傷だらけの令嬢 〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜

m

文字の大きさ
上 下
61 / 70
第2部

24ジャックside②

しおりを挟む
ジャックは男に連れられて、とある部屋へと案内された

この広い室内の家具もほとんど撤去されていた

子供の頃の記憶はあやふやで、ここが何の部屋かも思い出せない  


家具がないだけで、こんなにも印象が違って見える


「……いったい、僕に何のお話でしょうか? あの件についてはお断りさせていただいたはずですが……」


「何が望みだ? 金なら言い値を払うと伝えたではないか。

それとも地位が欲しいのか?
私の専属の技術者として、代々的に宣伝してやろう。

お前の腕と私の力があれば、多くの者がひれ伏すだろうよ

ククク、どうだ? あんなちっぽけな施設などではなく、私の元で働く方がお前のためにもなる」

「……やはりそのお話ですか。

そんな話をするためにあんな手荒な真似をしたというのですか?

なんでソフィアも連れてきたのですか‼︎

彼女は関係ないのに!

 それに僕のためとおっしゃいますが、お言葉を返すようですが、僕はそんなこと望んでいません。

あなたがどう思われようとも、僕はこの技術を大々的に公表するつもりもありません!

そのお話だけでしたら、これで失礼します。

それと……ソフィアのことを巻き込むのだけはやめてください。

今回のことも、通報したりしませんので、お互いに何もなかったことにしましょう。」


ジャックは言いたいことだけを言って、立ち去ろうとした

「お前の大事なソフィアがどうなっても構わないのか?

今頃は、アンジェリカがさぞかし可愛がっているだろう

ククク……  
お前が助けたいと言っていたソフィアが、


お前のせいでアンジェリカに痛めつけられるのだ。

あのソフィアとかいう娘も、さぞかしつらいだろうな

せっかく解放されたと思ったのに、お前のせいでアンジェリカの側に戻ることになるのだから。

お前のことも恨むだろうな。

だが、ここでお前が私の元に来ると言えば、すぐにでもソフィアを解放してやろう。

あぁ、まずは自分の目で見てからだな。

きっと、ソフィアの痛ましい姿を見れば、お前の考えも変わるだろう

さ~て、アンジェリカに痛ぶられる姿を一緒に見物しようか」

「ソフィアに何をしたのですか!

あいつ…いや 、アンジェリカお嬢様は捕まったはずでは⁉︎

デクスター様、あなたはいったい何がしたいのですか!

仮にも公爵家の方がすることとは思え
ません!」

ジャックはソフィアの状況を聞いてデクスターに詰め寄り詰問する


「知ったような口を叩くな。

お前ごときに何が分かる‼︎

  私はな、仮にもこの国の宰相を務めていたのだぞ!」

デクスターはジャックの肩を小突きながら
ジャックを壁際まで押しやる

後ろに倒れそうになるのを踏ん張りながらも、ジャックは疑問を口にする

「だからこそ、どうしてこのようなことを……」

「うるさい! 私はな、この国を見返してやるんだ!

この私から宰相の座を奪った者共に、思い知らせてやりたいんだよ


今にこの私を蔑ろにしたことを後悔するだろうよ、

この国には魔法使いもいない

魔道具さえない

魔石でさえ簡単に入手できない

魔法があればどんなに素晴らしいかお前も分かるだろう? 

魔法の力があれば、もはやこの国を支配することも可能だ」

「あれは、そんな大それたことをすることはできない! 僕はけがした人を助けるための治癒の方法を発見したにすぎない。」

「ククククク! 治癒……ね。素晴らしかった。

施設長から初めてその話を聞いた時は度肝を抜かれたよ

実際目の当たりにした時はさらにね。

てっきり高額な魔石を手に入れたのかと思えば、ただ同然のクズ石を寄せ集めていると聞いた時は目から鱗だったな。

お前に断られた後、すぐに私も異国からクズ石を取り寄せてみた

色々な者達にその加工を依頼したが、誰も成功しなかった。

魔石を加工する際にでる、本来なら捨てられる粉にも見えるようなくず石だ。
魔石としての効力はないと言われたしな……

効力があるのならば、こんなに簡単に入手できないだろうよ。

だからこそ、お前の腕が必要なのだ!

何かお前には特別な力があるのだろう?

治癒以外に攻撃に使えるものも作れるのだろう?

私はその力が欲しい! お前は私の僕となるのだ!」


デクスターは壁際に追い詰めたジャックの襟元を掴み上げる

「お前は一生、私から逃れられない!
お前の返答次第によっては、ソフィアを私のものにする‼︎  たっぶりとかわいがってやろうではないか。 

あぁ、お前を救うためだと言えば、喜んで身を差し出すかもしれないな…

直接ソフィアに持ちかけてみるとしよう

ククク、私は別に構わないが?」

目をぎらつかせデクスターはジャックを威圧する。鬼気迫る勢いに気押されてジャックは黙って睨み返すことしかできないでいた
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

紀尾井坂ノスタルジック

涼寺みすゞ
恋愛
士農工商の身分制度は、御一新により変化した。 元公家出身の堂上華族、大名家の大名華族、勲功から身分を得た新華族。 明治25年4月、英国視察を終えた官の一行が帰国した。その中には1年前、初恋を成就させる為に宮家との縁談を断った子爵家の従五位、田中光留がいた。 日本に帰ったら1番に、あの方に逢いに行くと断言していた光留の耳に入ってきた噂は、恋い焦がれた尾井坂男爵家の晃子の婚約が整ったというものだった。

公爵令嬢の私に騎士も誰も敵わないのですか?

海野幻創
ファンタジー
公爵令嬢であるエマ・ヴァロワは、最高の結婚をするために幼いころから努力を続けてきた。 そんなエマの婚約者となったのは、多くの人から尊敬を集め、立派な方だと口々に評される名門貴族の跡取り息子、コンティ公爵だった。 夢が叶いそうだと期待に胸を膨らませ、結婚準備をしていたのだが── 「おそろしい女……」 助けてあげたのにも関わらず、お礼をして抱きしめてくれるどころか、コンティ公爵は化け物を見るような目つきで逃げ去っていった。 なんて男! 最高の結婚相手だなんて間違いだったわ! 自国でも隣国でも結婚相手に恵まれず、結婚相手を探すだけの社交界から離れたくなった私は、遠い北の地に住む母の元へ行くことに決めた。 遠い2000キロの旅路を執事のシュヴァリエと共に行く。 仕える者に対する態度がなっていない最低の執事だけど、必死になって私を守るし、どうやらとても強いらしい── しかし、シュヴァリエは私の方がもっと強いのだという。まさかとは思ったが、それには理由があったのだ。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。 ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの? お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。 ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。 少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。 どうしてくれるのよ。 ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ! 腹立つわ〜。 舞台は独自の世界です。 ご都合主義です。 緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。

王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~

石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。 食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。 そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。 しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。 何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。 扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

処理中です...