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第5章 魔王の冠編

49話 黄昏色の軍議

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 リクは梯子を上ると、神殿の見張り台に辿り着いた。
 太陽は傾き、島の周囲を囲む海を橙色に染めている。見張りの魔族にしばらく下がるように命令すると、リクは縁に寄りかかった。夕焼け色と同じ赤い髪が、潮風に揺れる。リクは髪を抑えながら、忌々しい海を睨みつけた。海は元々良い思い出がなかったが、今回の任務を通してますます嫌いになった気がする。

「やっと見つけたぜ、嬢ちゃん」

 リクが苛立ちを募らせていると、後ろから声をかけられる。遠眼鏡を手にしたヴルストが、梯子を上ってきたところだった。このような事態だというのに、へなっとした笑顔を崩さない。リクは眉間にしわを寄せた。

「何か用?」
「バーカ、決まってるだろ。連中あれの対策を練るためさ」

 ヴルストは、遠眼鏡を海の方向へ向けた。そちらに視線を向けなくても、忌々しい連中の姿は視界に入ってくる。
 

 現在、シェール島は四方を10隻の軍艦で包囲されていた。

 シェール島に軍艦が迫っていることに気が付いたのは、今日の明け方だった。……今からさかのぼること数日前、退魔師の残党を制圧すると、すぐに魔王の冠探しに取り掛かった。しかし、天まで届くほど広大な宝物庫から冠らしき品物を探し出すだけでひと苦労だった。宝物庫は「あらゆる欲望を禁制している」と謳い文句文句のついた退魔師神殿とは思えないくらい充実しており、3日3晩かかっても全ての宝を調べることが出来なかった。
 使い道に困る程の黄金の山を見て、リクが疲れ始めた頃……フェルト陥落の知らせと退魔師の軍勢が迫ってきている報告が同時に入ったのだ。

「本当に、どうすれば良いのかしらね……」
「んなもの、打って出れば良いだろ? こっちにも連中の残した軍艦はあるじゃねぇか」
「それこそ、下策だわ」

 リクは、ヴルストの意見を一蹴した。そして、港に停泊されたままの軍艦を横目で見つめた。

「フェルト陥落の一報と同時だった。つまり、連中は攻め落とした足ですぐにシェール島まで来たってことよ」
「なら、疲れている今を狙うのがいいんじゃねぇの?」
「海戦の対策をしている奴に、海戦を挑むわけにはいかないわ」

 一応、リクは軍法書を読んだことがあった。海戦の知識も身に着けており、すぐに諳んじることくらい出来る。だが、実際に海戦を行った経験などない。もちろん経験のなさを、海戦回避の言い訳にするつもりはない。経験がないからといってやらないのは、まだ勉強していない計算方法だから出来ない、ということと同じ発想だ。今回の問題は別にある。
 
「そもそもよ? どうして連中は、すぐにここに来たのかしら」
「そりゃ……ここが俺ら魔族に襲われてるから……って、確かに変だな」

 リクの問いかけに、ヴルストは悩んだように腕を組んだ。

「フェルトを落してから準備したにしちゃ、あまりにも敵が攻めてくる時間が短すぎる……ってことは、最初からフェルト攻略した後に、シェール島も落す予定だったってことか?」
「可能性としては、だけど」

 万が一、この推測が正解だった場合、「魔王の冠」発見の知らせは誤報だった可能性が非常に濃くなる。いくら探しても、それらしき物は見つからないわけだ。

「わざと誘き寄せて、魔族を一網打尽にするという作戦ね。神殿との戦いに疲弊したところを、討ち取るつもりなのだろうけど……計算外は、意外とあっけなく神殿側が負けたってことかしら。船の数でいえば、同じくらいだし、どの船も無傷よ。だって、海戦やっていないんだもの」
「……ならやっぱり攻めた方が良いんじゃね?」
「だけれども、使えるのは退魔師たちの船よ?」

 リク達は退魔師たちの船について詳しく知らないが、敵側は違う。使い慣れ、長所も短所も知り尽くした船だ。そのような船で挑むなど、危険が高すぎる。わざと海戦を回避するために、商船を調達したことが裏目に出てしまった。リクは頭を軽く抱えた。

「……問題は、どうして連中が攻めてこないのかよ」

 1日経過したが、上陸してくる気配がない。もちろん、夜襲には警戒する。だけれども、それにしても好戦しようとする気配がまるで見受けられない。ただただ、威圧するように囲い込んでいる。

「予想外の事態に慌ててる、わけでもなさそうだな……籠城戦にさせる気か?」
「籠城戦させる利点が思いつかないのよ。何を考えているのか、まるで分らないわ」

 だから、作戦を立てられずに悩んでいるのだ。こうして高い位置から布陣を見れば、何か思いつくかもしれないという望みにかけてみたが、特に収穫した情報はない。ただ、10隻の船がシェール島に着かず離れずの距離に停泊しているという事実を再確認しただけだ。

「でもよ、海戦が出来ねえってなったら、どうするんだ? まさか、わざと上陸させて1人ずつ殺していく気か?」
「最悪、それね。海戦が出来ない以上、そうするしかない。……もしくは、どうにかしてベリッカまで撤退するか」

 もちろん、武装も何もしていない商船で脱出するなど不可能に近い。1、2隻ほど囮として使い潰す覚悟を決めれば、脱出できるかもしれない。リクの部下なのだから、自分の好きなように使えばよい。しかし、彼らは大元を正せば魔王軍の兵士だ。「逃げるために、兵を犠牲にした」なんて汚名は、レーヴェンの評価を落としかねない。故に、兵を無駄に殺すわけにはいかなかった。
 せめて、援軍があれば風向きが変わる。ベリッカの港が退魔師に奪い返されていない以上、まだ援軍が来る希望は残されている。しかし、シャルロッテが援軍を出すとは到底考えられない。「そのくらい、自力でどうにかするのじゃ!」と堂々と言い放つ姿が脳裏に浮かび、リクは大きなため息を吐いた。

「……とりあえず、魔王軍本隊へ一報は入れておいたわ」

 海に囲まれた孤島なので、伝令兵ロップは使えない。なので、仕方なしに長期間海に潜ることのできる稀有な魔族に頼んだ。大昔、ルークが自慢げに話していた「セイウチ」という北の方の海に生息する生き物に似ている。セイウチ似の魔族兵は、水かきがついた大きな掌で手紙の入った瓶を大切に抱えると、排水路から外へ出て行った。

 ヴルストは鼻をすすると、どことなく投げやりな口調で呟いた。

「玉砕覚悟の特攻か、それとも救援を待つか」
「あら、死ぬつもりはないわ。……こんな退魔師の島で、野垂れ死ぬなんて反吐が出る」

 リクは、自分に言い聞かせるように呟いた。なんとかして、作戦を考えなければならない。リクは、再び島を取り囲む艦隊を睨みつけた。一瞬、シビラの予言がリクの脳裏を横切る。だけれども、それを振り払うように首を横に振った。

「こんなところで、死ぬわけないじゃない」

 太陽は、海の中へと沈んでいく。入れ代わりに月が昇ってくる時間だ。月は、少しずつ欠け始めている。今は夜の明かりに困らないが、次第に夜の闇にまぎれて奇襲をかけやすくなってくるだろう。日に日に夜の見張りは辛くなってくるだろう。それまでに、出来るだけ早く蹴りをつけたい。

 好きになれない潮の臭いを嗅ぎながら、リクは思考を続けるのだった。





※ 


 同時刻、魔王城では軍議が行われていた。

 不屈の城塞都市フォルテが陥落し、何事でも切り抜けてきた猛将エドガー・ゼーリックの戦死。その後、ほぼ時間をおかずにもたらされたのは、シェール島が包囲されたという一報だった。

「現在、シェール島にいるのは我が第3軍のリク・バルサック隊だ!」

 隻腕になってしまった中将ルドガー・ゴルトベルクが、会議の口火を切る。残された左腕で、抗議をするように強く机を叩いた。あまりにも強く叩き過ぎたので、カップに注がれた茶が少し零れた。だが、それを気にする者はいない。召集された幹部全員が、ゴルトベルクへ視線を向けていた。

「ぜひ、救援をお願いしたい!!」

 しかし、ゴルトベルクの意見に誰もが難しい顔をする。しかし、黙ったまま重たい口を開こうとしない。ゴルトベルクは、その中の1人……虎の腕を持つ佐官を指さした。

「おい、貴様……なに難しい顔をしている? 文句があるなら言ってみろ!」
「恐れ入りながら……もちろん、私も救援を要請したい」

 指名された佐官ケイティ・フォスターは席を立つと、苦々しげに口を開いた。

「だけれども、現実問題として不可能です。
 10隻の退魔師艦隊が取り囲んでいる小島に助けを出せるほど、こちらの船は潤沢ではありません。特にフェルトの港が奪われた以上、こちらの港はベリッカ1つになってしまいました。ベリッカの軍備は町を護るだけで精いっぱいです。とてもではないが、余力を捻出できません」

 ケイティは拳を握りしめ、悔しそうな表情を浮かべる。ケイティの本心では、一度は共闘したリクを助けに行きたかった。しかし、一時の感情に流され損害を出すわけにはいかない。心を鬼にして、ゴルトベルクの意見に反対していた。

「ぐぬぅ……だが、リク・バルサックの働きを忘れたわけではあるまいな?
 ミューズを奪い返し、デルフォイで魔王代行閣下を御守りし、カルカタでの大勝をおさめたのは誰だ?リク・バルサック少佐だ!! ここで、優秀な魔王軍の精鋭エースを殺して良いのか!?」
「しかし、他にも精鋭はいますよ」
「そうそう、そんな人間の成り上がりよりも、良い血統の精鋭魔族もいるではないですか。人間一人、どうなってもかまいません」

 ゴルトベルクの意見に、先程まで黙っていた将官や佐官が反対し始める。ゴルトベルクの旗色は、目に見えて悪い。ただでさえ落ち目のゴルトベルクが、ここから形勢を逆転することは不可能に近かった。

「……シャルロッテ魔王代行様、シェール島には最後の死力を尽くして一兵でも多く殺すように、と伝令を送ります。よろしいですか?」

 ケイティが、シャルロッテに伺いを立てる。シャルロッテは何も言わずに、黙ったままだった。そして、その細い唇が開いた瞬間、彼女の言葉を遮るような声が上がった。

「いや、救援に行くべきだ」

 まるで、今までの流れをぶった切るような発言だった。誰もが非難の目を、そしてゴルトベルクは希望で輝かせた目を声の主に向けた。ケイティが代表して、おずおずと声の主に尋ねた。

「アドラー中将、それは……何か作戦があるのですか?」
 
 怒ることもなく、悲痛に顔を歪ませることもなく、レーヴェン・アドラー中将は冷静とした表情を保っていた。ゆっくりと立ち上がると、机に広げられた地図を指さした。

「ベリッカから船をまわせば、救援に向かうことが出来る」
「しかし、せいぜい2隻3隻の船で10隻も相手するのは不可能です」
「だが、完璧な包囲などありえない。どこかに穴があるはずだ。
 ……それに、これは魔王軍の威信にかけてでも救援に行かなければならない」

 レーヴェンの言葉は、一瞬で会議室を静まり返らせた。どうして人間を助けに行くことが威信に繋がるのだ、などと言い返そうとする魔族もいた。しかし、それは青い目で睨みつけて黙らせる。完全な静寂が訪れて、ようやくレーヴェンは再び口を開いた。

「リク・バルサック少佐は、ただ戦へ行ったわけではない。シェール島へは『魔王の冠』を探しに行っていた。今後の戦を左右しかねない冠を、我々は回収する必要性がある」

 「魔王の冠」の所在は誰もが気になることだった。せっかく退魔師の手に落ちた秘宝を取り戻せる絶好の機会だったというのに、それを逃すわけにはいかない。
 レーヴェンが席に座り静かに目を閉じると、誰もが口々に自分の意見を言い始めた。

「た、確かに……成り上がりの人間を助けに行くのではなく、魔王の冠を取り戻しに行くのだと思えば……少しはベリッカの船を回せるのではないか?」
「だ、だが! 10隻の退魔師たちの艦隊を相手にできるほど海戦を得手とした将兵はいないぞ!?」
「現実的に不可能だ!」
「いや、やらなくてはならない!!」

「静まるのじゃ」 

 シャルロッテの凍てついた声が、会議室に響き渡る。しん、と水を打ったかのように静まり返った。今度は、誰も反論しようとする愚か者はいない。シャルロッテは大きく頷くと、会議室に召集された魔族1人1人の顔に目を向けた。意志の強い眼は、この議論に最後の決定を下すことを現している。
 誰もがシャルロッテの言葉を待った。あまりにも静かすぎるので、ゴルトベルクのつばを飲み込む音が、やけに大きく響いた。


「うむ、皆の者の気持ちは分かった。これより、妾が決定を下す。
 シェール島への救援は――」




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