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わたし、狼になります!
第64話 共に生きるために
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シェリーは眼をぎゅっとつむった。涙のにじんだあとが、ひどく熱い。
ルロイの笑顔が、脳裏に浮かんだ。怒った顔。優しい顔。眼をきらきらさせた顔。
さまざまな表情のルロイが浮かんでは消え、消えては浮かび、涙の向こうにかすんだ。
(人間はバルバロとは違うんだろ。人間は群れを作って生きる。決して一人では暮らせないって聞いてる)
ルロイの言葉だ。だが、バルバロだって。
人間や、羊たちと同じように群れを作り、国を作っている。決して孤独に暮らしているわけではない。シルヴィだってそうだ。言葉や態度はきついけれど、幼い妹たちの面倒をよく見ている。
村の若者たちが総出で狩りに出るのも、決して人を恐れてのことだけではない。
ロギ婆のような、足腰の弱ったお年寄りにも十分いきわたるよう、しっかりと食料を確保するためだ。
弱いから群れるのではない。
生き延びるためだけに群れを作るのではない。
互いに寄り添うのは、共に生きるためだ。
シェリーは我に返った。
まさぐるようにして周囲の地面を探す。指先に折れた枯れ木が触れた。
砂利。ちぎった果物。つるりと冷たいもの。
何度も握って、形を確かめる。
これは──
シェリーは息をつめるなり、ルドベルク卿の顔めがけて、さとうかえでのシロップを詰めたびんを叩きつけた。
ガラス瓶の蓋がはずれ、シロップが飛び散った。
「っ! 何だ、これは」
ルドベルク卿は、何度も唾を吐き、目をこすった。眼に入ったらしい。周囲が見えていないようだ。
その隙にシェリーは横に転がって立ち上がった。足元がふらついた。
「逃がすものか」
ルドベルクは傍らに振り捨ててあった剣を押し取り、振り回した。
べっとりと蜜の付いた髪の毛をぬぐい、シェリーを追いかけようとする。
どこからか唸るようなくぐもった音が聞こえた。羽音だ。ざわめきが大きくなった。
「何だ、くそ、こいつ、どこか行け……!」
振り返るとルドベルク卿は一人で踊るような仕草をしていた。シロップまみれの顔に蟻と蜂が群がっている。
今のうちだ。
シェリーは恐怖のあまりしゃくり上げながら逃げ出した。
「きさま……!」
あちらこちら刺されたらしく、憤怒の面持ちを真っ赤に腫れ上がらせたルドベルク卿が剣を振りかざした。
「止まらないと殺すぞ」
怒号が響いた。闇雲に斬りつけている。枝が折れた。
「どこへ逃げても無駄だ。お前も、お前をかばったバルバロどもも、全員、皆殺しにしてやる。村を焼き尽くしてやる。草の根分けてでも必ず探し出してやるからな。森に火を放ち、メスもガキも全員殺してやる! お前の命と引き替えだ! 俺に恥をかかせやがって。すべててめえのせいだ。分かったら、今すぐ、俺のところへ戻ってこい!」
シェリーは手で耳をふさぎながら、森へと飛び込んだ。
痛む足を引きずり、息を切らして逃げまどう。森に入れば、何とか逃げおおせられるかも知れない。
と思ったとたん、髪の毛が木の枝に引っかかった。からまって取れない。必死にもがく。
遠くで怒鳴る声が聞こえた。
身体をびくりと震わせる。
シェリーは樹皮に傷を付けるときに使った小さな果物ナイフを鞘から抜き払い、悲壮な決意のまなざしで枝に絡まった髪の毛を見つめるなり、ばっさりと切り落とした。
柔らかすぎる金色の髪が、さながら投げ捨てられた毛糸のように地面へ散らばる。
ようやく自由になり、シェリーは再びつんのめるようにして走り出した。
その背中から、切り損ねた金髪がはらり、はらりと蜘蛛の糸のように落ちる。
シェリーは走った。枯れ葉を散らし、さらに遠くへと。
獣道ですらない、藪の中を。
息が切れるまで走った。
どこまでも走った。
足がもつれ、視界がかすむ。
もうこれ以上走れない、というところまで走って、よろよろと藪を掻き分ける。
指先がまるであかぎれのように傷になって、赤くかすれていた。
ふいに目の前が開ける。
岩の向こうに、風雨でねじれ、ごつごつと岩のように盛り上がった大樹が見えた。木の向こうは再び切り立った崖だ。どこかから、どうどうと流れる水の音がした。
きっと近くに滝があるのだろう。あるいは川。ここがどこかは分からなかった。
だが、これだけ逃げればもう、大丈夫だろう。
シェリーはよろめくように大樹にすがり、その根元にうずくまった。うろに半分だけ身を隠し、口を片手で押さえ、肩で息をしながら眼を閉じる。
果物ナイフを握った手が震える。
苦しい。
そうしながら周辺に聞き耳を立てる。おそるおそる首を伸ばし、回りを見回す。
後を追ってくる気配はない。
もう大丈夫だ……。
ほうっと安堵の吐息をつき、肩を力なく落として、正面を振り返る。
目の前に、切り落とした金髪を鷲づかんだルドベルク卿がいた。
「逃げられると思うなよ、クソガキが!」
別人のように豹変した声で、薄汚い罵倒を浴びせかけてくる。
シェリーは反射的に果物ナイフを突き出した。
「猪口才な」
華奢なナイフなど護身にもならなかった。あっけなく手首をねじり上げられ、振り払われる。
シェリーは茂みに倒れ込んだ。肌に無数に細かな切り傷が走る。
白い肌に赤く、みみず腫れを起こしたその無力な姿に、嗜虐の欲情をかき立てられたのか、ルトベルク卿は残酷に哄笑した。
「鬼ごっこは終わりだ」
卿が手にした金髪が、山から吹き下ろす風に乗って、天気雨のように舞い散る。
もう、逃げるだけの力も残っていなかった。
砕けた心のカケラが、涙となって地面に滴り落ちる。
口の中に、ざらつく鉄と土の味が広がった。
足で蹴り起こすようにして仰向けにされても、組み敷かれても、のしかかられても。
逃げることも、闘うこともできない。
下卑た笑い声と、獣の吐く息と、ぬめるような何かの感触。身体は枯れ枝のようにしなびているのに、心だけが引き裂かれた生木のようにぎしぎしと悲鳴を上げている。
狼になりたい。
強い心が欲しい。
指先が無力に地面の枯れ葉をまさぐる。細枝の折れる、乾いた音がした。
何も、できない。
ふいに風向きが変わった。ざあっと木の葉が舞い散る。夜の風だ。
すぐに日が沈む。
自分もまた、夜のように黒くなって消えてしまいたかった。涙でにじんだ視界が、夕日に染まって、まるで血の色のように赤い。
そのとき。
森が揺れ動いた。風に逆らうかのような、怒りに充ち満ちた狼の遠吠えが夕映えの空にとどろき渡る。地響きが近づいてくるかのようだった。
シェリーは涙に濡れた顔を上げた。
この声は──
ルロイの怒号が響き渡った。
「……シェリーから離れろ!」
猛然と駆け迫ってくるルロイの姿が見えた。下半身を半分露出したままのルドベルク卿がとっさに剣を掴む。が間に合わず下腹をルロイに蹴り上げられ、剣もろとも吹っ飛んだ。
無様にもんどり打って倒れ込む。その隙にルロイはシェリーの傍へと駆け寄った。
「大丈夫か、シェリー」
手を差し伸べてくる。シェリーは声にならない悲鳴を上げ、かぶりを振った。出ない声を振り絞り、必死にルロイの背後を指し示す。
ルロイはその場から動かず、振り返った。ルドベルク卿が剣を振りかざし、斬りかかってくる。
「野獣《バルバロ》が!」
ルロイは避けようともしなかった。むしろ大振りな相手の動作をやすやすと見切り、隙を衝いて懐へと潜り込む。
「チンケなもんぶらぶらと振り回してんじゃねえよ、クソが」
手にした棍棒を、剣を取るルドベルク卿の手首めがけて打ち下ろす。
黒いサーベルが地面に転がった。ルドベルク卿は手首を押さえ、後ずさる。
ルロイは剣の柄を爪先ですくいあげ、宙に放り投げて浮かせた。
片手で剣の柄を掴み取る。だが、その柄に刻まれた黒百合の紋章を眼にしたとたん。
その表情がふいに嫌悪の形へと変わった。
ルロイの笑顔が、脳裏に浮かんだ。怒った顔。優しい顔。眼をきらきらさせた顔。
さまざまな表情のルロイが浮かんでは消え、消えては浮かび、涙の向こうにかすんだ。
(人間はバルバロとは違うんだろ。人間は群れを作って生きる。決して一人では暮らせないって聞いてる)
ルロイの言葉だ。だが、バルバロだって。
人間や、羊たちと同じように群れを作り、国を作っている。決して孤独に暮らしているわけではない。シルヴィだってそうだ。言葉や態度はきついけれど、幼い妹たちの面倒をよく見ている。
村の若者たちが総出で狩りに出るのも、決して人を恐れてのことだけではない。
ロギ婆のような、足腰の弱ったお年寄りにも十分いきわたるよう、しっかりと食料を確保するためだ。
弱いから群れるのではない。
生き延びるためだけに群れを作るのではない。
互いに寄り添うのは、共に生きるためだ。
シェリーは我に返った。
まさぐるようにして周囲の地面を探す。指先に折れた枯れ木が触れた。
砂利。ちぎった果物。つるりと冷たいもの。
何度も握って、形を確かめる。
これは──
シェリーは息をつめるなり、ルドベルク卿の顔めがけて、さとうかえでのシロップを詰めたびんを叩きつけた。
ガラス瓶の蓋がはずれ、シロップが飛び散った。
「っ! 何だ、これは」
ルドベルク卿は、何度も唾を吐き、目をこすった。眼に入ったらしい。周囲が見えていないようだ。
その隙にシェリーは横に転がって立ち上がった。足元がふらついた。
「逃がすものか」
ルドベルクは傍らに振り捨ててあった剣を押し取り、振り回した。
べっとりと蜜の付いた髪の毛をぬぐい、シェリーを追いかけようとする。
どこからか唸るようなくぐもった音が聞こえた。羽音だ。ざわめきが大きくなった。
「何だ、くそ、こいつ、どこか行け……!」
振り返るとルドベルク卿は一人で踊るような仕草をしていた。シロップまみれの顔に蟻と蜂が群がっている。
今のうちだ。
シェリーは恐怖のあまりしゃくり上げながら逃げ出した。
「きさま……!」
あちらこちら刺されたらしく、憤怒の面持ちを真っ赤に腫れ上がらせたルドベルク卿が剣を振りかざした。
「止まらないと殺すぞ」
怒号が響いた。闇雲に斬りつけている。枝が折れた。
「どこへ逃げても無駄だ。お前も、お前をかばったバルバロどもも、全員、皆殺しにしてやる。村を焼き尽くしてやる。草の根分けてでも必ず探し出してやるからな。森に火を放ち、メスもガキも全員殺してやる! お前の命と引き替えだ! 俺に恥をかかせやがって。すべててめえのせいだ。分かったら、今すぐ、俺のところへ戻ってこい!」
シェリーは手で耳をふさぎながら、森へと飛び込んだ。
痛む足を引きずり、息を切らして逃げまどう。森に入れば、何とか逃げおおせられるかも知れない。
と思ったとたん、髪の毛が木の枝に引っかかった。からまって取れない。必死にもがく。
遠くで怒鳴る声が聞こえた。
身体をびくりと震わせる。
シェリーは樹皮に傷を付けるときに使った小さな果物ナイフを鞘から抜き払い、悲壮な決意のまなざしで枝に絡まった髪の毛を見つめるなり、ばっさりと切り落とした。
柔らかすぎる金色の髪が、さながら投げ捨てられた毛糸のように地面へ散らばる。
ようやく自由になり、シェリーは再びつんのめるようにして走り出した。
その背中から、切り損ねた金髪がはらり、はらりと蜘蛛の糸のように落ちる。
シェリーは走った。枯れ葉を散らし、さらに遠くへと。
獣道ですらない、藪の中を。
息が切れるまで走った。
どこまでも走った。
足がもつれ、視界がかすむ。
もうこれ以上走れない、というところまで走って、よろよろと藪を掻き分ける。
指先がまるであかぎれのように傷になって、赤くかすれていた。
ふいに目の前が開ける。
岩の向こうに、風雨でねじれ、ごつごつと岩のように盛り上がった大樹が見えた。木の向こうは再び切り立った崖だ。どこかから、どうどうと流れる水の音がした。
きっと近くに滝があるのだろう。あるいは川。ここがどこかは分からなかった。
だが、これだけ逃げればもう、大丈夫だろう。
シェリーはよろめくように大樹にすがり、その根元にうずくまった。うろに半分だけ身を隠し、口を片手で押さえ、肩で息をしながら眼を閉じる。
果物ナイフを握った手が震える。
苦しい。
そうしながら周辺に聞き耳を立てる。おそるおそる首を伸ばし、回りを見回す。
後を追ってくる気配はない。
もう大丈夫だ……。
ほうっと安堵の吐息をつき、肩を力なく落として、正面を振り返る。
目の前に、切り落とした金髪を鷲づかんだルドベルク卿がいた。
「逃げられると思うなよ、クソガキが!」
別人のように豹変した声で、薄汚い罵倒を浴びせかけてくる。
シェリーは反射的に果物ナイフを突き出した。
「猪口才な」
華奢なナイフなど護身にもならなかった。あっけなく手首をねじり上げられ、振り払われる。
シェリーは茂みに倒れ込んだ。肌に無数に細かな切り傷が走る。
白い肌に赤く、みみず腫れを起こしたその無力な姿に、嗜虐の欲情をかき立てられたのか、ルトベルク卿は残酷に哄笑した。
「鬼ごっこは終わりだ」
卿が手にした金髪が、山から吹き下ろす風に乗って、天気雨のように舞い散る。
もう、逃げるだけの力も残っていなかった。
砕けた心のカケラが、涙となって地面に滴り落ちる。
口の中に、ざらつく鉄と土の味が広がった。
足で蹴り起こすようにして仰向けにされても、組み敷かれても、のしかかられても。
逃げることも、闘うこともできない。
下卑た笑い声と、獣の吐く息と、ぬめるような何かの感触。身体は枯れ枝のようにしなびているのに、心だけが引き裂かれた生木のようにぎしぎしと悲鳴を上げている。
狼になりたい。
強い心が欲しい。
指先が無力に地面の枯れ葉をまさぐる。細枝の折れる、乾いた音がした。
何も、できない。
ふいに風向きが変わった。ざあっと木の葉が舞い散る。夜の風だ。
すぐに日が沈む。
自分もまた、夜のように黒くなって消えてしまいたかった。涙でにじんだ視界が、夕日に染まって、まるで血の色のように赤い。
そのとき。
森が揺れ動いた。風に逆らうかのような、怒りに充ち満ちた狼の遠吠えが夕映えの空にとどろき渡る。地響きが近づいてくるかのようだった。
シェリーは涙に濡れた顔を上げた。
この声は──
ルロイの怒号が響き渡った。
「……シェリーから離れろ!」
猛然と駆け迫ってくるルロイの姿が見えた。下半身を半分露出したままのルドベルク卿がとっさに剣を掴む。が間に合わず下腹をルロイに蹴り上げられ、剣もろとも吹っ飛んだ。
無様にもんどり打って倒れ込む。その隙にルロイはシェリーの傍へと駆け寄った。
「大丈夫か、シェリー」
手を差し伸べてくる。シェリーは声にならない悲鳴を上げ、かぶりを振った。出ない声を振り絞り、必死にルロイの背後を指し示す。
ルロイはその場から動かず、振り返った。ルドベルク卿が剣を振りかざし、斬りかかってくる。
「野獣《バルバロ》が!」
ルロイは避けようともしなかった。むしろ大振りな相手の動作をやすやすと見切り、隙を衝いて懐へと潜り込む。
「チンケなもんぶらぶらと振り回してんじゃねえよ、クソが」
手にした棍棒を、剣を取るルドベルク卿の手首めがけて打ち下ろす。
黒いサーベルが地面に転がった。ルドベルク卿は手首を押さえ、後ずさる。
ルロイは剣の柄を爪先ですくいあげ、宙に放り投げて浮かせた。
片手で剣の柄を掴み取る。だが、その柄に刻まれた黒百合の紋章を眼にしたとたん。
その表情がふいに嫌悪の形へと変わった。
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