能を全て力に集約してしまっているのか、筆記はもちろん、裁縫や洗濯などの女子力は目を覆いたくなるくらい低い。それは、料理に対してもいえることであり、ポピーはリクが自炊している姿を一度もみたことがなかった。
「えっ、リクちゃんって料理できたの!?」
ポピーは、なんだか不安になってきた。
友達のことを悪く言いたくはないけど、リクが「料理のいろは」を知っているかどうかすら怪しい。卵を割る工程を面倒くさがり、そのままボウルへ投入しそうな気がする。
「えっと……作り方、大丈夫? そのケーキ、変な臭いとかしなかった?」
すると、リクは心外だとばかり眉間に皺を寄せた。リクは腰に軽く手を当てながら、ため息をつく。
「アスティからゴルトベルク家秘伝の料理本を借りたから、問題ないわ。
ちゃんとロップに手伝って貰ったし、味見や調理工程も確認済み。あとは、隊長の休憩時間のわずかな瞬間を狙って持っていくだけ。だから、何も心配ないわ」
「そっか。アスティさんやロップ君が手伝ってくれたんだね。良かった……てっきり、アドラー中将を酸の海に沈めるケーキが出来たらどうしようかと……」
「そんな殺人ケーキ、出すわけないじゃない」
「それもそっか。疑ってごめんね」
あはは、と互いに笑いながら、2人は厨房の扉を開いた。
厨房といっても、執務室の横に備え付けられた簡易的な所だ。大食堂に隣接する厨房よりも広くなく、もっぱら小腹がすいたときの簡単な炊事用として使われている。
「それで、ケーキは何処にあるの?」
「作業台の上よ」
ポピーが尋ねると、リクは作業台へと視線を向けた。
しかし……作業台の上には、なにも置かれていない。リクが作ったケーキはもちろん、それが置いてあった皿も、切り分けるためのナイフも、食べるために用意しておいたフォークすら、見事なまでに姿を消していた。
「け、ケーキが……!!」
相当、ショックだったのだろう。ポピーが見ている前で、リクは崩れ落ちてしまった。ポピーは慰めようと、リクの背中を慌てて擦った。
「お、落ち着いて、リクちゃん。きっと、別の場所に置いてたんだよ」
「……ケーキの臭いがしない」
「えっ?」
「……レーヴェン隊長のために作った、ケーキの臭いがしない……」
リクの身体が、わなわなと震えはじめる。のほほんとした穏やかな色は消え失せ、代わりに狂気に満ちた顔へと変わり始めていた。
「スポンジを焼いて、砂糖衣を塗って、カルカタ産の初物ブドウやミューズの野イチゴ、朝摘んできた可憐な花でトッピングして……私は、レーヴェン隊長の笑顔が見たかったから、あのケーキを心を込めて作ったのに!!」
「り、リクちゃん?」
ポピーは、ぎょっとした。リクの目は、戦場を駆けていた時のように血走っていた。乾いた笑い声をあげながら、ケーキがあった位置を睨みつけている。
ケーキを食べた、あるいは盗んだ相手を、殺さんばかりの勢いだった。
「さて、レーヴェン隊長のケーキを食べたのは誰かしら?」
じろり、と、リクの双眸がポピーに向けられる。ケーキを食べたーなんて誤解ごときで、リクに殺されてはたまったものではない。ポピーは、勢いよく横に首を振った。
「私じゃないよ。だって、朝からずっと向こうの鍛錬場で、他の魔族兵たちと鍛錬していたんだから。こっちに来たのは、他の魔族から集めた書類を提出して来ただけ。リクに会ったのは、その帰り道よ」
「……そうね、ほとんどの魔族兵は朝からこの時間まで、ずっと鍛錬場にいる」
リクの目から疑いの色が消え、ポピーは心の中で安堵の息を溢した。
「つまり、ほとんどの魔族兵は白だということだよ」
「……ならば、鍛錬場にいなかった魔族兵が犯人ね……つまり、休暇を取っていた魔族」
リクはポピーから視線を逸らすと、腕を組んで部屋を歩き始めた。リクは指を顎に軽く沿え、思案顔で部屋を回る。
「確か、休暇を取っていた魔族はロップとアスティだったかしら?」
「あと、ピグロ参謀も休暇を取っていたと思うよ」
ポピーは、リクの呟きに言葉を付け足した。
他にも考えられるのは、休暇はとっていないが鍛錬場にいなかった魔族。つまり、最初から厨房がある棟で仕事をしていた魔族だが、それはレーヴェン・アドラーしかいない。彼が鍛錬場まで足を運ぶことは少なく、一日の大半を書類の整理に費やしている。だが、レーヴェン自ら厨房に足を運ぶ姿を一度も見たことがない以上、最初から彼を白だと考えて良いだろう。
つまり、容疑者は3人。
ロップ・ネザーランド。
アスティ・ゴルトベルク。
そして、ピグロ・オビスだ。
「でも、3人ともケーキを盗むような魔族じゃないと思うけどね」
ポピーは、自分自身に言い聞かせるように呟いた。
まず、ロップは勝手に人の物を盗み出すような性格ではない。あのおどおどとした伝令部隊の兵士が、わざわざ一緒に作ったケーキを盗み出すとは考えられなかった。
次に、アスティ・ゴルトベルク。これも、わざわざケーキを盗むとは思えない。ポピーは直接会ったことがないのだが、アスティの祖父は魔王軍の中将だ。戦に負けた結果、彼の権威は失墜してしまったらしいが、それでも財産を蓄えている。アスティは素人の作った手作りケーキなど盗まなくても、もっと高級なケーキをいつでも食べることが出来るお嬢様なのだ。
最後に、ピグロ・オビス参謀。ポピーは、彼とあまり話したことがない。だけれども、ネクタイを締め、制服のボタンをすべて嵌めているところを見る限り、神経質で潔白な魔族だと推察できる。その魔族が、たかがケーキを食べたいがためだけに、こそこそと盗みを犯す真似をするのだろうか。
「うーん、さっぱり分からないな」
「いいえ。分かったわ、犯人が」
ポピーが唸っていると、リクは口角を上げた。リクの声は、どこまでも確信に満ちている。ポピーは、目を丸くさせた。
「分かったの、リクちゃん!?」
盗んだ方法はまだしも、どの容疑者にも盗む動機がそんざいしない。それなのにもかかわらず、この短時間でリクは犯人を導き出したのだ。ポピーが注目する中、リクは音を立てず、しずしずと扉に近づき取っ手をつかむ。
「ええ。私が丹精込めて作ったケーキを盗んだ悪党は……」
リクは、思いっきり開け放った。扉の向こうには、1人の魔族が立っていた。その魔族の姿を見て、ポピーはあっと口を抑えてしまう。
驚いたように立ちすくんだ魔族めがけて、リクは迷うことなく人差し指を向けた。
「犯人は、貴方ね……ロップ・ネザーランド!!」
「え、ええ!!? 濡れ衣ですよ!!」
ウサギ耳をピクピク動かしながら、ロップは心外だと顔を青ざめさせる。
「しらじらしいわね、犯人は現場に戻ってくると相場決まっているのよ」
「意味分かりません! そもそも、犯人ってなんですか!? 僕、なにも悪いことしていませんよ!」
「上官に嘘をつくなんてね、しらじらしいわよ。
この私が……日頃から執務でお忙しいレーヴェン隊長に、最高のケーキを御馳走しようと企んでいたのに!!」
リクの発言に、ポピーは思わず「企むって、何か間違っているよ」とツッコミを入れたくなった。だが、それを言ったところでリクの怒りが飛び火してきたら怖いので、ポピーは口を噤んだ。
そんなポピーの気持ちなど露知らず、リクはハルバードを握りしめながら、ゆっくりロップとの距離を詰め始めていた。
「冥途へ向かう準備は出来た? なにか言い残した言葉はないかしら?」
「ま、ま、待ってください、リク少将! 僕は、ケーキに合う茶葉を買いに行っていただけです!」
そう言いながら、ロップはリクの前に茶袋を差し出した。
ポピーは、固まってしまったリクの代わりに茶袋を受け取る。封を切ってみれば、ふんわりとした優しい匂いが鼻をくすぐった。明らかに高級な茶葉であり、この周辺の店で売っているような品物ではない。
きっと、ロップの伝令兵として鍛え抜かれた脚力が、この短期間での購入を可能にしたのだろう。
「ケーキの味見を終えた後、すぐに買いに行ったんです。えっと……ケーキといえば、紅茶ですから」
ロップは、本当に先程帰って来たばかりなのだろう。足元には泥がこびりつき、いかにも外で作業をしていた雰囲気が漂っていた。
「……そうね、疑って悪かったわ。ごめんなさい、曹長」
リクは武器をしまい、素直に頭を下げる。すると、ロップはますます顔を青ざめさせた。その表情は、すでに蒼を通り越して、白に近い色になっている。
「い、いいえ。言わなかった僕も悪いですし……」
「いえ、私が悪かったわ。冤罪をかけられるほど、嫌なことはないもの……これからは、もう少し注意深く審議するわ」
そして、犯人を見つけるの……と、リクは不敵な笑みを浮かべる。
ポピーとロップは、ぞくりと背筋を震わせた。だが、2人を恐怖で震わせたことなど微塵も考えず、リクは再び思考の海に沈んでいく。
「ロップが外れるとするならば、容疑者はアスティかピグロ参謀ね」
「でも、アスティさん達がケーキを盗むなんて、考えられないけど……」
「……いや、アスティなら『お腹減ったでござるー』と、目の前にあったケーキを食べかねないわ」
リクは、ぽつりと呟いた。
アスティは、ケーキを買えないくらい家計が困窮しているわけではない。だが、アスティは少し頭のネジが外れている。女の子なのに「ござる」という語尾を使い、ふわふわと漂うように生きているのだ。ポピーは、リクの言い分に賛同した。
「そうね、リクの言う通り……もし、アスティさんのお腹が減っている状態で、厨房に入って目の前にケーキがおいてあったら『これは、天の恵みでござるー! ありがたく頂戴するでござるよー』とか言いながら、ばくばくと食べちゃいそう」
ただ、アスティの場合、ケーキを持ち帰ることはしない。
その場で食べて、皿は置いたまま立ち去る気がする。ポピーとリクが頭を抱えていると、ロップがおずおずと手を挙げた。
「えっと、すみません。良く分からないんですけど、アスティ少尉もピグロ参謀も無理だと思います」
「「えっ?」」
リクの声とポピーの声が重なる。2人の驚いたような視線を受け、ロップはごくりと唾をのんだ。緊張しているのだろうか、額から汗が滲み始めていた。
「参謀は、シャルロッテ魔王代行様の命令で王都へ出かけていますし、アスティ少尉は祖父様のゴルトベルク中将の所へ遊びに行っています。たしか、外出届を出していたと思いますが……」
「あー……そうね。確かに、昨日……本を借りた時に、外出届を受理したような気がするわ」
ロップの言葉を受けて、リクは納得したように頷く。
確かに、今日はアスティの姿もピグロの姿も見ていない。もともと、この場所にいないのであれば食べるのは不可能だ。わざわざ戻ってきて、ケーキだけ食べて帰っていく方が不自然すぎる。
「でも、そうなると容疑者はいないよ」
ロップは、しっかり白。
ポピー自身は、もちろん白。
レーヴェンも、恐らく白。
リクに至っては、本人なので確実に白だ。
犯行を行える魔族が、この場所に存在しない。
「でも、ケーキは消えてる。絶対に何処かに……」
犯人が、と言ったその時だった。
「おい、嬢ちゃん。ちょっと書類のことで相談があるんだけどよー」
停滞の空気が漂う厨房に、第三者が姿を現した。
リクの教育係、ヴルスト・アステロイドが天井にまで届きそうな書類の束を抱えている。リク達3人の視線は、ヴルストに集められた。
「あん? なんだよ、そろいもそろって何してんだ?」
「何してんだ、は、こちらの台詞よ」
リクが問いかけると、ヴルストは疲れたように長い息を吐いた。
「決まってんだろ、仕事だよ仕事。鍛錬場の柵壊した罰で、今日一日はレーヴェン隊長の執務手伝いをさせられてんだ」
その瞬間、ポピーは隣に立っているリクが纏う空気の色が変わったことを察した。ヴルストに対する嫉妬や羨む色が、少しずつ漂い始めている。
「……そう。今日一日は、ずっと、ずっと、ずっとレーヴェン隊長の手伝いをすることが出来ていたのね、上官の私を差し置いて」
そう言いながら、リクは再びハルバードを抜き放つ。鋭く輝く斧先は、まっすぐヴルストの胸に向けられていた。このままでは、無実のヴルストに飛びかかりそうな勢いだ。ポピーは、咄嗟にリクの腕をつかんだ。
「ちょ、リク! 落ち着いて」
「落ち着いてください、少将! 僕たちがしていることは、ケーキを盗んだ犯人探しです!!」
ロップも、ポピーと同じことを考えたのだろう。ポピーがつかんだ反対側の腕に、ぎゅっとしがみついている。リクは「はなせ」とでも言いたげな冷たい視線を、迷うことなく2人に投げかけてきた。しかし、そんな緊迫した空気を知ってか知らずか、ヴルストは爆弾を投下する。
「あー、あそこにあったケーキか? 悪いけど、あれは俺が処分させてもらった」
「処分!?」
3人の動きが、ほぼ同時に停止した。
「……なんで……処分したの?」
リクが真っ先に問いただす。
ポピーは2人の関係を詳しく知らないが、ヴルストは長年教育係として誰よりもリクと生活を共にしている。2人の間には、見えない絆のようなモノがあるのかもしれない。その人物に誠心誠意こめて造り上げたケーキを台無しにされたとあれば、罰を与えるよりも先に理由が欲しいのだろう。
ヴルストは、どさりと書類を作業台の上に置いた。
「答えなさい。ケーキの見た目? それとも、味? 何が悪かっての?」
「バーカ。見た目も味も申し分ないケーキだったよ。……お前さ、なんで?って聞かなくても分かるだろう」
そして、ヴルストは静かに言葉を紡いだ。
「いくらなんでも『睡眠薬』入りのケーキなんざ、隊長に出せるわけがないだろうが。
一口味見しただけで、くらりっと立ち眩みしたぞ?」
「別にいいじゃない、ヴルスト少尉。最近、隊長は仕事に追われて寝ていないみたいなの。だから、睡眠時間を確保してあげなければならないわ」
「だからって、上司に一服盛るのを教育係として見過ごせるか!」
「私は貴方の上官よ。上官の命令に逆らう気?
それに、これは全てレーヴェン隊長のため。たとえ罰を受けることになっても、甘んじて受け入れるわ」
「バーカ! そもそも罰を受けるようなことをするんじゃねーよ!」
徐々に2人の口喧嘩は、苛烈を極めていく。
ポピーとロップが口を開けてみている間に、2人は互いに武器を交わし始めた。剣を振るう手を片時も止めることなく、言葉で互いに自分の正当性を主張する。
「あれ、どうします?」
ロップが、困ったように見上げてきた。ポピーは疲れたように肩を落とすと、ロップの頭を軽く叩いた。
「ほっときましょう」
ポピーは、ここから早く消えることを決めた。
リクもヴルストも怒りに震えながらも、どこか子供のように無邪気な笑みを浮かべている。しかも、2人は楽器とは比べ物にならないくらい物騒なコミュニケーション手段を使っている。それでも、ポピーは楽しそうなリクを見ることが出来て安心した。
ここは、もう自分の出る幕ではない。自分の元いた場所に戻ることが、ポピーの最優先事項なのだろう。
仲良く戦う二人を尻目に、ポピーは厨房を後にするのだった。
……ちなみに、この数分後、レーヴェンが「うるさい」と厨房に怒鳴り込んで来るのだが……ポピーには関係ないことなのであった。
エイプリルフールですので、番外編を更新させていただきました。本編を早く読みたい場合は、次話へお進み下さい。
テーマは4月1日らしく「ありえたかもしれない未来」です。
パラレルワールドの45話において、「ポピーが、リクの存在を思い出していたら」というIF設定の物語です。
リクがポピーと和解し、ポピーも魔王軍に入っていたら……という内容で書いていますので、本編より未来の話ですが、本編とのずれが生じています。
2015年の4月1日も残りわずかですが、楽しんでくださるとうれしいです!
これからも、よろしくお願いします!!
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リク・バルサックは、鼻歌まじりで廊下を歩いていた。
その表情は普段より柔らかく、こころなしか軽くスキップをしている。
いつものリクは、硬い表情で人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している。それがまったくないなんて、この変わりようはどういうことなのだろうか。おそらくリクにとって、よほど良い出来事があったに違いない。ポピーは顔を綻ばせると、リクに駆け寄った。
「リクちゃん、なにかあったの?」
ポピーは、親しげに話しかける。
ポピーはリクと和解し、配下に加わった当初こそ、ぎこちない関係だった。だが、数ヶ月経った現在は10年以上の溝も埋まっている。ポピーの退魔師や音楽家としての側面を全開に活かし、こちらの損害は一切なくカトリーヌ王女を誘拐した手腕は評価され、ますます仲を深めていた。
……とはいえ、勤務時間中は「友達」ではなく「上官と部下」の関係だ。
いつもならば、「リクちゃんではなく、少将と呼びなさい」と小言を呟かれるのだが、リクは最高に機嫌が良いのだろう。にこにこと微笑んだまま、リクは口を開いた。
「実は、そろそろ出来上がるのよ」
「出来上がる? 先週壊れた鍛錬場の柵なら、とっくに直されているけど」
「違うわ。……実はね、隊長のためにケーキを作ったの」
リクの答えに、ポピーは目を丸くさせた。
リクは自他共に知られる魔王軍有数の怪力で、ついには少将までのし上がった女だ。しかし、才能を全て力に集約してしまっているのか、筆記はもちろん、裁縫や洗濯などの女子力は目を覆いたくなるくらい低い。それは、料理に対してもいえることであり、ポピーはリクが自炊している姿を一度もみたことがなかった。
「えっ、リクちゃんって料理できたの!?」
ポピーは、なんだか不安になってきた。
友達のことを悪く言いたくはないけど、リクが「料理のいろは」を知っているかどうかすら怪しい。卵を割る工程を面倒くさがり、そのままボウルへ投入しそうな気がする。
「えっと……作り方、大丈夫? そのケーキ、変な臭いとかしなかった?」
すると、リクは心外だとばかり眉間に皺を寄せた。リクは腰に軽く手を当てながら、ため息をつく。
「アスティからゴルトベルク家秘伝の料理本を借りたから、問題ないわ。
ちゃんとロップに手伝って貰ったし、味見や調理工程も確認済み。あとは、隊長の休憩時間のわずかな瞬間を狙って持っていくだけ。だから、何も心配ないわ」
「そっか。アスティさんやロップ君が手伝ってくれたんだね。良かった……てっきり、アドラー中将を酸の海に沈めるケーキが出来たらどうしようかと……」
「そんな殺人ケーキ、出すわけないじゃない」
「それもそっか。疑ってごめんね」
あはは、と互いに笑いながら、2人は厨房の扉を開いた。
厨房といっても、執務室の横に備え付けられた簡易的な所だ。大食堂に隣接する厨房よりも広くなく、もっぱら小腹がすいたときの簡単な炊事用として使われている。
「それで、ケーキは何処にあるの?」
「作業台の上よ」
ポピーが尋ねると、リクは作業台へと視線を向けた。
しかし……作業台の上には、なにも置かれていない。リクが作ったケーキはもちろん、それが置いてあった皿も、切り分けるためのナイフも、食べるために用意しておいたフォークすら、見事なまでに姿を消していた。
「け、ケーキが……!!」
相当、ショックだったのだろう。ポピーが見ている前で、リクは崩れ落ちてしまった。ポピーは慰めようと、リクの背中を慌てて擦った。
「お、落ち着いて、リクちゃん。きっと、別の場所に置いてたんだよ」
「……ケーキの臭いがしない」
「えっ?」
「……レーヴェン隊長のために作った、ケーキの臭いがしない……」
リクの身体が、わなわなと震えはじめる。のほほんとした穏やかな色は消え失せ、代わりに狂気に満ちた顔へと変わり始めていた。
「スポンジを焼いて、砂糖衣を塗って、カルカタ産の初物ブドウやミューズの野イチゴ、朝摘んできた可憐な花でトッピングして……私は、レーヴェン隊長の笑顔が見たかったから、あのケーキを心を込めて作ったのに!!」
「り、リクちゃん?」
ポピーは、ぎょっとした。リクの目は、戦場を駆けていた時のように血走っていた。乾いた笑い声をあげながら、ケーキがあった位置を睨みつけている。
ケーキを食べた、あるいは盗んだ相手を、殺さんばかりの勢いだった。
「さて、レーヴェン隊長のケーキを食べたのは誰かしら?」
じろり、と、リクの双眸がポピーに向けられる。ケーキを食べたーなんて誤解ごときで、リクに殺されてはたまったものではない。ポピーは、勢いよく横に首を振った。
「私じゃないよ。だって、朝からずっと向こうの鍛錬場で、他の魔族兵たちと鍛錬していたんだから。こっちに来たのは、他の魔族から集めた書類を提出して来ただけ。リクに会ったのは、その帰り道よ」
「……そうね、ほとんどの魔族兵は朝からこの時間まで、ずっと鍛錬場にいる」
リクの目から疑いの色が消え、ポピーは心の中で安堵の息を溢した。
「つまり、ほとんどの魔族兵は白だということだよ」
「……ならば、鍛錬場にいなかった魔族兵が犯人ね……つまり、休暇を取っていた魔族」
リクはポピーから視線を逸らすと、腕を組んで部屋を歩き始めた。リクは指を顎に軽く沿え、思案顔で部屋を回る。
「確か、休暇を取っていた魔族はロップとアスティだったかしら?」
「あと、ピグロ参謀も休暇を取っていたと思うよ」
ポピーは、リクの呟きに言葉を付け足した。
他にも考えられるのは、休暇はとっていないが鍛錬場にいなかった魔族。つまり、最初から厨房がある棟で仕事をしていた魔族だが、それはレーヴェン・アドラーしかいない。彼が鍛錬場まで足を運ぶことは少なく、一日の大半を書類の整理に費やしている。だが、レーヴェン自ら厨房に足を運ぶ姿を一度も見たことがない以上、最初から彼を白だと考えて良いだろう。
つまり、容疑者は3人。
ロップ・ネザーランド。
アスティ・ゴルトベルク。
そして、ピグロ・オビスだ。
「でも、3人ともケーキを盗むような魔族じゃないと思うけどね」
ポピーは、自分自身に言い聞かせるように呟いた。
まず、ロップは勝手に人の物を盗み出すような性格ではない。あのおどおどとした伝令部隊の兵士が、わざわざ一緒に作ったケーキを盗み出すとは考えられなかった。
次に、アスティ・ゴルトベルク。これも、わざわざケーキを盗むとは思えない。ポピーは直接会ったことがないのだが、アスティの祖父は魔王軍の中将だ。戦に負けた結果、彼の権威は失墜してしまったらしいが、それでも財産を蓄えている。アスティは素人の作った手作りケーキなど盗まなくても、もっと高級なケーキをいつでも食べることが出来るお嬢様なのだ。
最後に、ピグロ・オビス参謀。ポピーは、彼とあまり話したことがない。だけれども、ネクタイを締め、制服のボタンをすべて嵌めているところを見る限り、神経質で潔白な魔族だと推察できる。その魔族が、たかがケーキを食べたいがためだけに、こそこそと盗みを犯す真似をするのだろうか。
「うーん、さっぱり分からないな」
「いいえ。分かったわ、犯人が」
ポピーが唸っていると、リクは口角を上げた。リクの声は、どこまでも確信に満ちている。ポピーは、目を丸くさせた。
「分かったの、リクちゃん!?」
盗んだ方法はまだしも、どの容疑者にも盗む動機がそんざいしない。それなのにもかかわらず、この短時間でリクは犯人を導き出したのだ。ポピーが注目する中、リクは音を立てず、しずしずと扉に近づき取っ手をつかむ。
「ええ。私が丹精込めて作ったケーキを盗んだ悪党は……」
リクは、思いっきり開け放った。扉の向こうには、1人の魔族が立っていた。その魔族の姿を見て、ポピーはあっと口を抑えてしまう。
驚いたように立ちすくんだ魔族めがけて、リクは迷うことなく人差し指を向けた。
「犯人は、貴方ね……ロップ・ネザーランド!!」
「え、ええ!!? 濡れ衣ですよ!!」
ウサギ耳をピクピク動かしながら、ロップは心外だと顔を青ざめさせる。
「しらじらしいわね、犯人は現場に戻ってくると相場決まっているのよ」
「意味分かりません! そもそも、犯人ってなんですか!? 僕、なにも悪いことしていませんよ!」
「上官に嘘をつくなんてね、しらじらしいわよ。
この私が……日頃から執務でお忙しいレーヴェン隊長に、最高のケーキを御馳走しようと企んでいたのに!!」
リクの発言に、ポピーは思わず「企むって、何か間違っているよ」とツッコミを入れたくなった。だが、それを言ったところでリクの怒りが飛び火してきたら怖いので、ポピーは口を噤んだ。
そんなポピーの気持ちなど露知らず、リクはハルバードを握りしめながら、ゆっくりロップとの距離を詰め始めていた。
「冥途へ向かう準備は出来た? なにか言い残した言葉はないかしら?」
「ま、ま、待ってください、リク少将! 僕は、ケーキに合う茶葉を買いに行っていただけです!」
そう言いながら、ロップはリクの前に茶袋を差し出した。
ポピーは、固まってしまったリクの代わりに茶袋を受け取る。封を切ってみれば、ふんわりとした優しい匂いが鼻をくすぐった。明らかに高級な茶葉であり、この周辺の店で売っているような品物ではない。
きっと、ロップの伝令兵として鍛え抜かれた脚力が、この短期間での購入を可能にしたのだろう。
「ケーキの味見を終えた後、すぐに買いに行ったんです。えっと……ケーキといえば、紅茶ですから」
ロップは、本当に先程帰って来たばかりなのだろう。足元には泥がこびりつき、いかにも外で作業をしていた雰囲気が漂っていた。
「……そうね、疑って悪かったわ。ごめんなさい、曹長」
リクは武器をしまい、素直に頭を下げる。すると、ロップはますます顔を青ざめさせた。その表情は、すでに蒼を通り越して、白に近い色になっている。
「い、いいえ。言わなかった僕も悪いですし……」
「いえ、私が悪かったわ。冤罪をかけられるほど、嫌なことはないもの……これからは、もう少し注意深く審議するわ」
そして、犯人を見つけるの……と、リクは不敵な笑みを浮かべる。
ポピーとロップは、ぞくりと背筋を震わせた。だが、2人を恐怖で震わせたことなど微塵も考えず、リクは再び思考の海に沈んでいく。
「ロップが外れるとするならば、容疑者はアスティかピグロ参謀ね」
「でも、アスティさん達がケーキを盗むなんて、考えられないけど……」
「……いや、アスティなら『お腹減ったでござるー』と、目の前にあったケーキを食べかねないわ」
リクは、ぽつりと呟いた。
アスティは、ケーキを買えないくらい家計が困窮しているわけではない。だが、アスティは少し頭のネジが外れている。女の子なのに「ござる」という語尾を使い、ふわふわと漂うように生きているのだ。ポピーは、リクの言い分に賛同した。
「そうね、リクの言う通り……もし、アスティさんのお腹が減っている状態で、厨房に入って目の前にケーキがおいてあったら『これは、天の恵みでござるー! ありがたく頂戴するでござるよー』とか言いながら、ばくばくと食べちゃいそう」
ただ、アスティの場合、ケーキを持ち帰ることはしない。
その場で食べて、皿は置いたまま立ち去る気がする。ポピーとリクが頭を抱えていると、ロップがおずおずと手を挙げた。
「えっと、すみません。良く分からないんですけど、アスティ少尉もピグロ参謀も無理だと思います」
「「えっ?」」
リクの声とポピーの声が重なる。2人の驚いたような視線を受け、ロップはごくりと唾をのんだ。緊張しているのだろうか、額から汗が滲み始めていた。
「参謀は、シャルロッテ魔王代行様の命令で王都へ出かけていますし、アスティ少尉は祖父様のゴルトベルク中将の所へ遊びに行っています。たしか、外出届を出していたと思いますが……」
「あー……そうね。確かに、昨日……本を借りた時に、外出届を受理したような気がするわ」
ロップの言葉を受けて、リクは納得したように頷く。
確かに、今日はアスティの姿もピグロの姿も見ていない。もともと、この場所にいないのであれば食べるのは不可能だ。わざわざ戻ってきて、ケーキだけ食べて帰っていく方が不自然すぎる。
「でも、そうなると容疑者はいないよ」
ロップは、しっかり白。
ポピー自身は、もちろん白。
レーヴェンも、恐らく白。
リクに至っては、本人なので確実に白だ。
犯行を行える魔族が、この場所に存在しない。
「でも、ケーキは消えてる。絶対に何処かに……」
犯人が、と言ったその時だった。
「おい、嬢ちゃん。ちょっと書類のことで相談があるんだけどよー」
停滞の空気が漂う厨房に、第三者が姿を現した。
リクの教育係、ヴルスト・アステロイドが天井にまで届きそうな書類の束を抱えている。リク達3人の視線は、ヴルストに集められた。
「あん? なんだよ、そろいもそろって何してんだ?」
「何してんだ、は、こちらの台詞よ」
リクが問いかけると、ヴルストは疲れたように長い息を吐いた。
「決まってんだろ、仕事だよ仕事。鍛錬場の柵壊した罰で、今日一日はレーヴェン隊長の執務手伝いをさせられてんだ」
その瞬間、ポピーは隣に立っているリクが纏う空気の色が変わったことを察した。ヴルストに対する嫉妬や羨む色が、少しずつ漂い始めている。
「……そう。今日一日は、ずっと、ずっと、ずっとレーヴェン隊長の手伝いをすることが出来ていたのね、上官の私を差し置いて」
そう言いながら、リクは再びハルバードを抜き放つ。鋭く輝く斧先は、まっすぐヴルストの胸に向けられていた。このままでは、無実のヴルストに飛びかかりそうな勢いだ。ポピーは、咄嗟にリクの腕をつかんだ。
「ちょ、リク! 落ち着いて」
「落ち着いてください、少将! 僕たちがしていることは、ケーキを盗んだ犯人探しです!!」
ロップも、ポピーと同じことを考えたのだろう。ポピーがつかんだ反対側の腕に、ぎゅっとしがみついている。リクは「はなせ」とでも言いたげな冷たい視線を、迷うことなく2人に投げかけてきた。しかし、そんな緊迫した空気を知ってか知らずか、ヴルストは爆弾を投下する。
「あー、あそこにあったケーキか? 悪いけど、あれは俺が処分させてもらった」
「処分!?」
3人の動きが、ほぼ同時に停止した。
「……なんで……処分したの?」
リクが真っ先に問いただす。
ポピーは2人の関係を詳しく知らないが、ヴルストは長年教育係として誰よりもリクと生活を共にしている。2人の間には、見えない絆のようなモノがあるのかもしれない。その人物に誠心誠意こめて造り上げたケーキを台無しにされたとあれば、罰を与えるよりも先に理由が欲しいのだろう。
ヴルストは、どさりと書類を作業台の上に置いた。
「答えなさい。ケーキの見た目? それとも、味? 何が悪かっての?」
「バーカ。見た目も味も申し分ないケーキだったよ。……お前さ、なんで?って聞かなくても分かるだろう」
そして、ヴルストは静かに言葉を紡いだ。
「いくらなんでも『睡眠薬』入りのケーキなんざ、隊長に出せるわけがないだろうが。
一口味見しただけで、くらりっと立ち眩みしたぞ?」
「別にいいじゃない、ヴルスト少尉。最近、隊長は仕事に追われて寝ていないみたいなの。だから、睡眠時間を確保してあげなければならないわ」
「だからって、上司に一服盛るのを教育係として見過ごせるか!」
「私は貴方の上官よ。上官の命令に逆らう気?
それに、これは全てレーヴェン隊長のため。たとえ罰を受けることになっても、甘んじて受け入れるわ」
「バーカ! そもそも罰を受けるようなことをするんじゃねーよ!」
徐々に2人の口喧嘩は、苛烈を極めていく。
ポピーとロップが口を開けてみている間に、2人は互いに武器を交わし始めた。剣を振るう手を片時も止めることなく、言葉で互いに自分の正当性を主張する。
「あれ、どうします?」
ロップが、困ったように見上げてきた。ポピーは疲れたように肩を落とすと、ロップの頭を軽く叩いた。
「ほっときましょう」
ポピーは、ここから早く消えることを決めた。
リクもヴルストも怒りに震えながらも、どこか子供のように無邪気な笑みを浮かべている。しかも、2人は楽器とは比べ物にならないくらい物騒なコミュニケーション手段を使っている。それでも、ポピーは楽しそうなリクを見ることが出来て安心した。
ここは、もう自分の出る幕ではない。自分の元いた場所に戻ることが、ポピーの最優先事項なのだろう。
仲良く戦う二人を尻目に、ポピーは厨房を後にするのだった。
……ちなみに、この数分後、レーヴェンが「うるさい」と厨房に怒鳴り込んで来るのだが……ポピーには関係ないことなのであった。
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